〈19年3月の需給展望 豚肉〉不需要期で上げ要因少ないものの、豚コレラによる不透明感も

畜産日報 2019年3月5日付
〈通常なら税抜き420~430円、発生如何で400円台後半も〉
2月の豚肉の末端需要は、スーパーの決算セールや鍋物需要、受験のトンカツ需要などでバラやヒレがソコソコの動きを見せたものの、需要の端境期でもあり全体的には芳しくはなかった。一方で枝肉相場は、もともと2月の全国出荷頭数は減るため、前月比でも上げの展開となった。こうしたなか、2月6日に愛知県でも豚コレラの発生が確認され、その後、他府県でも確認された。結果、一部と畜場での処理頭数の減少や先行き供給減の懸念から関東市場を中心に上昇、東京市場でも瞬間的に上物税抜きで500円台半ばを付けた。その後も供給不安から一部足りない分を市場で手当てする動きがあり、月後半も関東3市場では400円台半ばの相場が続いている。

3月は基本的にこれといった需要を押し上げるイベントはなく、気温上昇とともに鍋物需要が落ち着き、春休みで学校給食も止まるなど、プラス要因は少ない。新生活に向けて出費がかさむ時期であり、末端の価格志向は一段と強まりそうだ。このため、3月は月初から2週目にかけては前月の相場水準が継続するとみられるが、後半から失速し、月間平均では上物税抜きで420~430円と予想する。ただ、今後の豚コレラや一部地域でのPEDの発生状況など不確定要素も強く、疾病の広がり如何では、供給不安が一段と強まり、税抜きで400円台後半の高値相場を付ける恐れもあり得る。3月は豚コレラの発生が収束した場合と継続した場合の2つのパターンを想定したほうがよさそうだ。
 
[供給動向]

農水省が2月1日に発表した肉豚生産出荷予想では、3月は前年同月比2%減の139.3万頭(過去5年平均比1%増)と予想している。20日稼働で1日当たり6万9,650頭(前年は6万7,509頭)、暦の関係で前年よりも2,000頭弱多い計算となる。一方、農畜産業振興機構の需給予測によると、3月の出荷頭数は同3%減の137万5,000頭、生産量も3%減の7万6,200tと見込んでいる。いずれも出荷頭数は前年よりも下回る見通しだが、今後の気温によっては出荷が若干上乗せされてくることも予想される。輸入品は、3月のチルドの輸入量が前年同月比1.5%減の3万3,600tとみられている。北米産で通関遅れが続いて市中在庫はタイト気味にあるが、末端では特売需要など国産との競合は強まりそうだ。
 
[需要動向]

2月の末端需要はバラ中心の展開となり、ロース、カタロースなどの動きは振るわなかった。ところが、月末になると気温上昇でバラの動きも止まり、「3月が明けてからほぼ全アイテムで動きが弱い」(関東の卸筋)状況に。ロースは月替わりの関係で動いており、モモもスライス・切落としなど安価な商材としてソコソコ回っているもようだ。今後は「春分の日」があるものの連休ではなく、学校給食も止まり、新生活に向けて出費がかさむため、末端の価格志向は一段と強まりそうだ。中間流通でも、年度末の決算期で投げ玉が出てくる可能性もある。ただ、気象庁の季節予報では、3月は全国で平年よりも暖かい気温に恵まれると予想されている。桜の開花が平年よりは早く4週目後半からとなる見込みで、ロイン系やスペアリブの動きの良化に期待したいところだ。
 
[価格動向]

3月に入り東京市場の相場は上物税抜き451円(前年比82円高)でスタートした。翌週4日は432円まで下げ、関東3市場でも441円を付けている。豚コレラの影響で、一部関東周辺市場から中部方面に枝肉が流れているほか、PEDの影響で足りない分を市場から集める動きも予想されるため、3月前半は前月の相場水準が続くと予想される。後半は中間流通の決算があることや、学校給食の中止、鍋物需要の低下など、相場の上げ材料が少なく、弱含みと予想される。月平均価格としては上物税抜きで420~430円(税込450~460円)と見るが、豚コレラの発生如何では全く状況が変わってくるため、注意が必要といえる。

〈畜産日報 2019年3月5日付〉