〈1月は和去A5で2,700円前後、A3は1,950円前後に低下〉
昨年12月の牛枝肉相場は、和去が全等級で11月を下回るという、過去に例のない相場展開となった。前年比でも和去A5で202円安、同A3で515円安と大きく下げた。全体的に需要が盛り上がらなかったうえに、精肉ギフトの不振、高級部位の輸出の頭打ち、外食不振でロースの在庫がたまり、これが相場を押し下げた。

消費増税による消費者の生活防衛から、量販店ではより安価な牛肉に軸足を移したことで、和牛ではロース・肩ロースからウデに、さらに交雑や輸入牛肉へシフトしたことが要因となっている。交雑種は11月からわずかに上昇した。

当初は、年末の最終1週間は各量販店とも和牛一色になるため「少なくとも11月の相場を上回る」と見られていたが、12月1週目の相場は弱く発注も少なかった。2周目以降はさらに下げ、東京市場では最終日28日も和去A5が2,687円、A3が1,917円と、盛り上がりは全くない予想外の展開となった。

1月の見通しは、年が明けても末端の状況は変わらず、逆に年末年始の消費疲れでこの時期は需要が低下すること、さらに12月後半には相場が低迷したことで出荷が控えられ1月の出荷は潤沢とみれることで、年末の相場を上回ることは難しく、和去A5は2,700円前後、A3は1,950円前後、交雑B2は1,500円前後と見込まれる。前年比では和去A5で130円前後、同A3で350円前後下回ると見込まれる。

昨年12月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、消費税込み)をみると、和去A5が前月比30円安の2,763円、A4は118円安の2,325円、A3は165円安の2,011円、交雑去勢B2は22円高の1,512円、乳去B2は9円安の1,010円となった。

上述のように、年末12月ながら11月に比べ、交雑はわずかに上昇したものの、和牛去勢は各等級で下回った。季節需要が盛り上がらない中で、さまざまな要因でロースが売れなかったことが要因。前年比では、和去A5で202円安、A3が515円安、A2が501円安と2~3等級の下げ幅が大きかった。特にA3は、7月まで前年を上回って推移していたが、8月に下げに転じ前年に11~12月に高騰した反動もあって大きく下落した(グラフ参照)。結果的にA3は、12月に年間最安値を付ける形になった。一方で、交雑、乳用種は前年比ではわずかな低下にとどまっている。

1月の生産見通しは農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数で前年同月比0.5%減(1日当たりでは1.4%減)の7万9,200頭が見込まれる。品種別の出荷頭数は、和牛は2.1%増の3万3,100頭、交雑種は1.3%減の1万8,200頭、乳用種は3.8%減の2万6,600頭と見込まれる。ただ、12月の和牛出荷が概算で10%以上少ないことを勘案すれば、1月の和牛出荷はさらに増加することも想定される。輸入牛肉(チルド)は同機構の予測では、12月の輸入量は4.0%減の2万1,900t、1月は1.7%増の2万tを見込む。12月は豪州、米国の現地相場高で前年を下回る一方、1月はわずかに上回ると予測している。

年末年始の販売状況を聞くと、首都圏の中堅スーパーでは、「12月中旬までは国産・輸入品ともに売れ行きは良く、計画通りの進ちょくだったが、クリスマスに入って以降、売れ行きはサッパリ。今回のクリスマスは平日のため、前週末(21日、22日)にイベントやパーティーが開かれると予想してチラシを打った。結果、23日も瞬間的に売上げは上がったが、クリスマスはデリカだけが良く、精肉は期待外れだった」「年末ギリギリには取り戻せたが、全体的に在庫は厳しかった(売れ残った)。交雑を仕掛けなかった分、輸入品はマズマズの売れ行きだった」と話している。

また、卸関連では、「和牛は5等級の発生が多く、テーブルミートとしての売り場が縮小している。外食需要のウエートが高く、この部分は不振ながらも底堅いものはある。そうすると年末だからといって、和牛の特別な需要がある訳ではなくなっている。また、ある意味で“和牛離れ"が進み、交雑種にシフトしている。量販店では、サシの見栄え、味でそん色なく、価格訴求ができる交雑のB3クラスを、銘柄をつけて販売する方がメリットはある」と、深刻な和牛離れを指摘する。

年明けの会合では、「50年、商売をやっていて、12月に和牛の相場が下がったのは初めてだ」との声が聞かれるが、1月の相場も在庫補充の買いが一巡すれば、下げに転じることで、12月からさらに一段下げざるを得ない状況だ。そのため、和去A5は2,700円前後、A3は1,950円前後とさらに下げ、A3は2千円の大台を割り込む見通し。また交雑B2は1,500円前後、乳去B2は1,000円前後と見込まれる。

〈畜産日報 2020年1月9日付〉