〈令和2年4月の需給展望 豚肉〉新型コロナウイルスで波乱含みの展開、後半は税抜き500円超えも、月平均460~470円前後か

令和2年3月の国産豚肉の需給動向は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の動きから“買いだめ需要”もみられ、量販を中心に堅調な荷動きが続いた。一方、外食業態の落ち込みは激しく、厳しい環境が続いている。

そうしたなか、東京市場の平均相場は上物税抜き446円(税込み482円)と前年同月比で4円高となった。「春分の日」を含む3連休に向けて400円台後半までジリ上げとなり、その後は一時下げたものの、再び上昇。とくに、最終週は月末月初や決算月だったことに加え、都心部を中心に新型コロナウイルスによる都市封鎖の懸念など、不安感がさらに高まったことで、31日には税抜き506円、4月1日には同553円まで急騰した。

4月は例年、新学期が始まるほか、春の行楽需要などが見込まれるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で休校継続や、外出自粛の流れが続くものとみられ、大きな盛り上がりとなる見込みは薄い。また、外食業態やホテル関係などは依然として厳しい状況が続きそうだ。その半面、量販では買いだめによるストック需要から、日々の生活ベースでの消費が高まっており、当面は堅調な動きとなることが予想される。

新型コロナウイルスの収束が見えないなか、4月の需給動向は不透明感が強いものの、このまま500円台を維持することは考えにくく、4月の2週目からは400円台後半で推移するとみられる。しかし、後半にかけてはゴールデンウィーク(以下、GW)に向けた手当ての動きが強まるとみられ、再び上物税抜きで500円を超える展開もありそうだ。このため、月間平均(東京市場)では税抜きで460~470円と予想する。

〈供給動向〉
農水省が3月13日に発表した肉豚生産出荷予測によると、4月の肉豚出荷頭数は前年比4%減の134.3万頭と予測している。通常、夏にかけて出荷頭数が落ち込む時期ではあるが、今年はさらに前年を下回る見込みだ。農畜産業振興機構によると、4月のチルド豚肉の輸入量は前年同月比2.8%減の3万5,100tと予測されている。前年水準は下回るものの、3万t台の安定した輸入が続くことが予測され、国産の枝肉相場が高値で推移するなか、今後、輸入品へシフトしていく可能性もある。

〈需要見通し〉
4月は上述のとおり、学校給食の再開や春の行楽需要など、末端需要が好転する時期となる。しかし、新型コロナウイルスの影響で、一部では一斉休校がGW明けまで延長され、関東を中心に外出自粛の流れが続いていることから、スソ物やスペアリブなどの引合いは弱い。ただ、量販の好調はしばらくの間続くとみられ、ロース、カタロース、バラなどへの引き合いは強く、スポットでの問い合わせも増えているようだ。GW期間についても、このまま外出自粛が続けば、旅行や帰省などによる都市部の人口流出も減り、家庭内での消費が一層強まる可能性も考えられる。

〈価格見通し〉
4月1日~2日の東京市場の上物平均相場(税抜き)は531円となった。4月は例年、GW前に相場が急騰することが多いが、今年は都市封鎖など、さらなるパンデミックを懸念した買い付けや、週末の量販の品揃えを確保する動きなども見られ、新型コロナウイルスに大きく左右されることは間違いない。一方で、これまで上げ基調だった分、一転して急落する可能性も考えられ、波乱含みの展開となりそうだ。多くの不安定要素を抱えるが、出荷頭数や需要動向を踏まえると、月平均では上物税抜きで460~470円(税込み490~500円)と予測し、GWの手当てが始まる後半は同500円を超える展開もあるか。

〈畜産日報2020年4月3日付〉