〈月平均で税抜き600~610円、後半は600円台後半の可能性も〉
今年のゴールデンウィーク(GW)は新型コロナウイルスの感染拡大により、「緊急事態宣言」が発令されたなかでの連休と異例のかたちとなった。4月の豚枝肉相場は内食需要の増加を受け、量販店向けの買いが強まったことで高値を維持。東京市場の月間の平均相場は上物税抜き566円(税込み611円)と前年同月を68円上回った。

GWに向けての手当て買いが強まる最終週には一時、700円をうかがう同696円を付けるなど異常相場となった。新型コロナウイルスの終息が見えないなかで、5月も量販店を中心に豚肉の需要は堅調に推移することが予想される。だが、5月は夏場にかけて出荷頭数が落ち込んでくる時期でもあり、関東圏では豚流行性下痢(PED)による出荷への懸念も出てきている。

さらに、もうひとつ懸念すべきは輸入チルドポークの動向である。これまで安定的に供給されてきた輸入チルドだが、新型コロナウイルスが現地の生産にも影響を及ぼしている。カナダや米国では一部で工場の稼働を停止しているほか、従業員の確保が困難なことや、従業員同士の間隔を空けて作業するなど、感染拡大防止の対策を図りながら稼働せざるを得ない状況となっている。

当然、日本向け輸出にも影響が出始めており、5月後半から輸入チルドの供給は減少していく見通しだ。こうした状況を踏まえると、国内の豚枝肉相場は高値安定を維持していくものとみられる。このため、5月の東京市場の豚枝肉相場は上物税抜きで600~610円と予想する。

〈供給動向〉
3月のデータだが、農水省の肉豚出荷予測によると、5月の肉豚出荷頭数は前年同月比3%減の131.1万頭と予測している。今年は稼働日の関係もあるが、2日を含めた18日稼働で、1日当たり約7万2,800頭となる見通しだ。農畜産業振興機構が4月27日に公表した豚肉の需給予測でも、5月の出荷頭数は同3.3%減の131.1万頭で、豚肉生産量は7万2,700t(同3.3%減)と前年割れを予測している。

ただ、関東圏ではPEDの影響が懸念されており、市場への出荷頭数がより減少することも考えられる。5月のチルドポーク輸入は、上述の機構の需給予測で同8.5%減の3万2,000tと予測している。世界的に新型コロナウイルスの感染が広がり、現地の生産減少の影響から、前年同月を大きく下回るとしている。

〈需要動向〉
4月は「緊急事態宣言」が発令され、外食業態では休業や営業時間を短縮する店舗が相次いだ。家庭内での調理機会が増えたことで、量販店を中心とした小売業態での荷動きは堅調に推移した。GW期間中も量販店の動きは堅調で、スソ物をはじめロースやカタロース、バラなど部位問わず動きは良かったようだ。GW明けには在庫補充買いの動きもみられ、とくに単価の安いウデ・モモへの引き合いが強まっている。

今後、政府の発表次第では地方など「緊急事態宣言」の解除・緩和で状況が変わることも考えられるが、学校給食や外食の再開については依然として不透明感が強く、5月も量販店を中心とした展開が続きそうだ。

〈価格見通し〉
GWが明け、関東3市場の相場が出そろった8日の全農建値は、上物税抜きで700円となった。5月は上述の通り、量販店の堅調な需要を背景に、出荷頭数が前年割れの予想であること、輸入チルドの供給不安など、相場の下げ要因は見当たらない。

とくに、出荷頭数が細ってくる後半には600円台後半まで上昇する可能性も。「緊急事態宣言」の解除・緩和など不確定要素は多いものの、夏場に向けて高値安定することが予想され、月間平均では上物税抜きで600~610円(税込み648~659円)の展開と予想する。

〈畜産日報2020年5月11日付〉