〈令和4年7月の需給展望 豚肉〉異例の猛暑日続きで出荷に影響、6月平均相場は613円に、7月も下げ要因少なく月平均620~630円、700円超えの局面も

6月上旬に関東でも梅雨入りを迎えたものの、下旬以降、東京都心では“9日連続”で猛暑日を観測するなど異例の暑さとなり、関東では例年よりも3週間程度早い梅雨明けとなった。

6月は全国出荷頭数が6万頭を割る日が多くみられたなか、東京市場の豚枝肉相場は上物税抜き598円(税込み646円)でスタートし、以降は概ね600円を上回る展開となった。さらに月末にかけては上げ基調となり、29日には月間最高値となる653円(同705円)を付けた。この結果、東京市場の月間平均相場は613円(税込み662円)と600円を超え、前年同月比で39円高となった。

ここ数年、7月の豚価が年間を通じて最高値となる傾向だが、ことしは6月の時点で昨年7月(税抜き588円)、一昨年7月(同594円)の最高値を上回っている。7月は出荷頭数の少なさを反映し、6月の相場からもう一段上げてくる可能性が高い。ただ、食料品など物価が上昇するなかで消費者の財布の紐は固く、荷動きは引き続き安価なスソ物中心となることが予想される。このため、枝肉高・部分肉安の構図が続き、中間流通段階は苦戦を強いられそうだ。

〈供給動向〉
農水省が6月24日に発表した肉豚生産出荷予測によると、7月の全国出荷頭数は前年並みの131.3万頭と予測している。今月は「海の日」を含む3連休があるため、1日当たりの出荷頭数は20日稼働で、概ね6万頭台半ばで推移するとみられる。例年、夏にかけて出荷頭数が落ち込む時期となるが、前述の通り、ことしは6月からすでに猛暑日が続いているため、生産地では豚の成育不良や上物率の低下など、ここ最近の猛暑による影響が懸念されるところだ。

また、8月・129.8万頭(前年同月比2%減)、9月・135.5万頭(同2%減)ともに前年割れの出荷が予想され、秋口まで、しばらくの間は出荷が少ない状況が続く見通しだ。農畜産業振興機構の需給予測によると、7月のチルド輸入は前年同月比6.7%減の3万3,000tと予測。円安の影響から現地価格が高騰するなかで買いを絞っていたこともあり、前年実績を下回る見込みだ。入船遅れの影響は一時期より解消されつつあるものの、調達を増やす向きはなく、しばらくは市中タイトな状況が続くものとみられる。

〈需要見通し〉
6月は高騰する豚枝肉相場に対し、末端消費が低迷しているため値上げが通らず逆ザヤが拡大した。月間を通してウデやモモといった比較的安価な部位に引き合いが集中し、ロースやバラなど中部位の動きは鈍かった。一方で、枝高が続いていることから凍結回しができず生鮮で売り切る動きが大勢で、国産冷凍品在庫は締まった展開となっている。

7月はとくにこれといった需要好転の材料がなく、梅雨が明けたものの、そこから一転、猛暑で購買力も低下気味で、中旬以降は夏休み入りで学校給食も停止となる。一方で、ことしはコロナ禍で行動制限のない夏休みとなることが予想され、外食需要の回復が期待されるが、都内では新型コロナウイルスの感染者数がジワジワと増加傾向にあり、不透明感が強まっている。

〈価格見通し〉
7月1日の東京市場の上物相場は税抜き662円(税込み715円、前市比12円高)、週明け4日は661円(税込み714円、前市比1円安)となった。7月は末端需要への期待は薄いものの、出荷動向が相場を大きく左右するものとみられ、今後の天候によっては農水省の予測を下回ってくることも十分に考えられる。

さらに、出荷頭数の谷間や輸入チルドの入荷状況、「海の日」を含む3連休に向けた手当て買いなど相場が急騰するタイミングで、「瞬間的に700円を超える局面もあるのではないか」(関東の卸筋)との声もきかれる。これらを勘案すると、相場の下げ要因は見当たらず、7月の月間平均相場は上物税抜きで620~630円(税込み670円~680円)と予想する。

〈畜産日報2022年7月5日付〉