4月期麦価-5銘柄平均3%値上げ

◎ハード系+1.7%、ソフト系+5.4%

次回以降「算定期間」見直しも

農林水産省は2月26日、2015年4月期の輸入小麦の政府売渡価格を主要5銘柄平均で3・0%引上げ、t当たり6万70円(税込、以下同)とすると発表した。引上額は1740円。ハード・セミハード系(DNs、1CW、HRW)平均は1・7%引上げのt当たり6万390円、ソフト系(AsW、WW)は5・4%引上げのt当たり5万9440円。小麦粉価格の改定は、現行の即時販売方式による民間備蓄(国家備蓄分1・8か月、民間流通在庫分0・5か月の計2・3か月)との関係で、6月下旬から7月上旬の実施となる見込み。

小麦の国際相場は、潤沢な世界期末在庫見込みを背景に軟調に推移しているが、円安の進展等為替相場変動の影響を受け、過去6か月間の算定対象期間(2014年9月~2015年2月)における平均買付価格が前期(2014年10月期)に比べ「やや上昇した」(農水省)。

農林水産省はまた、今回の発表に合わせ、次回以降の算定要素の反映のあり方について、「価格の算定期間を新価格適用開始時により近づけるよう検討する」ことを付記した。

【解説】今回の政府売渡価格改定は、追加金融緩和等による急激な円安の進展が最大の要因となった。改定発表を受け、製粉各社は小麦粉価格改定の作業に入ることになるが、円安による輸入原材料コストの上昇に加え、食品産業全般を覆っている包装資材価格の上昇、電力料金コストの上昇、物流・配送等のコスト上昇の影響もあり、改定額・率は、輸入小麦の政府売渡価格改定分以上にならざるを得ないと見られる。

一方、今回の政府売渡価格改定に付記された「政府売渡価格の算定要素の反映のあり方」では、相場連動制の趣旨である「小麦の国際相場等(相場・フレート・為替変動)の動向が輸入小麦やその加工製品の国内価格に適切かつ迅速に反映されること等を目的として」が書き込まれた。

これまで政府売渡価格は過去6か月間の平均買付価格を基に算定されているが、次回の算定以降は、現行の10月期改定の算定期間(3月~8月)の最後の月を9月まで「延長する」か「移動する」か、を意味すると見られる。

2007年4月から導入された相場連動制の趣旨は、小麦国際相場の変動を売渡価格に、小麦粉価格に、二次加工製品価格に、最終的には小売店頭価格に反映・連動させていくことにあったが、ここ数年間は、小麦粉価格への連動はされたが、その先へは事実上「非連動」の状態が続いていた。その意味では、今回の改定に当たり、「加工製品価格」への「迅速反映」が書き込まれたのは、前進と言えるのかもしれない。