内外価格差があまりにも開いているため、日本産米の輸出は難しいと言われているなか、日本企業のなかでコメ輸出量トップ。加えて子会社・元気寿司が海外に多店舗展開。この一部(香港とシンガポールの10店舗)でも日本産米を使用。2007年から輸出開始。昨年1年間の輸出量およそ3000t。今年4月21日、農林水産省「輸出に取り組む優良事業者表彰」食料産業局長賞を受賞。2020年までにコメ輸出量10万tをめざす農水省「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト構想」のなかで3万tの目標を掲げた。

同社の輸出先は、香港、オーストラリア、アメリカなど。アメリカ、香港、中国本土、ベトナムに営業拠点(現地法人)を設置。今年7月7日には香港マキシムグループ(美心集団)との間で合弁会社を設立。

子会社・元気寿司が展開する海外店舗数は2017年6月末現在で165店舗。同社の海外事業は、2017年3月期売上高57.32億円、営業利益6.06億円。
神明代表取締役社長・藤尾益雄氏(左)と元気寿司代表取締役社長・法師人尚史氏(右)

神明代表取締役社長・藤尾益雄氏(左)と元気寿司代表取締役社長・法師人尚史氏(右)

〈反対論振り切り事業を振興〉神明 代表取締役社長・藤尾益雄氏

とてもうれしい。当社は昨年も「食品産業技術功労賞」を受賞させていただいたが、今年は特に感慨ひとしお。というのも当社が輸出を最初に始めたのは2007年。オーストラリアを相手にわずか20~30tから始めたのだが、当時は誰にも見向きもされなかった。業界内で「また妙なことを始めた」と言われただけでなく、社内からも反対論が出た。そこを乗り越え、振り切り、やや強引に進めた経緯がある。それがようやく認められるようになったかと思うと、とてもうれしい。

途中、2010年に全米輸(全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会)を作ったときも、ほとんどご賛同いただけず、数農協と組んで始めた。100会員を超えている今(現在111会員)から考えれば笑い話でしかないが。それくらい業界が変わった、ここまで10年かかったということ。

輸出量が増えたとはいっても、まだ年3000t程度。当社の事業規模から言えば微々たるものだ。農水省の10万t輸出構想(2020年)の中で、当社が3万tの目標を掲げていることもあり、今回の受賞をバネに、一層力を入れていきたい。

同時に業界、日本全体としても、世界中の子ども達に日本の美味いコメを食べてもらえるよう、不断の努力を続けていきたい。

 

〈日本食は世界的に大きな需要〉元気寿司 代表取締役社長・法師人尚史氏

当社の海外フランチャイズ店舗は、今や170店舗に及んでいるが、神明と資本業務提携した6年前は半分以下の80店舗ほどにすぎなかった。つまりそれほど急速に増えてきたわけで、そこには寿司・日本食に対する世界的に大きな需要がある。

そうした需要はアジア圏に偏りがちだと一般的には思われているかもしれないが、決してそんなことはない。確かに当社がアジア圏を入り口に海外店舗を拡大してきたのは事実だが、それは単に距離が近いからであって、寿司・日本食需要は世界的規模だ。

事実、今でも次々に新たな出店国を増やしており、その対象は北米から欧州へとシフトしつつある。ただ残念なことに需要はあるのだが、東日本大震災以降、日本産農産物の輸入に制限をかけている国がまだまだ多く、それさえ解除されればという条件付きの出店構想がいくつもある。

実際に輸出した日本産米をシャリにした店舗はまだ数少ないが、口にしたお客さんからは確実に好評をいただいている。

そもそも他国産米とは見かけからして異なる。食べてもらえれば味だけでなく粒感がまるで異なることが分かってもらえるはず。

いわゆる富裕層だけでなく、ローカル層が気軽に食べられる店舗の出店を増やしていきたい。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉