木徳神糧(株)(平山惇社長)は東京・神田小川町の本社ビル1階を改装し、機能性を持った新商品開発を行う「テストキッチン」として活用している。

きっかけは2016(平成28)年9月の本社移転。当時は現・本社ビルの1階にイタリアンレストランが入居しており、そこにコメ加工食品部が本牧工場(横浜市)に持っていたテストキッチンを移転、レストランの厨房設備などを活用したのが始まり。現在のテストキッチンは企画開発室直轄で米粉商品などの新商品開発を行っており、キッチンの隣には試食スペースも設けた。

取引先をテストキッチンに招いてレシピを提案し、その際に同社の取り扱う米粉を一緒にアピールする狙いがある。
試食スペース

試食スペース

力を入れているのは、グルテンアレルギー(セリアック病など)に対応したノングルテン米粉パン、腎臓病など蛋白質摂取量に制限がある人向けの低蛋白米粉パンなど。その低蛋白米粉パンは、100g中0.3gまで蛋白質を抑えている。「従来、小麦粉は12~14%、米粉は6%程度の蛋白質が含まれているので、かなり低い水準と言える。

原料は基本的に米粉と澱粉のみ。小麦をグルテンと澱粉に分離した特殊な小麦澱粉を使用しているため、ここまで蛋白質が抑えられた」と開発担当者は話す。ただし、ごく微量にグルテンが混ざるため、グルテンフリー・ノングルテンを謳うことはできない。

低蛋白米粉パンなどに注力

低蛋白米粉パンなどに注力

使用している米粉は、国産ブレンド米を同社新潟工場で製粉したもの。その製粉も、粒の粗い上新粉に近い米粉と、湿式気流粉砕による細かい粒の米粉をブレンドしている。「気流粉砕の米粉だけだと老化が早く、すぐにパサパサとした食感になってしまう。今流行りのα(アルファ)化米粉も試しているが、中々膨らみが良くないので試行錯誤を繰り返している段階だ」。

米粉パンは僅かな原料の差異で焼成後の出来が大きく変わる。同社の低蛋白米「真粒米(まつぶまい)」を使えば簡単に低蛋白米粉パンが出来るのでは、という記者の質問に対し、担当者は「真粒米は混ぜあわせが非常に難しく、同じ比率でも品質のブレが生じる」と打ち明けた。

また、同社が注力している「金のいぶき」などを活用する玄米パンについては、「米粉100%というのは品質面で難しいため、現在は基本形を確立するために改良している。これが出来れば金のいぶき、雑穀などを使ったパンも出していけるだろう」とする。また、このテストキッチンでは、「これまで米が使われてこなかった加工品」も開発している。「あまり話せないが、例えばエナジーバーや非常食関連など、裾野は大きい」とビジョンを語った。

一方で、米粉製品独特の問題が開発時の壁になっている。「米粉パンはアミノ酸含有量が多く、チーズやカレーなどの具材を引き立ててくれる。米粉パン特有のモチモチ感だけではなく、焼成後冷凍した米粉パンはレンジで解凍すると(通常の小麦パンよりも)カリッとした食感が楽しめる。しかし、展示会などで話を聞くと、業務用のお客様は普通の小麦パンと違和感が無いものを求めている」。また、「あとは市場規模の問題。マーケットが広がり需要が増えないことには、会社としても専用ラインなどの設備投資が難しい現状にある」と説明した。

しかし、本社内にテストキッチンを構えたことで奏功した面もある。「横浜の本牧工場に併設していた時は、商品化に向けて役員に試食してもらうだけでも時間がかかったが、今は同じビルのため意思決定が迅速化された。取引先もすぐに来られるようになった」という。

「まずはPBからだが、ゆくゆくは当社のNBブランドとしても商品化していきたい」と話す木徳神糧。米卸から米加工品メーカーへの脱皮には、このテストキッチンが鍵を握りそうだ。

〈米麦日報 2018年4月25日付より〉

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