〈10a2万円の補助金は「プラスアルファが必要」〉
自民党の農産物輸出促進対策委員会(小泉進次郎委員長=衆・神奈川11区)は4月27日、第4回会合を開き、コメ・日本酒関係の輸出事業者からヒアリングを行った。出席者は(株)神明・森竜哉上席執行役員管理本部経営企画室長、(株)Wakka Japan・出口友洋代表、百農社国際有限公司(香港)・西田宗生董事長、(株)南部美人(岩手)・久慈浩介社長。

神明の森氏は米輸出を拡大する上での課題として、〈1〉数量の問題、〈2〉価格の問題、〈3〉規制の問題の3点を挙げ、うち〈2〉については「我々の現地法人に訊くと60kg6,000~7,000円の米があれば、現地の業務用ユーザーに推進できるという話だ」とコメント。また、今後の輸出戦略として「輸出しただけでは定着が難しいため、現地に社員を置いてフォローアップをする必要があり、パックご飯や乾麺、青果、水産品など、弊社グループが扱う商品の輸出も検討している。他には業務用ユーザーへの提案強化だ。特にアジアのマーケットは家よりも外で米を食べるケースが多く、今後は業務用の提案を拡充していく」と説明した。

Wakka Japanの出口代表は「今まで(日本人向けの米を)海外に販売してきたが、海外の人が真に求める米(低価格米・有機栽培米など)を日本で作れないかと、昨年から長野で農業生産法人を立ち上げ、海外の胃袋を掴む米を作っている」と取り組みを説明。課題については、販売面で「香港・シンガポールの米輸入量のうち、日本米のシェアはそれぞれ1.0%・0.7%。今まではこの小さなパイを日本米プレイヤーが取り合っていたが、それでは他国産米の牙城を切り崩すことができないので、低コスト米に取り組んでいる。ただ、日本産米という形でブランド米も多収米も十把一絡げで販売しているのが現状。日本産米の海外マーケット価格はたしかに下がっているが、本来下げなくて良い銘柄まで足を引っ張られている。今後は戦略的に価格を落とす銘柄と、落とさなくても買ってもらえる米を分けて、攻めるべき銘柄と守るべき銘柄を使い分けていくべきだと考えている」とし、調達面の課題は「(新市場開拓として)10a2万円が付いたが、主食用米の価格が依然上がっており、輸出米以外の新規需要米(飼料用米など)との生産者手取りまで考えると、まだ生産者が取り組むメリット・意義を感じにくい」とした。

平場の議員からは、「60kg6,000~7,000円という話があったが、その場合生産者手取りの問題が発生するのではないか」(小島敏文氏、衆・広島6区)、「中国向けの米輸出は、農水省と外務省がしっかり連携を」(石崎徹氏、衆・新潟1区)などの意見が出た。

これに対し神明の森氏は「6,000~7,000円なら海外輸出が飛躍的に伸びるとお話ししたが、それでは生産者が再生産できないことは判っている。ただ、海外マーケットで日本産米を拡大するためには、どう考えても業務用を中心に展開せざるを得ない。アジアのマーケットで和食に使われているのは短粒種であり、競合相手はベトナムやタイ、中国の短粒種だ。それらと闘うには6,000~7,000円の価格が必要ということになる。これを如何に実現するか。我々の自助努力では多収穫米を増やし、少しでも生産者に1俵あたりのコストを下げて戴くことになるだろう。また、国は10a2万円を追加したが、ここのプラスアルファが必要だ。現在は飼料用米に最大10.5万円の補助金が出ているが、ここをいくらか輸出に回してもらえれば(生産量は増える)。これまで(輸出用米に)見向きもしなかった人が、2万円でようやく考えようかなという程度のレベル。飼料用米の補助金がもう少し輸出米に回れば、数量も増やせると思っている」と話した。

また、農林水産省の岩濱洋海農産部長は「6,000~7,000円なら他国産米と闘う上での市場のブレイクスルーになるという話があった。ただ、日本の生産費調査ではもっとも安い生産費で8,000円ほど。それくらいの生産コストで生産している農家もいるが、それでは所得が出ないことになるので、新市場開拓として2万円を付けさせてもらった。また、いくつかの県ではこれに上乗せしているところもある。そうしたことを地道にやっていくことが我々は重要だと思っている」とした。なお、放射性物質関連の輸入規制について井上宏司食料産業局長は「外務省とも連携して、本当に、真剣に交渉はやっている」と付け加えた。

〈米麦日報 2018年5月1日付より〉

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