〈日本パン工業会総会〉飯島延浩会長が12期目に、副会長・専務も続投/「パンと米飯のバランスの取れた学校給食を」

日本パン工業会総会 左から桐山副会長、盛田副会長、飯島会長、細貝副会長、中峯専務
(一社)日本パン工業会は17日、第55回通常総会を開いた。今回は任期満了による役員改選があり、理事・幹事を選任。「現行の体制を維持する」とし、飯島延浩会長(山崎製パン(株)社長)、細貝理栄副会長(第一屋製パン(株)会長)、盛田淳夫副会長(敷島製パン(株)社長)、桐山健一副会長((株)神戸屋社長)、安田智彦副会長(フジパン(株)代表)、中峯准一専務が続投する。理事では(株)タカキベーカリーの沼田二郎前社長から坂本和久社長への交替があった。

総会後の記者会見で、飯島会長は「会長職も12期に入り、長期間となり、まことに申し訳ない気持ちだが、対処すべき課題も多く、業界のためにもう少し努力させて頂きたい」とした。

総会後の記者会見では特に、「学校給食でパン食の回数が減っていることから、パンと米飯のバランスのとれた学校給食が実施されるよう、やや時間を要することになるかもしれないが、一歩一歩着実に取り組んでいきたい」との考えを示した。学校給食のパン食の回数は平均週1.3回。地域によっては週1回を下回っている。学校給食のパンを供給する地域の中小パンメーカーで作る全パン連(全日本パン協同組合連合会)は、パン食の回数を週2回に増やすことを目的に、国産小麦を活用した地産地消の取り組みを実施。また、1月に(一社)日本パン技術研究所と共同で「未来構築委員会」を設置し、学校給食パンの問題解決に向けた検討を開始した。

飯島会長は「パン食の普及という業界全体の視点から取り組む必要がある」とし、パン工業会が日本パン技術研究所を支援する形で、学校給食パンの問題解決に協力する考えを示す。また、「製パン業界だけの取り組みでは不十分。製粉業界をはじめ、油脂業界やフラワーペースト業界、製パン機械業界の皆様にも是非協力をいただきたい。製パン関連業界で声をあげるとともに、食品関連学会の食品科学専門の先生方に、食育、食文化の面から研究していただき、情報発信していただくなど、国民の食に関する課題として幅広い理解を得ていくことが重要だ」とした。

懇親会には来賓としてパン産業振興議員連盟の中曽根弘文会長(参議院議員)や、農林水産省からは新井ゆたか審議官等が出席。乾杯の音頭は製粉協会の近藤雅之会長(日本製粉(株)社長)が務め、「製粉協会としてはパンに関わらず、小麦粉関連の産業には絶大なる支援をしていきたい。新たな需要喚起のため、お手伝いをさせていただければ」とした。

〈HACCP制度化への対応〉全ての製パン事業者が実行可能な手引書案を検討し、厚労省に提出した。製パン業界では全ての事業者に基準Bが適用されることの承認を得た。今後、細部の修正等に対応するとともに、小規模事業者での検証を実施し、最終的に厚労省の「食品衛生管理に関する技術検討会」での承認を得て完成する予定。また、製パン業界ではパン以外にお弁当、サンドイッチ、和洋生菓子等を作っている。お弁当やサンドイッチには基準Aが適用される見通しだが、和洋生菓子については、製パン業界としてあるべき姿を検討していく。

〈レーズン・くるみの価格高騰による一部製品の価格改定について〉「大変スムーズに進んでいる。全体としては前回、前々回の粉価改定も内部吸収しており、私どもの実情を流通の方にもお客様にも理解頂いていると判断している」(飯島会長)。

〈盛田副会長による問題提起〉パン業界では前日受注が普通になっているが、前々日受注に変えることで様々なロスが減る。前日発注ではどうしても予測で生産をする分があり、工場内の製品ロスにつながる。いつまでもこうした状況で良いのか。流通サイドの理解が得られなければ変えられないし、現時点ではまったくメドは立っていない。ただ、現状のままで何も問題がないと思われていては困る。

〈米麦日報 2018年5月21日付より〉

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