カナダ大豆生産10年連続で増加、さらなる拡大へ/カナダ大豆セミナー

カナダ大豆協会 ロン・デビッドソン専務理事
カナダ大使館で2日、カナダ食品大豆セミナーが開かれ、カナダ大豆業界の現状や、品質基準への取り組みなどが報告された。

冒頭あいさつしたカナダ大豆協会のロン・デビッドソン専務理事は「カナダ大豆の生産量はこの10年連続で増加しており、これからの10年も増加していく。生産技術はこれからも向上していく。またNon-GM大豆の生産も増えていき、日本における豆腐やみそ、豆乳に使用されるだろう。過去5年間の日本への輸出量は30万tを超え、17年は35万2,000tとなっている」と話した。

カナダ農食品政策機構のドン・バッキンガム社長兼CEOがカナダの農業、食品産業の概要について説明した。

カナダ農食品政策機構 ドン・バッキンガム社長兼CEO

カナダ農食品政策機構 ドン・バッキンガム社長兼CEO

カナダ農食品政策機構のドン・バッキンガム社長兼CEOがカナダの農業、食品産業の概要について説明した。

カナダは農業に適した耕地が豊富で、大豆や菜種、小麦などの穀物や油糧種子は、農業生産総収入1位で34%を占め、国内・輸出向けに生産していると強調した。2位は畜産で24%を占め、国内・輸出向けだとした。その他の乳製品や園芸作物は国内向けだとした。大豆については、16年度の国内消費量は257万7,000tで、輸出量は419万1,000tだとした。

〈17年産Non大豆収穫量はオンタリオ・ケベックで170万tを見込む〉
オンタリオ州穀物生産者団体のマーク・ブロック会長は「オンタリオ州における革新的大豆生産」について講演した。

オンタリオ州穀物生産者団体 マーク・ブロック会長

オンタリオ州穀物生産者団体 マーク・ブロック会長

オンタリオ州での大豆生産量は約363万tで、コーンに次ぐ主作物だとした。その上で、持続可能な農業イニシアチティブとして、SAIプラットフォームに取り組んでおり、合わせて、農家持続可能性評価(FSA)を策定し、農家の環境、経済、社会的側面を評価対象とし、第三者機関の検証により、オンタリオ州の農業の持続可能性を世界に保証しているとした。なおFSAでは金、銀、銅、銅に満たない、の4段階で評価されるが、オンタリオ州の多くで銀以上の評価を得ているとした。

ブロック会長は「研究により農家の環境、経済上の持続可能性が向上しており、さらなる持続可能な発展を促進するために、病害虫体制、品種開発、品質、生産工場を優先研究課題としている。研究投資額では病害虫耐性が最も多く、現状ではグエルフ大学で大豆種子中のイソフラボンとダイズシストセンチュウに対する耐性との関係を研究している」と述べた。加えて、播種部分のみを耕起するストリップ耕起や、適切な場所に適量の肥料や水を散布する可変作業技術(VRT)などのより農家の効率が改善し、環境・経済上で生産性が向上しているとした。

続けてカナダ大豆協会のジム・ミリントン市場開発ディレクターがカナダ大豆産業の概要と最新情報について紹介した。カナダ大豆の生産量はこの10年連続で伸長を続けており、GM大豆中心に西部での収量向上が寄与しているとした。

カナダ大豆協会 ジム・ミリントン市場開発ディレクター

カナダ大豆協会 ジム・ミリントン市場開発ディレクター

Non-GM大豆は安定的に生産が行われ、オンタリオ州、ケベック州における17年産収穫量は約170万tだとした。17年産は東部では有益な降雨に恵まれたが、西部では干ばつとなり、平均単収も前年を下回ったとした。全国平均単収は39.1bus/Aではあったが、サスカチュワン州では20bus/A程度と天候による影響を大きく受けたとした。

品質保証については、種子法により、新しい種子は5世代に渡り、生産が可能だとした。またISOに準じた文章管理、HACCP原則を順守しているとした。それに加え全サプライチェーンを対象とした、カナダ分別生産流通制度(CIPRS)があるとした。

〈大豆油糧日報 2018年3月8日付より〉

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