東京油問屋市場は6月に開いた第118回定時総会で、任期満了に伴う役員改選では、新理事長に館野洋一郎氏(タテノコーポレーション社長)を選任したほか、副理事長には、金田雅律氏(マスキチ社長)、島田豪氏(島商社長)を再任、さらに宇田川公喜氏(宇田川商店社長、全国油脂販売業者連合会会長)を選任した。

館野理事長は都内でこのほど開いた就任記者会見で、抱負として、油問屋市場や油問屋の伝統を引き継ぎながら、新しい時代を先取りする活動により社会貢献に努めていく考えを示した。

館野理事長は会見にあたり、始めに「油問屋市場はこれまで、食用油の販売を通して、社会に貢献していくため、生活必需品として適正価格での安定供給に取り組んできた。また、ユーザー・取引企業や消費者、製油メーカーの信頼を基に、110数年の歴史を築き上げてきたと思っている。そんな油問屋市場ではまだ若輩だが、これまでの伝統を引き継ぎ、新しい時代を先取りするくらいのつもりで、油問屋の機能のあり方などを含めて、皆様の力をお借りしながら、世の中に貢献できる活動をしていきたい」と抱負を述べた。さらに、「私自身の油脂業界歴は約5年と浅い。だからなおの事、業界の内外から、さまざまな方々から謙虚に意見を聞きながら、同時に私個人の経験を生かし、これまで常識と思われていた事柄についても、別の角度から見ることで社会貢献のあり方を考えていきたい」と付け加えた。

〈商流や食用油の価値が変化、川上・川下双方向の情報発信を大事にしたい〉
館野理事長は続ける形で油問屋市場の活動方針として、企画委員会では伝統行事の運営に加えて、新しい時代に向けた勉強会・研修会を行う考えを示した。

建値委員会でも立会の開催や建値発表に加え、「これまで十分活用できていなかったIT・ネットを活動に生かす取り組みを検討したい。油問屋の伝統的機能は重要だが、川上・川下の間に立場として、双方向の情報発信という基本を大事にしたい。油問屋市場としては無論のこと、食用油の健康評価が高まるなかで、企業・ユーザー・消費者のニーズを拾い上げ、その情報発信という双方向性が大事になる。商流や食用油の価値が変化し、新しいプラットフォームビジネスが世の中に出てきている。そういうものを通して、世の中と向き合っている方々に商品・情報をいかに届けるのか、フェイス・トゥ・フェイスのつながりも大事にしながら考えていきたい」と述べた。

このほか館野理事長は、油脂業界を長年、外から見てきた立場から、どのように油脂業界は見えるのか、という記者からの質問に対して、「自分としては業界のことはいろんな形で見聞きしており、同世代の仲間もいることから、本籍地に戻ってきたという感じを持った。一方で、業界の伝統についてはまだまだ体得できていないと感じており、この数年は先輩方から教えを受けてきた。油問屋については、100年・200年と続けてきた伝統の中で、変わらないでいるべき部分と、時代に合わせて積極的に変わらなければいけない部分があると考えている。そういった考えは同世代の仲間とも共有できていると思っており、経験の無い部分は教えていただくと同時に、全く違う視点で、油問屋市場の垣根を広げる取り組みなど、行政機関にいた経験を生かしたい」と述べた。

[プロフィル]東大卒。94年農水省入省。12年に同省を退職し、13年にタテノコーポレーション入社、専務に就任。14年に同社社長に就任。48歳。東京都出身。

〈大豆油糧日報 2018年8月29日付より〉