不二製油グループ本社、重点事項にトップライン強化や新工場建設・生産能力増強など

不二製油グループ本社は5月13日、都内で2020年度3月期の決算説明会を開催し、酒井幹夫社長らが出席し、前期の総括と今期の計画、現状の課題と中期的な方針について説明を行った。

酒井社長は2020年度を振り返り、「新型コロナの影響を受け、上期を中心に販売数量が大きく減少したことが減収減益の要因」と述べた。ただ、下期にかけては改善傾向となり、昨年11月発表の修正見通しに対し、営業利益は14億円増となったとし、「日本と中国が想定よりも好調だった」と要因を述べた。

2021年度計画については、「売上高は販売数量の回復や原料高、販売単価の上昇により増収を計画している。営業利益は、カカオ先物益への反動、急激な原料高による採算悪化、新設の設備投資による償却費の増加などはあるが、新型コロナ影響からの脱却、販売数量の増加により、前期と同水準の計画とした」と語った。

セグメント別では、原料高の影響が大きい植物油脂と大豆加工素材事業は減益を見込むが、業務用チョコレートと乳化・発酵素材事業は増益を計画している。エリア別では、東南アジアと中国は増益、米州はカカオの先物益の反動はあるが前年並み、日本は原料高騰により減益を計画する。

2021年度の重点事項として3点を挙げた。まず、原料高騰への対応については、「価格改定を進めるとともに、油に関しては原料や在庫のポジション管理について全世界共通ルールを作り、管理徹底することでリスクを下げていく」とした。

次に、トップラインの強化について、「中国でマーガリン、フィリングなど製菓・製パン素材が好調で、チョコレートも世界的に回復傾向だ。伸ばせる市場に集中し、確実にトップラインを伸ばしていく」とした。さらに、新工場の建設と既存事業の生産能力増強については、「建設中の北米の油脂工場、ドイツに建設中の機能剤新工場に注力する。ハラルド社では第2工場の建設、ブラマー社は設備投資による既存事業の生産能力の増強を図る」と述べた。

〈大豆油糧日報2021年5月17日付〉