やまみ 関東市場の売上高は「前年同期比で倍に」、中・高価格帯の開発強化/山名徹社長インタビュー

やまみ 山名徹社長
――上期(21年7月~12月)の業績見通しは

富士山麓工場(静岡県駿東郡)の売上高が増加しており、前年比で増加を見込んでいる。一方、利益面は原料高騰の影響を最小にすべく取り組みを進めている。改善余地があった物流面など、現場でかなりのコストダウンを図っているが、上昇分の半分程度しか吸収できておらず、著しく低価格なものなど一部商品で価格変更をさせて頂いた。

大豆や食用油価格上昇はもちろん、今後は容器包装の値上がりなども加わり、コスト環境は更に厳しくなるだろう。

中・高価格帯商品の開発を強化し、売上で利益を賄う方策をとっていく。

――エリアごとの動向と戦略について

注力している関東市場は、まだ構成比は大きくないが、売上は前年同期の倍となっている。価格訴求商品を戦略としてきて、それにより採用が広がったが、付加価値品も一緒に置いてもらう面での提案を強化する。

富士山麓工場の稼働率は向上しているが、依然月次で赤字の状態なため、2022年度中に黒字化を果たしたい。

原料高騰の中でも、当社のスケールメリットがあれば、他社よりも良い条件で納入できるだろう。

また、当社は2019年に関東市場に本格参入したため得意先様との繋がりがまだ弱い部分があり、当社が出来ることは何かを考え、提案を行っていきたい。

主力商圏の中・四国、関西市場は販売が好調だ。土台はしっかりあるため、今後は北海道産大豆使用など中・高価格帯の実績を積み上げていく。当社の設備は圧倒的な生産能力であり、これら小ロット生産の商品群は注力してこなかったが、納入先の広域化により、店舗当たりの発注量が少なくても全体ではかなりの数量になるため、今後は積極的に対応していきたい。

〈本社工場におぼろ豆腐製造ライン導入、既存設備の能力アップも〉
――今後の設備投資の予定は

2021年、関西工場(滋賀県甲賀市)に約2億円の常温乾燥きざみ揚げ設備を入れたほか、今年3月には本社工場(広島県三原市)におぼろ豆腐のラインを入れ、おぼろ豆腐を商品化できるよう進めている。そのほか、既存設備の能力アップを図っている。

――今年の新商品展開について

先行して、2021年12月に味が付いていない常温乾燥きざみ揚げを発売した。

また、3月から本格的に「べに花油であげたお揚げ Wデラックス」を北海道・東北除く全国で展開していく。栃尾揚げのような油揚げで、コロナ禍で家のみ需要が続くなか、焼くだけで楽しめる商品だ。パッケージも売場が楽しくなる、盛り上がるデザインにしている。 

――そのほか、注力する取り組みについて

東証プライム市場上場維持基準適合に向け、利益を倍にしていく。当社としては、まずは富士山麓工場を黒字化し、次の提案に繋げたい。そしてやはり一番は人材強化で、ヘッドハンティングなどを実施しているが、スピード感を上げて取り組む。

〈大豆油糧日報2022年2月17日付〉