大豆を原料とする植物性代替食品の二大潮流は、大豆ミートの一枚肉の開発と、大豆を用いた代替麺の開発だ。

今や食品スーパーでも普通にコーナー化されつつある大豆ミートだが、これまではミンチタイプが主流で、フィレやブロックなどのタイプもあったものの、一口大の大きさにとどまっていた。大判サイズの利点は、トンカツやステーキなど、より肉肉しい存在感のあるメニュー化が可能になることだ。

また、畜肉以外の植物性代替食の開発では、ライスや麺といった主食系も目立ってきた。大豆の麺やご飯は、カレーやラーメンなど主食で完結するメニューだけでは不足しがちなたん白質を摂取できるとともに、糖質を減らせるので健康志向にも応えることができる。

従来の乾燥大豆ミートはミンチタイプが主流であるため、大豆ミート加工品もハンバーグやそぼろといったメニューが中心だった。もちろんブロックタイプやフィレタイプもあるので、回鍋肉や焼肉などのメニュー化も可能だったが、食べ応えの面ではやや物足りなさもあった。

一枚肉がそれまでなかったのは、成形するのが難しいためだ。その課題も各社の配合や結着技術の工夫によって克服され、昨年から今年にかけて一枚肉にした大豆ミートが登場している。

岩手県の老舗大豆ミートメーカーのアジテック・ファインフーズは2021年12月、北海道産大豆を主原料にした大判ステーキ肉の様な形状の「ファインミート」を発売した。独自工法で大豆臭を抑えており、「コレステロールを気にせず、ガッツリ食べられる」(アジテック・ファインフーズ)と訴求する。

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グリーンカルチャーは2022年2月の発表会で、長さ30cmの「植物性とんかつ」を披露した。その肉質について金田郷史社長は、「繊維質がしっかり残っていて、動物性のトンカツのような繊維状の食感を楽しむことができる。当社の配合の技術で、大きな大豆たん白と小さな大豆たん白を組み合わせることで、30cmという大きさであっても割れることなく、一枚肉のようにくっついた肉を作ることができた」と技術的な背景を説明する。

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グリーンカルチャー「植物性とんかつ」

グリーンカルチャー「植物性とんかつ」

丸紅は、7月下旬に社員食堂で開催した第2回「サステナブルフードDAYs」で、業務提携しているDAIZの植物肉「ミラクルミート」の一枚肉を使って、要望が多かったというトンカツを提供した。「新しい形で提供できないかDAIZ社と相談し、一枚肉の食感を『ミラクルミート』で再現してもらった」(丸紅)。
 
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ただ、一枚肉の場合は食べ応えや満足度が高くなる一方で、食感や味わいの面で畜肉と比べられやすくなる。ミンチタイプなどのメニューと異なり、ソースなどの濃い味付けで誤魔化しも効かないため、より肉らしい味わいが重視される。合格点をもらえる品質が求められる。
 
〈主食だけで完結するメニューが増加、たん白質が摂れる大豆の麺も続々と開発〉
大豆を原料にした麺の開発では、キッコーマン食品が8月10日、「大豆麺」を新発売する。おいしさを担保する最適な配合を考え、小麦と半々の比率が選ばれた。和洋中の家庭で簡単に作れないソースをセットにした時短、簡便商品でもある。簡便化の流れもあり、副菜の品数が減り、カレーやラーメン、パスタなど、主食だけで完結するメニューが増え、たん白質が摂りづらくなっている背景から、「主食でたん白質を摂れるようにして栄養課題を解決したいと考えた」(キッコーマン食品)。
 
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大豆の麺の開発で先行しているマルサンアイは8月1日から、累計販売食数100万食突破した冷凍大豆麺「ソイドル」の乾麺タイプ「ソイドルドライタイプ」を通販限定で発売開始した。大豆100%麺となり小麦や卵は不使用、健康が気になる人も罪悪感なく食べることができるとしている。
 
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大豆ミートを製造・販売しているエヌ・ディ・シー(岐阜県各務原市)は8月から、お湯を注ぐだけで簡単に調理できる大豆麺「インスタント大豆ヌードル」を生産開始した。99%が国産大豆で、残り1%はラーメンでも使用するかん水だ。開発で最も難しかったのは「麺を極限まで細くすること」(エヌ・ディ・シー)だというが、直径1mmになるまで挑戦したことで生まれた商品だ。

エヌ・ディ・シー「インスタント大豆ヌードル」

エヌ・ディ・シー「インスタント大豆ヌードル」

〈大豆油糧日報2022年8月5日付〉