いもち病のイネへの感染メカニズムを発見、コムギへの応用も=農研機構

農研機構、岩手生物工学研究センター、東大生物生産生産工学研究センターは9日、いもち病菌がイネに感染する鍵となる遺伝子「RBF1(アールビーエフワン)」を発見したと発表した。今後、RBF1遺伝子の働きを阻害する物質が見つかれば、新たないもち病防除の開発が期待される。また、コムギのいもち病防除にも役立つことが期待される。いもち病は世界各国で稲作に深刻な被害をもたらす重要病害。海外では小麦での被害も広がっている。いもち病菌がイネに感染するには、イネの自己防御システムを回避する必要がある。これまで、その回避するメカニズムはよく分かっていなかった。今回の研究は、イネの自己防御システムではなく、いもち病菌の感染メカニズムを解析したもの。イネの細胞内に侵入したいもち病菌はRBF1遺伝子から作られたRbf1タンパク質を分泌。それにより、BICという構造体を形成することで、イネの防御反応を抑制し、感染を成立させることを明らかにした(図)。また、RBF1遺伝子を欠失させたいもち病菌は、イネに感染できなくなった。この研究により、RBF1遺伝子の動きを阻害すれば、いもち病菌の感染を防ぐことができることが分かった。健在、阻害剤探索に向け、Rbf1タンパク質の生成条件の解明に取り組んでいる。RBF1遺伝子はコムギに深刻な被害をもたらす他のいもち病菌にも存在するため、研究により汎用的ないもち病防除方法の開発につながることが期待される。

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