アイリスグループ、農業参入 米の生産から製品販売まで一貫/初年度は宮城県内に22ha、記念に大山社長と社員が田植え行う

説明会後、初年度利用農地でアイリスオーヤマの大山晃弘社長(中央)と社員が田植えを行った。
説明会後、初年度利用農地でアイリスオーヤマの大山晃弘社長(中央)と社員が田植えを行った。

アイリスグループで精米業や農業関連商品の販売を手掛けるアイリスアグリイノベーションは5月12日、農業への参入を発表し、宮城県亘理町の同社亘理精米工場で説明会を開催した。従来実施してきた提携農家や米卸からの玄米調達のモデルは継続しながらも、自社農業で収穫した米を調達してパックごはんに使用するとし、サプライチェーンの複線化を図る。

説明会ではグループの中核企業であるアイリスオーヤマの大山晃弘社長が農業参入の経緯や今後のビジョンについて話した。「(2013年に参入した精米事業を含めて)農業へ展開した最初の理由は東日本大震災だった。この被災体験がその後の事業展開の軸を変えた」とし、同社グループでは東北の農家の営農再開を支援するために精米の分野から食品事業に参入した経緯がある。こうした姿勢に代表される、日本の社会課題を解決する「ジャパン・ソリューション」というコンセプトは食品以外の分野でも、家電メーカーの技術者を再雇用して海外流出防止を図った家電事業や、コロナ禍で国内生産を開始したマスク事業、直近では労働力不足に対応するためのロボティクス事業などで実践されているという。

アイリスオーヤマの大山晃弘社長
アイリスオーヤマの大山晃弘社長

パックごはんは現在、資材生産をアイリスプロダクト、調達・精米をアイリスアグリイノベーション、加工をアイリスオーヤマ、流通をアイリスフーズ、販売をアイリスプラザが担う、一気通貫体制を敷いている。精米やパックごはんに用いる玄米は、現在は東北を中心とした全国の提携農家と米卸業者から調達しているが、今回の農業参入により、アイリスアグリイノベーションが営農して収穫した米もパックごはんの原料とする予定だ。初年度は国内向けパックごはんに使用し、次年度以降は輸出向けパックごはんへの転用も検討している。「米の輸出額は25年のデータで前年比約15%のプラス。中でもパックごはんに限ると30%超の成長を見せている。日本のインバウンドの好調持続や、海外での和食ブームの定着があれば、さらに金額は増えていくと考えている。しかし、輸出需要が伸びる一方で、輸出向けの新市場開拓米の作付意向は前年減となっている。非常にいびつな構図だ」と懸念する状況に、営農参入で対応する考えだ。

初年度は宮城県丸森町内の複数箇所で、合計22haの規模でスタートする。5年後に200ha、長期目標として全国で1,000haを掲げる。

農地活用には農地中間管理機構(通称:農地バンク)を活用する。これは農家の高齢化や担い手不足という社会課題への対応策になっている。大山社長は地域計画の策定状況の資料をもとに、地域計画区域内の農用地等の面積422万haのうち134万haで10年後の受け手が位置付けられていないことを指摘。「食品、特にお米に関わる企業として、これを座視するわけにはいかない。次世代につながる持続可能な農業の実現をしていきたい」として、農地バンクを利用して農地をリースし、地代を農家に支払う形式をとるという。

農業にはアイリスアグリイノベーションの社員が従事するほか、アイリスグループ内で社内公募を行い、従事者の増員も行う。閑散期には通常業務を担うようにし、人材を有効活用できる体制を整えるとしている。農機具や資材も自社で購入・調達し、「食品メーカーの資金力や購買力も使って、より効率的に営農できる形をとりたい」。「将来的にはドローンの利用や、乾田直播栽培の採用など、先進的な生産性の高い営農を目指す」と意気込んだ。

〈米麦日報2026年5月14日付〉

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