〈シグナル〉違いを楽しむ

 
コロナを契機に、オンラインで会議に参加する機会が増えた。
 
私は大阪支局に在籍しているため、複数人が集う本社の会議に、私1人がリモート参加する状況がほとんど。会議に参加する全員がリモートであれば、対面に近い感覚で、場を共有できるかもしれない。1人だけがリモートの場合、複数のメンバーが醸成する場の空気に付いていききれないもどかしさを味わう。そして改めて、場の空気の大切さを意識するようになった。
 
会議など人と人との話し合いがうまくいくポイントは、人の意見を、「すぐに判断、否定、批評をしない」で、そのまま受け止めること。これをルールとして取り入れているのが、アイデア出しの方法で有名な「ブレーンストーミング(ブレスト)」だ。複数人が集まって自由に意見を出す方法で、意味のあるものにするには、ファシリテーター(司会進行)の役割が重要だという。
 
先日、本社で行われたブレストに、私1人リモート参加した。その場からは完全に取り残されたが、参加者が楽しそうに意見を出し合っているのが伝わってきて、こちらまで楽しくなった。
 
楽しむ空気を醸成できれば、誰もが委縮しないで意見を言える。否定する空気はその真逆だ。言葉にしないように努めても、否定や拒否の感情が態度に出てしまい、相手に伝わることがある。見解の相違を、楽しめるくらいの余裕があれば、話し合いはいつもうまくいきそうだ。
 
〈食品産業新聞 2020年8月31日付より〉