大豆ミートは踊り場抜け出せるか真価問われる年に、協会設立や業務用回復の機運高まる

カスミ「フードスクエアつくばスタイル店」大豆ミートコーナー(ハンバーグ)
カスミ「フードスクエアつくばスタイル店」大豆ミートコーナー(ハンバーグ)

大豆ミート市場は2020年、2021年の急激な市場拡大に比べると、2022年はやや伸びが鈍化し、2023年はやや踊り場に差し掛かった印象だ。

ただ昨年は、マルコメ、スターゼン、伊藤ハム米久ホールディングス、日本ハム、大塚食品の5社が「日本大豆ミート協会」を設立し、コロナの5類移行による人流回復やインバウンドがかつての水準まで戻ったことにより、業務用市場での需要拡大の機運も高まった。そういった流れを受け、2024年は大きく浮上していける年となるか。大豆ミートが今後の更なる拡大を図れるかを占う意味でも、真価が問われる年になりそうだ。

植物性食品が市民権を得始めている中、大豆ミートはその代表格として、存在感を高めてきた。特に2020年以降、大手食品メーカーや畜肉がメインのハム・ソーメーカーが相次いで参入したことで商品ラインアップが急増した。

また、差別化を図るため、定番のミンチタイプからブロックタイプ、スライスタイプが投入され、手間のかかる水戻しが不要といった簡便化も進んだ。昨年辺りからは魚肉の代替商品が登場し、常温やチルドに加えて冷食カテゴリへの商品展開が目立つなど、バリエーションも豊富になった。

その一方で、競合は激化することになり、限られたスーパーの棚に並ぶ商品の優勝劣敗がはっきりし始めたという声が聞かれ始めた。いまや一部調査では大豆ミートの認知率が99%、購買経験が65%(2023年11月「第4回大豆ミート食卓白書」)と高く、スーパーでの「大豆ミート」などと題した売場も定着しつつあるものの、踊り場から抜け出すためには、継続的に利用されることが必須となる。

〈ピンポイントのメニュー提案、チキン・カレー・ハンバーグの分類で売場づくり〉

そのための施策の一例が、ピンポイントのメニュー提案だ。2023年10月にオープンしたカスミの「フードスクエアつくばスタイル店」では、大豆ミートコーナーを「チキン」、「ハンバーグ」、「カレー」といった分類でそれぞれの関連商品を陳列する売場づくりが行われていた。

マルコメが2023年10月にオープンした「マルコメ直売所」では、「大豆のお肉」関連商品を3カ月で8,600品販売した。売上1位が「ダイズラボキーマカレー」で、毎週箱買いするヘビーユーザーもいるという。「レトルトカレールーなので即食できることも好評の要因」(同社)と分析する。

亀田製菓グループのマイセンファインフードは、植物性100%のサラダチキン「植物生まれのグリーンチキン」シリーズが当初導入目標の1,000店舗を突破し、増え続けている。こちらもサラダチキンという分かりやすい商品の提案だ。

エヌ・ディー・シーは、薄い形状の大豆ミートを揚げて食べる「かるあげ」を発売する。鶏の唐揚げと比較し、食物繊維が豊富な点や1分で揚げられる利便性といった選ぶ理由を明確に打ち出していく考えだ。

〈大豆油糧日報2024年2月21日付〉

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