【フジワラテクノアート】小規模で再現性の高い培養実験可能な「小型通気式個体培養装置」

授賞式の様子 中央が藤原恵子社長
授賞式の様子 中央が藤原恵子社長

「日本の誇る醸造・発酵の技術を世界に普及していく、夢のある機械」と評価されたのが、フジワラテクノアートの「小型通気式個体培養装置」だ。「第5回FOOMA アワード2026経済産業省製造産業局長賞」の最優秀賞を受賞した際、後藤芳一審査委員長はそのように期待を寄せた。同社は創業以来、しょうゆ、みそ、清酒、焼酎などの醸造分野で培ってきた技術を基盤に、固体培養、液体培養、原料処理、プラントエンジニアリングを組み合わせ、微生物の力を高度に活用するものづくりに取り組んできた。「FOOMA JAPAN2026」の出展ブースでは、醸造技術を従来の食品製造にとどめず、おからやコーヒーかすなど未利用資源のアップサイクルや機能性素材開発、バイオものづくりへ展開する可能性を発信した。

「小型通気式固体培養装置」は、産業化を見据えた小規模で再現性の高い培養実験を可能にする装置となる。大型の培養装置と同様の制御を採用しており、通気培養を再現性高く行うことができる点が特徴だ。麹づくりには通常、48時間は必要となる。同装置は自動攪拌による24時間無人運転が可能なため、夜間作業が不要になる。内部はステンレス製でサニタリー性も網羅した設計であることも訴求する。

醸造業界では経験豊富な杜氏や蔵人はある程度、製麹に適切な温度や湿度の条件を把握している。ところが新規事業で未利用のバイオマス素材を使うとなると、試験が大変だという。シャーレの試験結果をいきなり大型装置で再現するのは不可能とされる。さらに、液体培養は撹拌すれば均一になるが、個体培養の場合は均一性を出すのが難しいという。そのギャップを埋めることができるのが同装置だ。

フランスの発酵研究コンソーシアムFdF(Ferments du Futur)の研究施設にも導入されており、国内では岡山大学や岡山県工業技術センターに納入実績がある。「研究機関の中核のところに入れて日本の醸造技術、文化を国内、世界に広めていきたい」(同社)。

■ラボ段階で始められる研究向け装置、2台設置することで培養結果の比較・検証に

今回の「FOOMA JAPAN2026」で初出展した「SSF miniLab」は、シャーレを使うラボ段階で固体培養を始められる研究向け装置だ。容量は2Lと、小型通気式固体培養装置の10Lと比較して、より安価・省スペースとなっている。導入しやすい仕様でありながら通気式の固体培養が可能だ。本体を2台設置することで培養結果の比較・検証に役立てられる点もアピールする。品温経過やファンのオン・オフ履歴を記録し、試験結果を比較・検証できる。培養実績はおから、ふすま、米などの原料がある。装置オプションとして、差圧計、風量計、床上温湿度計、床下温湿度計を用意している。

今回の「FOOMA JAPAN2026」で初出展した「SSF miniLab」
今回の「FOOMA JAPAN2026」で初出展した「SSF miniLab」

「ラボスケールの要望があったことから開発した。個体培養の事業化を見据えたテストをしたいところに需要がある」(同社)。

また、同社が力を入れている取り組みが「微生物インダストリープラットフォーム」だ。これは、機能性成分の探索や固体培養試験、培養条件の最適化、スケールアップ、プラント・工場建設、事業化に至るまで一貫してサポートする事業スキームとなる。これまで未利用資源の活用は、素材開発の段階で止まってしまうケースも少なくなかったという。同社は発酵技術、データ解析、装置化、プラントエンジニアリングなどを組み合わせることで、素材開発から社会実装までをつなぐことを目指す。

具体例として、おからや小麦ふすま、コーヒーかすなどの未利用バイオマスに固体培養を行い、メタボローム解析によって成分変化を可視化する取り組みを進めている。培養によって新たに検出・増加する機能性成分も確認されており、今後は「機能性アップサイクル素材」の開発や、培養条件の最適化への展開が期待されている。「当社単独で完結するのではなく、食品メーカー、研究機関、分析企業、素材開発企業など、多様なパートナーとの共創により、新たな市場や産業の創出を目指していく」(同社)。

〈大豆油糧日報2026年6月18日付〉

媒体情報

大豆油糧日報

大豆と油脂・大豆加工食品の動向を伝える日刊専門紙

大豆油糧日報

大豆から作られる食用油や、豆腐、納豆、みそ、しょうゆを始めとした日本の伝統食品は、毎日の食卓に欠かせないものです。「大豆油糧日報」では、発刊からおよそ半世紀にわたり、国内外の原料大豆の需給動向、また大豆加工食品の最新情報を伝え続けております。昨今の大豆を巡る情勢は、世界的な人口増大と経済成長、バイオ燃料の需要増大により、大きな変化を続けております。一方で、大豆に関する健康機能の研究も進み、国際的な関心も集めています。そうした情勢変化を読み解く、業界にとっての道標となることを、「大豆油糧日報」は目指しています。

創刊:
昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
体裁:
A4判 7~11ページ
主な読者:
大豆卸、商社、食用油メーカー、大豆加工メーカー(豆腐、納豆、みそ、しょうゆなど)、関係団体、行政機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送 *希望によりFAX配信も行います(実費加算)
購読料:
3ヵ月=本体価格29,700円(税込)6ヵ月=本体価格59,044円(税込)1年=本体価格115,592円(税込)