味の素AGF×上賀茂神社、「神山湧水珈琲」10周年で夜間参拝と夜カフェの催事を期間限定で開催

◆「神山湧水珈琲」累計24万杯を奉納
味の素AGFは、京都・上賀茂神社とともに、夜間の本殿参拝や蛍の鑑賞、神山湧水で淹れた特別なコーヒーを楽しむ体験催事「京都の四季を味わう神山湧水珈琲会」~初夏の蛍と夜カフェ~を、6月12日から15日まで開催している。神社境内の湧水を活かした「神山湧水珈琲」の提供開始から10周年を記念したもので、味の素AGFと神社が継続してきた文化事業の節目として企画された。参加者は各日20名限定で、すでに応募は締め切られている。催事開催に先立ち、6月11日にはメディア向け体験会が開かれ、京都市の岡田憲和副市長も出席する中で、取り組みの背景と意義が紹介された。

催事では、国宝の本殿・権殿の夜間特別参拝に加え、「ならの小川」での蛍鑑賞ツアー、重要文化財「庁屋」での夜カフェ体験などが行われる。カフェで提供されるのは、神山湧水で淹れたコーヒーと和菓子のセットだ。和菓子は、京都の老舗・亀屋良長による「烏羽玉」と、初夏をテーマにした「錦玉」が用意された。蛍鑑賞では、ゲンジボタルとヘイケボタルが飛び交い、幻想的な光の舞が訪れた人々を包んだ。

メディア体験会では、大阪公立大学の平井規央教授(農学研究科)が蛍の生態について解説。「ホタルは環境の変化に敏感で、こうした自然の営みが保たれているのは地域の努力の賜物」と語り、上賀茂神社が維持してきた水辺の豊かさと蛍の関係について説明した。
味の素AGFは2015年、上賀茂神社の式年遷宮にあわせて「神山湧水珈琲」の奉納を開始。これまでに累計24万杯を奉納してきた。奉納されたコーヒーは、境内にあるカフェスタンドで提供しているほか、同神社で行われる結婚式などでも使用されている。今回の催事は、こうした取り組みを広く知ってもらう機会として行われた。
味の素AGFの島本憲仁社長は、「神山湧水珈琲は、神様に奉納し、“おさがり”として参拝者に味わっていただく特別な一杯」と語った。「神社の文化や空間と調和するコーヒーとして、10年の節目にこのような形で紹介できたことを嬉しく思います」と述べた。
上賀茂神社の高井俊光宮司も、「神社でコーヒーの提供を始めた当初は意外性を持たれたが、神山の水で淹れることに納得いただける方が多かった。今では“神様の水で淹れたコーヒー”として口コミやSNSで話題になり、参拝目的の一つとして楽しみに来られる方も増えている」と話す。
環境活動にも力が入る。脱炭素プラットフォームの「Earth hacks」と大学生による「Earth hacks デカボアンバサダー」が連携し、蛍の保全や川の清掃を実施。参加した学生からは「自然と人のつながりを感じました」との声があった。
Earth hacks社代表の関根澄人社長は、「こうした文化的な取り組みを通じて、“デカボ(脱炭素)”の考え方を広めるきっかけになればと思っています。自然を感じながらサステナビリティに触れる機会を広げていきたいです」と話した。
「神山湧水珈琲」の開発を担った味の素AGF開発研究所の前田哲蔵さんは、「神山湧水は、日本各地の軟水と比較しても、成分バランスが整っていて非常にやわらかい水です。コーヒーにすると、まろやかで口当たりがよく、雑味のない味になります」と説明した。また、和菓子との相性も意識し、京番茶とコーヒーに共通する“焙煎香”に着目した焙煎設計にしていることを明かした。

神社と企業、自然と人のつながりが形となった式年遷宮記念文化事業から10年の月日が経過した。両者は今回の催事を経て、奉納と交流の積み重ねにより築かれた信頼を背景に、新たな活動へと歩みを進めている。