【理研農産化工・弟子丸静磨社長インタビュー】厳しい搾油環境、製粉テコ入れ

1万4,000tの油糧原料を貯蔵できるサイロ
1万4,000tの油糧原料を貯蔵できるサイロ

理研農産化工は九州を拠点に製油と製粉の両事業を展開している。福岡工場は博多港の箱崎ふ頭の食品団地内に立地しており、5万t級の大型船も直接接岸可能で、1万4,000tの油糧原料を貯蔵できるサイロを備えている。大豆油や菜種油を製造するとともに、畜産業の盛んな九州全域に飼料用としてミールを供給している。5年前に稼働した佐賀県の新製粉工場は内麦比率が40%を占め、大手との差別化を図っている。製油と製粉の売上比率は8対2だが、バイオ燃料需要の増加でオイルバリューが50%を超える厳しい搾油環境下、比較的安定した製粉はテコ入れを図り、海外展開にも力を入れていくという弟子丸静磨社長にインタビューを行った(インタビューは中東紛争が起きる前に実施)。

弟子丸静磨社長
弟子丸静磨社長

――前期(3月期)の着地見込みは

原料高、為替の円安の影響を受けており、増収減益の着地見込みだ。前期の経常利益は7億6,000万円だったが、2月時点で3億7,000万円、最終的には4億5,000万円となる見込みだ。非常に厳しい1年だった。

新製粉工場の佐賀工場が稼働して丸5年になる。償却を含めて厳しい4年間だったが、5年目に黒字化できたのは明るい材料だ。製油事業は儲かる時は儲かるが、デコボコがある。コンスタントに稼げるのは製粉事業で、佐賀工場は今後もテコ入れを考えており、立体倉庫の建設なども予定してる。

製油事業を担う福岡工場は操業46年になる。来年一部の大型機械の更新を計画している。大型機械の更新はさらに2カ所残っている。建設コストや機械価格も高騰しており、それぞれ 10億円規模の投資となる。

――足元のコスト環境を

4月からの価格改定を発表した。前回9月の価格改定では、業務用の斗缶は実際には4~6割上がったのみで積み残しがある。ひと昔前は相場と為替で先が読めたが、バイオ燃料需要が出てきて、そちらに取られる比率が大きくなっている。発生量が増えているミールの価格は下がっており、夏場は高温で家畜も飼料を食べる量が減る。畜産県の九州に工場があるのは当社のみで優位性があるが、ミールサイロを備えていてもさばききれない状況だ。

――製粉工場について

あえて佐賀平野のど真ん中に建てた。佐賀県は小麦の産地で、北海道、福岡に次ぐ全国3位の生産量だ。中小の製粉メーカーとして、大手と外麦で戦っていても仕方がない。立地を生かして内麦を中心に差別化を図っている。製粉業界全体では内麦は 10%のみだが、佐賀工場は現在 40%前後が佐賀県産だ。将来的には50%まで高めることを目標にしている。

〈九州唯一の製油メーカー、共配システム構築検討、「炊飯用油ふっくらエースEX」発売〉

――今期の方針は

安定した利益を確保できる製粉事業をテコ入れしていく。国内人口が減る中、数年前から輸出を開始しているが、ほぼ商社任せだった。昨年から中国や東南アジアの展示会にも積極的に参加している。中国にはパン用粉の輸出を開始しており、営業担当も置いた。今後は東南アジアの輸出を進めていく。九州は中国にも距離的に近く、国内での市場開拓とともに輸出に力を入れていく。

食用油は沖縄から北海道まで出荷しているが、物流費がこれだけ上昇する中で、北海道まで運び続けるかについては疑問がある。九州の足場を固めていくべきではという話も出ている。加工油脂のローリー物流は関西までカバーしている。グループの理研運輸では製油用のローリー車は1台しか保有していないため、運送会社に北九州の運送をお願いしている。

ローリーは片道切符で運賃も高い。当社は九州唯一の製油メーカーだ。今後は、共配システムの構築も検討が必要だと考えている。

――商品ラインアップは

大豆油、菜種油に加え、こめ油やコーン油、パーム油も仕入れて販売している。オリーブ油もドラムで輸入し、ギフト商品で販売している。当社独自の商品として、国産大豆 100%の油もギフトを中心に、一部のスーパーで販売している。

――新商品について

美味いメシ屋の炊飯用油ふっくらエースEX
美味いメシ屋の炊飯用油ふっくらエースEX

業務用では斗缶と1650gハンドボトルの「炊飯用ふっくらエース」を販売していた。米が高騰し、外国産米が入ってきている中、米飯品質の安定、経時変化の耐性アップ、作業性の向上を掲げ1年前から開発を手掛けてきた。ようやく「美味いメシ屋の炊飯用油ふっくらエースEX」が完成した。当社としては、久しぶりの新商品となる。業務用で使い切りやすい525gのハクリボトル入りで、外食向けの問屋を中心に提案していく。6分の1の容量で家庭用も出す予定で、量販店の米売場にPOPを掲げて販売していく。米の価格高騰が背景にある。フードロスを少なくできるのが特徴だ。

〈大豆油糧日報2026年4月22日付〉

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昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
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