味の素AGF「ブレンディ カフェラトリー」スティック10周年、累計16億杯 SNS発でアイス飲用広がる、関連投稿3万3000件
味の素AGFの「ブレンディ カフェラトリー」スティックが、2016年の発売から10周年を迎えた。累計販売杯数は16億杯を突破。「カフェで過ごすようなご褒美のひととき」をコンセプトに、豊かな泡立ちや濃厚な味わい、多彩なカフェメニューを提案してきた。
2026年秋は、近年のカフェトレンドを取り入れた「濃厚スイートクリーミーカフェラテ」「濃厚アールグレイティーラテ」と、2023年から展開する「スイーツシリーズ」より「濃厚ストロベリーカスタードラテ」「濃厚マカダミアホワイトショコララテ」の4品を投入した。
10年間で変わったのは商品だけではない。生活者から生まれた飲み方が春夏需要の可能性を広げ、手軽なスティック飲料でありながら、お湯を注いでかき混ぜる「ひと手間」に価値を感じる声もある。商品開発では、担当者と研究所のメンバーが実際にカフェへ足を運び、味づくりを重ねている。
味の素AGFコンシューマービジネス部スティックグループの伊賀梨穂子さんに、10年間の変化と商品開発の舞台裏を聞いた。
〈SNS発でアイス飲用広がる、関連投稿3万3000件〉
スティック飲料は気温の影響を受けやすく、従来は秋冬のホット需要が中心だった。そうした中、2024年に「ブレンディ カフェラトリー」を冷たいミルクで割って楽しむ飲み方がSNSで話題となり、関連投稿は約3万3000件に達した(2026年9月時点)。
伊賀さんは「濃厚な味わいがアイスとも相性が良く、夏でも楽しめることが自然発生的に広がったのは驚きだったし、自信にもなった」と振り返る。
これを受け、2026年6月にはアイス飲用を提案する体験イベントを開催した。今後は、ホットでもアイスでもカフェのような1杯を楽しめることを訴求し、年間を通じて飲用機会を広げていく考えだ。
〈手軽なのに「ひと手間」がうれしい〉

発売当初は、カフェで飲むような本格的な一杯を家庭でも手軽に楽しめることを軸に、専門店のような味わいや泡立ち、カフェで過ごす上質な時間を提案してきた。
現在、ファンの声を分析すると、「今日はどれを飲もうか」という選ぶ楽しさや、「少し気分を上げたい」「自分へのご褒美が欲しい」といった時にも選ばれているという。伊賀さんが重視しているのが、商品を飲むまでの「ひと手間」だ。
「ブレンディ カフェラトリー」は、お湯を注ぐとパチパチと音が鳴り、かき混ぜることで泡が立つ。ファンからは「ほかのスティックより少し手間がかかるが、その時間が自分に対して丁寧に時間を使っているようでうれしい」といった声も寄せられているという。
伊賀さんは「手軽だけれど、自分のために少し時間を使う。その優しさや丁寧さによって自分自身が満たされる。そういう時間をもっと大切にしていきたい」と話す。
「あらゆる面でカフェ品質を追求するという考え方は、10年前から変わっていない」とする一方、生活者がカフェに求めるものは変化してきたとみる。
発売当時は、家庭では味わえない特別感や優雅な時間など、「非日常」を楽しむ場所としての印象が比較的強かった。一方、現在は日常から少し離れて、自分と向き合ったり、気分を上げたりする身近な場所としての側面も強まっているのではないかと捉えている。
「本格的な味わいを再現することはもちろん、カフェで過ごすような楽しさやワクワク感も『ブレンディ カフェラトリー』を通じて感じていただきたい」(伊賀さん)。
大きな転機となったのはコロナ禍だった。外出機会が減り、家庭でもカフェのような時間を楽しみたい「おうちカフェ」需要が拡大。「発売当初からあった専門店品質へのニーズがさらに加速した」と振り返る。その後も、生活者がカフェに求める価値の変化に合わせ、商品ラインアップを広げてきた。
〈スイーツシリーズ、購入経験は2023年度比131%〉

その変化を商品に反映した代表例が、2023年から展開する「スイーツシリーズ」だ。外食カフェや専門店で生まれるトレンドを取り入れ、家庭で楽しめる形にすることで、ブランドに新鮮さを加える役割も担う。
認知率は2023年度比118%、購入経験は同131%となった(AGF調べ)。新商品の情報をSNSで発信すると、ファンから「今年の新作が来た」「絶対に買う」といった声が自然に広がるという。「新しいお客様との接点だけでなく、ファンの方にも響いているシリーズ」と位置付ける。
「ブレンディ カフェラトリー」は、若年層がスティック飲料に触れる入口にもなっている。伊賀さんは「従来のスティックカテゴリーの切り口ではなかなか獲得できない若年層との接点を、『ブレンディ カフェラトリー』を通じてつくれている」と説明。「カテゴリーの新規ユーザーを獲得するブランドとしても機能していきたい」と話す。
甘めのフレーバーをきっかけに購入した人が、次にキャラメルや抹茶ラテなどを選ぶ動きもある。一方、定番のラテメニューは、自分に合った甘さを見つけると指名買いにつながりやすいという。現在のラインアップは17品で、新しい世代を呼び込む商品、買い回りを促す商品、指名買いされる定番商品など、それぞれに役割がある。
〈商品コンセプト10案、パッケージ50~60案〉
外食カフェのトレンドを積極的に取り込む一方、一時的な流行には飛びつかない。スイーツシリーズでは、生活者が「最近よく見る」「どこかで聞いたことがある」と感じるフレーバーであることを重視する。担当者自身もさまざまなカフェやスイーツショップへ足を運び、トレンドを確かめる。
商品開発では、研究所のメンバーと一緒にカフェへ出向き、「この味わいを再現したい」と商品で目指す味を共有することもあるという。
過去に開発したグレープフルーツとジャスミンを組み合わせた商品では、多数のアイデアからコンセプトを約10案まで絞り、消費者調査を実施。購入意向や「おいしそう」と感じてもらえる案を選んだ。中身についても、グレープフルーツの苦味や甘さ、ジャスミンとのバランス、どちらの香味を先に感じさせるかまで細かく検討した。
研究所から一度に5案程度の試作品を出してもらい、「もう少しグレープフルーツ感を強くしたい」などと意見を交わす。試作は何十回というレベルで、研究所内部ではさらに多くの試作を重ねているという。
パッケージデザインも50~60案を検討することがある。商品パッケージに使うスイーツやカップのビジュアルも実物を撮影。スイーツシリーズでは、味わいのイメージを伝えるため、組み合わせるスイーツやカップの見せ方まで検討した。
伊賀さんは「カフェでメニューを選ぶように、その日の気分に合わせて一杯を選べる豊富なバラエティが『ブレンディ カフェラトリー』の強み」とする一方、「闇雲に商品を出してもすべてが店頭に並ぶわけではない。小売の方々の負担もあるので、最適な品揃え、ラインアップは何かを常に考えている」と話す。
〈次の10年、「日常と非日常の間」に〉
次の10年では、単にカフェの味を家庭で再現するだけでなく、「ちょっとした幸せを感じたい」と思った時に、「ブレンディ カフェラトリー」を思い浮かべてもらえる存在を目指す。
伊賀さんは「最終的には、家でカフェのような体験を楽しみたいと思った時に、一番に『ブレンディ カフェラトリー』を思い起こしてもらえる状態をつくりたい」と話す。
お湯を注ぎ、かき混ぜて泡を立てる。手軽なスティック飲料の中にある、わずかな「ひと手間」を、自分のために使う時間と感じる人もいる。
「『ブレンディ カフェラトリー』は、日常と非日常のちょうど間にある存在を目指したい」と伊賀さん。毎日の暮らしの中で、ちょっとした幸せを感じられる時間を届けるブランドとして、次の10年を見据える。







