緑茶飲料に逆風、麦茶やコーン茶が存在感 世界的な抹茶人気で茶葉価格も上昇

多様な味わいや飲用シーンを提案する茶系飲料各社の商品。左から「生茶 熟成」「紅の伊右衛門」「お~いお茶 YUZU GREEN」「やかんの麦茶」「北海道コーン茶」
多様な味わいや飲用シーンを提案する茶系飲料各社の商品。左から「生茶 熟成」「紅の伊右衛門」「お~いお茶 YUZU GREEN」「やかんの麦茶」「北海道コーン茶」

茶系飲料市場が伸び悩んでいる。2026年1~9月の販売金額は前年同期比2%減(本紙調べ)となり、主力の緑茶飲料は、大手飲料メーカー各社への取材によると同5~7%程度減少したとみられる。一方、麦茶やコーン茶が存在感を高め、緑茶でも味わいや香りを切り口に新たな需要を探る動きが広がっている。海外では世界的な抹茶人気を背景に日本茶の需要が拡大し、国産茶葉の価格も上昇している。

価格改定や天候不順が影響、水や麦茶への需要流出も

緑茶飲料を取り巻く環境が厳しさを増している背景には、価格改定や夏場の天候不順がある。2026年夏は前年の記録的な高温には及ばず、東日本太平洋側では降水量がかなり多かった。メーカー関係者からは、こうした天候が飲料販売に影響したとの見方が出ている。

家庭での日常的な飲用では、水や麦茶などとの競争も激しくなっており、緑茶飲料からの需要流出を指摘する声も聞かれる。

全国清涼飲料連合会の統計によると、2025年の緑茶飲料の生産者販売金額は前年比99.9%とほぼ横ばいだった一方、麦茶飲料は104.4%、ブレンド茶飲料は104.2%、その他茶系飲料は116.1%と伸長した。その他茶系飲料は生産量も増加しており、緑茶以外の茶系飲料の存在感が高まっている。

HIKAKINの「ONICHA」も話題、無糖茶の選択肢広がる

こうした中、素材本来の甘みや香ばしさ、香りを生かした商品提案が活発になっている。

HIKAKINさんが手掛ける「ONICHA 麦茶」(左)と「ONICHA コーン茶」
HIKAKINさんが手掛ける「ONICHA 麦茶」(左)と「ONICHA コーン茶」

麦茶では、人気動画クリエイターのHIKAKIN(ヒカキン)さんが手掛ける「ONICHA(オニチャ)」が今年4月に発売された。また10月には「ONICHA コーン茶」も投入されて話題を集めた。

コカ・コーラシステムは、2021年に「やかんの麦茶」を発売して以降、同社の麦茶カテゴリーが6年連続でプラス成長しているという。9月28日には機能性表示食品「やかんの麦茶 濃い味 from 爽健美茶」を発売。「やかんの麦茶」に続く2本目の柱として育成し、食事中の飲用を切り口に通年需要の拡大を目指す。

ポッカサッポロフード&ビバレッジは「北海道コーン茶」で新規顧客の開拓を進めている。北海道産契約栽培とうもろこしを使用した自然な甘みと香ばしさが特徴で、広告や店頭施策を通じて味わいの訴求を強化する。業務用でも居酒屋を中心に「お茶割り」などの用途が広がっており、飲食店で味を知った消費者が家庭用商品を購入する動きもみられる。

サントリービバレッジ&フードは「GREEN DA・KA・RA」ブランドで、麦茶に加え、コーン茶や黒豆茶などを展開。伊藤園も黒豆茶やジャスミン茶、ルイボスティーなど素材や香りの個性を生かした商品を揃える。アサヒ飲料は「十六茶」で16素材を組み合わせた独自のおいしさを訴求し、ブレンド茶ならではの価値を打ち出している。

世界的な抹茶人気で茶葉価格上昇、飲料用原料にも影響

世界的な抹茶ブームを背景に輸出が伸び、2025年の緑茶輸出額は前年比98.2%増の721億円に達した。しかし国内では、茶園面積の減少や生産者の高齢化、担い手不足が進んでいる。海外需要の拡大と国内の生産基盤の縮小が重なり、国産茶葉の価格は上昇している。

「お~いお茶」の容器に表示された「日本茶」の地理的表示(GI)マーク
「お~いお茶」の容器に表示された「日本茶」の地理的表示(GI)マーク

伊藤園の本庄大介社長は6月の決算説明会で、茶農家が抹茶向けに生産を転換する動きが飲料用原料にも影響していると説明した。7月には「日本茶」が地理的表示(GI)として登録され、業界ではブランド価値の向上や生産基盤の強化に向けた取り組みが進む。飲料メーカーにとっては、原料の安定確保が課題となっている。

緑茶ブランドも味わい・香りで新需要開拓

緑茶飲料でも、新たな価値を打ち出す取り組みが進む。従来の飲みやすさや健康機能に加え、茶葉本来の味わいや香りを訴求する動きが広がっている。

キリンビバレッジは10月13日、「生茶 熟成」を発売した。半年から2年間低温保管した茶葉を一部使用し、芳醇な香りと深いうまみ、コクを打ち出す。同社は無糖茶に求められる価値が多様化していると捉え、緑茶の新たなおいしさを提案している。

フルーツの香りを組み合わせた緑茶飲料の提案も広がる。伊藤園は「お~いお茶 PURE」シリーズで、レモンの香りを生かした「LEMON GREEN」を展開し、9月には国産ゆずの香りを楽しめる「YUZU GREEN」を発売した。アイリスオーヤマも6月、緑茶に果実の香りを加えた「アイリスのお茶 綠(りょく)」のレモンと白桃の2種類のフレーバーを投入した。

サントリービバレッジ&フードも「伊右衛門」ブランドで香りを切り口とした商品提案を進める。「紅の伊右衛門」では、日常的に緑茶を飲む人にも気分転換に異なるお茶を楽しみたいニーズがあると捉え、新たな選択肢を提案した。

価格改定や原料高への対応が続く中、飲料各社は味わいや香り、素材の特徴を生かした商品を展開し、新たな需要の開拓を進めている。

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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