菊正宗酒造、「樽酒」60周年で需要喚起
〈KITTE大阪19店とフェア、春風亭一之輔氏をアンバサダールに〉
菊正宗酒造(神戸市東灘区)は、「日本酒の日」の10月1日、KITTE大阪(大阪市北区)で「菊正宗樽酒フェアin KITTE大阪」の記者発表会を開催した。1966年の発売から60周年を迎えた「樽酒」の記念アンバサダールに落語家の春風亭一之輔氏を起用。館内19店とのコラボメニューや新CMなどを通じ、樽酒の多様な楽しみ方を提案する。
嘉納治郎右衞門社長は、60年は還暦に当たるとして赤いネクタイで登壇。長年の愛顧に感謝を示した上で、樽酒の歴史について「江戸時代には酒を樽に詰めて流通し、酒屋でも量り売りしていた。当時は日本酒イコール樽酒だったと言っても過言ではない」と説明した。
戦後に瓶が普及する中、同社は1966年、樽酒を瓶詰めした1.8L商品を発売。「『やっぱり樽の風味がした酒がうまいよね』というお客様の声をくみ取り、樽に詰めた酒をもう一度瓶に移し替えるひと手間をかけて供給したのが始まり」と振り返った。現在では伝統的な商品となったが、発売当時は「ある意味革新的だった」と語った。
同社がものづくりのテーマに掲げる「伝統と革新」に触れ、「今となれば樽酒は伝統の一丁目一番地のような酒だと思う」とした上で、革新の連続の中で引き継がれてきたと説明。現在は職人を抱えて樽づくりも自社で手掛け、吉野の100年杉にこだわりながら樽酒を造り続けている。「60周年を節目に、さらに多くのお客様に樽酒、日本酒の魅力を伝えていきたい」と意欲を示した。
一之輔氏の起用について嘉納社長は、樽酒が日本酒の歴史や文化の一つのルーツであることに触れ、一之輔氏も落語という日本の伝統文化を引き継いでいるとして、ともに日本の伝統文化を盛り上げていきたいと期待を寄せた。
一之輔氏は「楽しいお酒を飲んで、樽酒の良さを皆さんにアピールできれば」と抱負を述べた。
発表会では一之輔氏が出演する樽酒60周年記念の新CM2本を披露した。横浜にぎわい座の高座で撮影したという。
「菊正宗樽酒フェアin KITTE大阪」は同日から31日まで。同社が樽酒をテーマに飲食店フェアを実施するのは初めてで、地下1階、地上4~6階の計19店が参加。各店が料理と「菊正宗 樽酒」を組み合わせたコラボメニューを展開し、すべてのメニューに樽酒が付く。提供方法はメニューによって異なり、冷やしてストレート、常温またはぬる燗、ソーダ割りなど多様な飲み方を提案する。コラボメニューの注文者には、樽酒60周年を記念したアンバサダールオリジナルグッズを数量限定でプレゼントする。
発表会では一之輔氏が、すし酒場さしすの「樽酒とさしすの酒肴三種(金華さばきずし、うざく、魚の酒盗和え)」(税込1,078円)、角打ち 小野の離れの「菊正宗60周年専用センベロセット」(同1,000円)、たこ焼き発祥の店 大阪玉出 会津屋の「菊正宗純米樽酒セット(元祖たこ焼き12個)」(同1,000円)を実食した。

樽酒のソーダ割りには「酒を飲んでいるというより水分補給に近い。うまいですね。樽の香りがこう振ってくる」と好反応。会津屋の元祖たこ焼きとの組み合わせには「ずっと止まらなくなるような感じ。たこ焼きでお酒を飲むのは初めて」と話した。
囲み取材で嘉納社長は、19店の協力により、さまざまなジャンルやレシピとのペアリングメニューが提案されることから、樽酒の多様な楽しみ方を感じてもらえるのではないかと期待を寄せた。KITTE大阪での開催については、かつて大阪中央郵便局があった場所で、人が集まり、つながる場所だったことに触れ、現在のKITTE大阪も人や文化などをつなぐ場所であるとして、樽酒を媒介にさまざまな人との接点を広げたい考えを示した。
一之輔氏は、過去に同社を訪れ、樽づくりを見学した経験にも触れ、「樽づくりは一朝一夕でできるものじゃない」と職人の手仕事に言及。樽酒を飲む際には、米や水、杉、樽を造る職人らにも思いを馳せながら楽しんでほしいとし、「まず香りを嗅いでもらう、味わってもらえるとうれしい」と魅力をアピールした。







