官民連携食育プラットフォームが会員交流会、150人超が参加 青山学院大学フェアトレードラボと連携し大人の食育推進

「大人の食育推進プロジェクト」
「大人の食育推進プロジェクト」

官民連携食育プラットフォームは10月7日、東京・内幸町のイイノカンファレンスセンターで「令和8年度会員交流会」を開催し、参画する企業や青山学院大学の学生ら、150人あまりが参加した。同会では、農林水産省と青山学院大学フェアトレードラボの連携による「大人の食育推進プロジェクト」の発表会が行われ、学生たちが若者視点から大人の食生活を改善する新規事業を提案した。優れた提案を行ったチームに対する表彰式も実施され、産学官連携による食育の新たなアプローチが共有される場となった。

「官民連携食育プラットフォーム」は、農林水産省が中心となり、伊藤園、カゴメ、キッコーマン、日本アクセスなど18社が設立発起人として名を連ね昨年5月に設立。企業・団体などと連携して「大人の食育」を推進するための取組みを進めている。

開会にあたり、参画企業であるベルク(埼玉県鶴ヶ島市)の長島隆食品管理室長があいさつし、産学連携の重要性について、25年前に店長として小学校で食育の授業を行った経験を振り返り、当時は手探りであったものの、現在では行政、企業、教育機関の連携が不可欠な時代になっていると話した。また、参加した学生に対しては、社会に出たら誰よりも早く考え、行動に移すことの重要性を説き、これからの活躍に大きな期待を寄せた。

続いて、農林水産省の担当者が青山学院大学フェアトレードラボとの連携プロジェクトについて説明した。同プロジェクトでは、大人の食に関する行動変容を促すことをテーマに、6グループの学生が夏休み期間を利用して事業提案を考案した。また、学生たちは大人の食育推進のための愛称として「食べとく」「食プラス」「食イノベーション」という3つのネーミングも考案した。当日は事前審査を通過した3グループが、自ら制作した動画を交えてプレゼンテーションを行った。

グループ1は、旅行会社との共同による企業の労働組合などを対象としたカスタマイズ型の社員旅行プランを提案した。あえて「健康」を前面に出さず、地域の美味しい食事や観光を楽しむことで、結果的に健康的な生活サイクルを体験させるという内容とした。家族の参加も歓迎し、完全自由時間を設けることで従来の社員旅行のイメージを払拭した。旅行を通じた社員間のコミュニケーションの深化や幸福度の向上を狙い、参加特典として国産食品の購入クーポンを提供するなど、日常的な行動変容につなげる工夫も盛り込まれた。

グループ2は、若者世代に馴染みのある「推し活」を農業に掛け合わせた「ワンピックファーマー」を提案した。公式SNSを通じて農家の人柄やこだわりを発信し、消費者に特定の農家を「推し」として最大5人まで登録してもらう仕組みで、単なる知識の提供ではなく、「知る、好きになる、買う、作る、食べる」という感情の動きを利用する。応援したい農家が育てた野菜を購入して料理するという一連の行動を促すことで、大人の食行動を自然に変えていくアプローチが特徴だ。

グループ5は、若者のトレンドであるキャラクター診断と食生活の改善を組み合わせた提案を行った。食育に対する心理的ハードルを下げ、栄養や健康に関する情報を文章や数値だけでなく、キャラクターとして可視化することで、参加者が自身の健康状態や食生活の課題を自分ごととして捉えやすくする仕組みを提案した。

発表後には会場で参加者投票が行われ、各賞が表彰されるとともに、カゴメ、キッコーマン、ハウス食品、ライフコーポレーションなどの協賛企業から提供された賞品が授与された。

最優秀賞には、キャラクター診断による可視化で行動改善につなげたグループ5が輝いた。プレゼンターとして講評した日本ハム広報・サステナビリティ部の日根真弓氏は、難しくなりがちな食育の心理的ハードルを下げた点を高く評価した。ナイスアイデア賞には、推し活と食育を結びつけ、感情に働きかけるストーリー性を持たせたグループ2が受賞した。グッドチャレンジ賞には、健康の押し売りを避けつつ、社員旅行を通じたウェルビーイングの向上を目指したグループ1が選ばれた。

農林水産省の岡朋史大臣官房審議官
農林水産省の岡朋史大臣官房審議官

閉会にあたり、農林水産省の岡朋史大臣官房審議官が講評を行った。岡氏は、同プラットフォームの参画企業・団体が発足から1年半で約170社・者に拡大したことに感謝を述べた。学生たちの提案については、いずれも魅力的で優劣をつけがたいと称賛。特にグループ1の旅行プランに対しては、単発のイベントで終わらせるのではなく、特定の地域に継続的に関わる「関係人口」の創出につなげる視点を持つべきだと助言し「産地を支える関係性を作ることが、結果的に食育や地方創生にも貢献できるのではないか」と話した。岡氏は、参加企業からの実践事例発表にも触れ、食育の推進には周囲をうまく巻き込んでいくことが極めて重要だと総括した。

交流会では、ほかに食育実践優良法人顕彰認定企業における取組発表として、食育実践優良法人2026を取得した物流企業、サイショウ.エクスプレス(東京都江東区)の齋藤敦士社長が、自社の従業員に向けた食育の取組を発表。

また、会員の「大人の食育」ショートスピーチでは10会員がそれぞれで取り組む「大人の食育」について発表した。

〈冷食日報2026年10月20日付〉