コカ・コーラBJ、物流改革で輸送距離23%短縮 自動化と共同配送で効率向上
コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、2025年の製品の総輸送距離を2022年比で23%短縮した。消費地に近い工場で製造する「地産地消」の推進や全社横断の需給管理などによって効率化を図った。同社はAIやデータと現場の知見を組み合わせ、業務の進め方や意思決定を変革する「飲料テック」を推進しており、物流改革もその一環。人手不足や物流コストの上昇に対応するため、設備の自動化や他社との共同配送などにも取り組み、持続可能な供給体制の構築を進めている。10月21日に東京都内で開いたメディアブリーフィングで、SCM本部ロジスティクス戦略グループ統括部の髙木宏治氏が成果と今後の方針を説明した。

同社は国内最大のコカ・コーラボトラーで、1都2府35県を営業地域とし、17工場と埼玉(比企郡吉見町)・兵庫(明石市)の2カ所の大規模物流拠点「メガDC」、約290カ所のセールスセンターなどを展開する。製造から取引先への配送まで一貫して担う直販モデルが特徴だ。髙木氏は他の食品・飲料メーカーとの違いについて、製造から配送まで在庫を一元的に管理できる点を挙げ、「お客様の手前まで在庫をコントロールできることが非常に大きな強み」と話した。
〈輸送距離23%短縮、物流拠点を約90カ所閉鎖〉

物流改革では、AIを活用した需要予測や生産・配送計画の最適化を進めている。17工場すべてで全商品を製造できるわけではないが、生産効率と輸送効率のバランスを分析し、できる限り地域内で製造・供給する体制を目指している。
髙木氏は「物流の究極の理想は、物を運ばないこと」と強調する。一つの工場で大量生産すれば生産効率は高まるものの、遠方への輸送が増えれば物流負荷も大きくなる。このため、製造から配送までの全体最適を重視し、輸送距離の短縮につなげた。2026年もさらなる削減を進めているという。
物流拠点も再編し、2017年以降に約90カ所を閉鎖した。2021年に稼働した埼玉メガDC(埼玉県吉見町)と2022年に稼働した明石メガDC(兵庫県明石市)では、ロボットによる商品のピッキングや自動搬送設備を導入。従来は各拠点で行っていた作業を集約し、物流ネットワークの効率化につなげている。
〈自動化で荷役時間約7割削減、先行投資の成果と課題〉

物流現場の省人化も進む。山梨県の白州工場では、豊田自動織機と連携して自動運転フォークリフトの実証運用を進めている。パレット2枚を同時に扱い、製品の積み込みや荷下ろしを自動化する仕組みで、髙木氏によると、すでに実際の運用を始めている。
また、「RORO(ロールオン・ロールオフ)」と呼ぶ荷役設備では、トラックの荷台と倉庫側の設備を接続し、パレットを自動で一括搬送する。500mlPETボトル製品の場合、約1,500ケースを一度に扱うことができ、フォークリフトによる従来作業と比べて積み込み・積み下ろし時間を約7割削減できる。
トラックの待機時間短縮にも取り組んでいる。荷役場所の予約システムでは、ドライバー自身がスマートフォンから空き時間を確認し、運行状況に応じて予約を変更できるようにした。ドライバーの拘束時間削減につながる取り組みとして、物流現場の働き方改善を進めている。
一方、大規模な自動化設備の運用では、維持管理やエンジニアの確保が課題となっている。髙木氏は、メガDCの運用について「当初想定していたシナリオよりも正直苦労している」と率直に語る。そのうえで、保守・運用に必要な技術や人材の内製化を進め、設備を安定的に稼働させる体制の強化に取り組んでいると説明した。
先行投資の判断については、建設資材の価格高騰を踏まえ、現在同規模の施設を建設すれば「倍くらいの費用がかかったと思う」と述べ、「あのタイミングで作って本当によかった」と振り返った。
〈メーカーと小売業の物流連携を拡大、商慣習も見直し〉
他社との物流連携も重要な柱だ。ファミリーマートとの配送車両の共同活用や、競合する伊藤園との共同配送などを進めている。
2025年10月には、バローグループの物流会社である中部興産、スギ薬局と東海地方で物流効率化に向けた協業を開始した。バローとスギ薬局の在庫管理の一体化に合わせ、コカ・コーラBJ側も出荷拠点を集約。リードタイムなどの物流条件を調整し、配送の効率化を進めている。
髙木氏は、メーカー間の共同配送に加え、メーカーと小売業の物流連携にもさらなる拡大の余地があるとの見方を示した。2026年には、同社が取引先の物流センターまで製品を配送する代わりに、取引先の配送車両の帰り便を活用し、同社の拠点まで製品を引き取りに来てもらう取り組みを複数実施したという。こうした配送方法の見直しによって物流効率を高め、企業間連携をさらに推進する考えだ。
また、配送頻度や納品時間帯、発注単位などの見直しにも取り組む。従来は同社の営業担当者と取引先の商品・調達担当者が物流条件を話し合うことが多かったが、現在は双方の物流担当者や責任者も交えて協議している。
取引先によっては、配送頻度を減らすことで在庫負担が増える場合もある。このため、一律に物流条件を変更するのではなく、取引先の保管スペースや荷受け体制などを踏まえて調整を進めている。髙木氏は、実際に物流担当者同士で話し合うことで、従来は難しいと思われていた条件の変更が実現した事例もあると説明した。
今後は2030年に向けて、統合型物流センター「IDC」の整備を進め、物流拠点のさらなる集約とネットワークの簡素化を図る。輸配送計画や倉庫管理システムの高度化にも取り組む方針だ。
同社は中期経営計画「Vision 2030」で、2026~2030年の5年間に300億~350億円の変革効果を掲げている。物流分野でも、データやテクノロジーの活用と企業間連携を進め、人手不足や輸送能力の制約などに対応しながら、生産性の向上と安定供給体制の強化を目指す。







