「サントリー天然水」6分の1にたためる2Lペットボトル開発、20年ぶり容器リニューアル/サントリー食品インターナショナル

サントリー食品インターナショナルは4月5日、ナチュラルミネラルウォーター「サントリー天然水」2Lペットボトルにおいて、飲み終わった後の空容器を約6分の1のサイズにできる“小さく、たたみやすい”新容器を開発したと発表した。この容器を採用した商品を4月上旬から順次発売し、夏頃までに全て切り替える。

新容器は、従来からの持ちやすく注ぎやすい形状や、容器として積載・搬送に耐えうる強度を維持したまま、持ち手となる胴部のみを平行四辺形の形状にしている。それにより、押すと自然にスライドし、ななめ方向につぶれやすくなるという。

つぶした後「折りたたむ時の目印」として、ボトルの肩と底の部分に星型のエンボスを入れ、たたみやすさを向上。さらに、ボトル肩にヤマ折り線を付けることで、たたんだ際に小さくロック(固定)できる形状となっている。重量は従来の容器と変わらない。

サントリー食品では新容器開発に約2年をかけ、70超の試作にトライしたという。ボトルの強度は、輸送時などにおけるテストを重ねて確認。平行四辺形になっている持ち手部分は、角度をつけすぎると持ちづらくなる。つぶしやすさと持ちやすさのバランスを確保するために試験を繰り返したという。

同社ブランド開発事業部の佐藤晃世副事業部長は新容器発表会で次のように話した。「お客様から“たたみやすい容器にしてほしい”という明確なニーズはありませんでした。ただ、ペットボトルが家の中でかさばるとか、つぶしても元に戻ってしまうという声がありました。どうやったら一番簡単に小さくできるかをチームで考えた時に、たたみやすくするというアイデアが出てきました。不満の解消により、多くのお客様がポジティブに分別回収へ取り組んでいただけたら」。

サントリー食品は空容器を小さくたたむことで、収集作業員の人が1回あたりの回収量(かさ)を減らし、ルート効率などを改善できるのではないかと期待しているという。社会にとっても質の高い資源循環につなげることができるほか、収集車1台当たりの積載効率アップにより、収集車の必要台数を減らし、同社推計によるとCO2を49%削減できるとしている。

発表会場には「サントリー天然水」の新テレビCM「未来のためにできるかな?」篇に、布袋寅泰さんとともに出演する芦田愛菜さんが登場した。芦田さんはCMについて次のように話す。「見ていただいた方がペットボトルをたたんでみたいなという気持ちになってくれたら嬉しい。衣装の帽子は、ペットボトルのキャップをイメージしています」。

「サントリー天然水」ブランドは、2022年の年間販売数量が対前年8%増の1億2980万ケースとなり、5年連続で国内清涼飲料ブランドナンバーワンの商品だ。しかし、新商品ではない容器の取り組みをCMで流すのは業界でも珍しい。商品の訴求よりも、生活そのものをよりよくする提案の方に力を入れた格好だ。佐藤副事業部長は新容器のねらいについて次のように話した。「毎日飲んでいただくものなので、生活がちょっとでも豊かになるということで、この商品を選んでいただくと嬉しいです」。