「安い給食」脱却へ 給食企業の倒産、前年の半数に減少
給食企業の倒産件数が前年の半数に低下し、「安さ重視」から「適正価格」に商取引が変化しているようだ。
帝国データバンクの調査によると、学校や病院、社員食堂などを支える給食事業者の倒産は、2026年1-10月までに12件と前年からほぼ半減した。全国の給食現場に混乱をもたらした、ホーユーの経営破綻を契機に表面化した低価格競争のひずみはなお残るものの、請負単価の見直しや業界再編を通じて、給食業界は新たな局面を迎えている。
給食業界では、従前から学校や病院、福祉施設、社員食堂などを中心に価格競争が激しく、「安くて当然」の低価格競争に苦しんできた。2022年以降、主原料である青果や精肉、鮮魚などのほか、月2000品目を超える食品値上げに代表される各種食材費上昇に加え、調理スタッフの人件費や光熱費などあらゆる運営コストが高騰し、小中学校を含む給食事業者の経営を襲った。
2023年9月には給食運営のホーユー(広島)が事業を停止し、全国各地で給食提供がストップするなど波紋が広がった。2024年には物価高騰の波が一服したものの、2025年にはコメ価格の急上昇が追い打ちとなり、従来の低価格受注や薄利多売のビジネスモデルではコスト上昇を吸収しきれなくなった。その結果、多くの事業者で「安い給食」のビジネスモデルが限界に達し、過去最多の22件が法的整理により退出を余儀なくされた。
一方で、近年は「安すぎる価格では給食ビジネス自体が続かない」という理解が発注側にも広がり、給食事業者の業績改善も進んでいる。2025年度の損益状況が判明した全国約300の給食事業者のうち、「赤字」となった企業は29.0%と、2年連続で3割を下回った。各種コスト高を価格に反映できず、多くの事業者が採算割れに苦しんだ2022年度の39.4%と比べると大きく改善した。食材費や人件費の上昇は依然として重く、経営面では厳しい状況に変わりないものの、近年は請負単価の見直しや価格改定が徐々に浸透しつつあり、業界全体では収益環境の改善もみられる。

また、調理人員不足を背景に病院や介護施設などで外部委託需要が高まるなか、価格以外に「安定供給できること」「人材を確保できること」が重視されるようになった。かつては「安く作ること」を求められていたが、現在は「適正価格で安定・確実に供給できること」に変化している点も、給食事業者の業績改善を後押しする要因となった。
足元では、企業として消滅しても、手掛けてきた給食事業や契約が他社へ引き継がれるケースは多く、淘汰と再編が同時並行で進んでいる。給食提供がひとたび止まれば、子どもたちのみならず社会全体に広く影響が及ぶ「食のインフラ」であるだけに、「安い給食」から、「適正な価格で安定的に提供する給食」へ変化が期待されている。







