「サンマルクカフェ&茶」で30代女性を開拓、2029年度370店舗へ “閉まらない店”を積み上げる成長戦略
「変えること」が目的ではない
就任から約1年。小山社長は、この1年を「現状を見つめ直し、足元を固める一年だった」と振り返る。
サンマルクカフェは約10年にわたり、大きなブランド転換を行わず、不採算店舗の整理を進めながら事業を維持してきた。その結果、新規出店や新たな挑戦を経験する社員が限られ、組織全体としては「守り」に軸足を置く空気が強まっていたという。
だからこそ、小山社長が最初に取り組んだのは、新しい施策を次々に打ち出すことではなく、現場の声に耳を傾け、社員が再び挑戦できる土台を整えることだった。
――改革を進める上で大切にしている考え方は。
小山社長
私は何か特別な改革をしたという認識はありません。
この一年で取り組んできたのは、外食企業として本来大切にすべきことをもう一度見つめ直し、「そこまでやらなくてもいい」「自分たちの仕事ではない」と、いつの間にか線を引いてしまっていた部分にも改めて向き合うことでした。
例えば、サンマルクカフェの看板商品であるチョコクロです。定番商品だからこそ、生地やチョコレート、焼き加減、提供までのホールディングタイムなど、基本品質を磨き続けることが欠かせません。
「定番だから変えてはいけない」という空気も一部にはありました。しかし、大切なのは今のお客様のニーズに合わせて価値を高め続けることです。変えること自体が目的ではありません。
従業員が「従来の方が良い」と自信を持って言えるものは守り、改善すべきものはためらわずに見直す。その積み重ねが、ブランドを長く支持していただくための土台になると考えています。

■挑戦したい人が、組織を前へ動かす
そうした組織づくりの象徴として始めたのが、マーケティングや商品開発などの新たな部門への社内公募制度だ。
従来のように会社が異動を決めるのではなく、「挑戦したい人」に自ら手を挙げてもらう方式を採用した。
小山社長
守りの経営から攻めへ転じるには、これまでとは違う発想やスキルも必要になります。ただ、それは外から人を連れてくるだけではなく、社内にも必ず原石があると思っていました。
そこで、マーケティングや商品開発を強化する際には、「やってみたい人は手を挙げてください」と募集しました。
実際に昨年の社内公募では多くの応募がありました。営業や店長として現場で経験を積んできた社員も、自ら希望して挑戦しています。
現場が大変だから本部へ行きたい、ということではなく、「この仕事をやりたい」という意思を持った人が集まってくれたことが、とても大きかったですね。
私は、一人のリーダーが組織を引っ張るよりも、意欲のある人たちが先頭集団となり、その輪が少しずつ広がっていく組織の方が強いと思っています。
だから私は、一人で引っ張るというよりも、みんなで前へ進む組織をつくりたいと考えています。







