「サンマルクカフェ&茶」で30代女性を開拓、2029年度370店舗へ “閉まらない店”を積み上げる成長戦略
■「答えは現場にある」
インタビューを通じて印象的だったのは、「答えは現場にある」という現場主義の考え方だ。
――小山社長は現場を重視されていることが伝わってきました。
小山社長
私はオンラインで話を聞くよりも、実際に店舗へ足を運ぶことを大切にしています。
もちろん分析データも見ますし、営業レポートにも目を通します。ただ、それだけでは分からないことがあります。
店舗へ行くのは、レポートを確認するためではなく、自分の仮説を確かめるためです。レポートだけでは把握しきれない現場の実態も少なくありません。
神奈川県内では同じ店舗へ何度も足を運んでいます。同じ店を見続けると、小さな変化が見えてきます。例えば、ポスターの位置が変わっているだけでも、「現場で何か変化があったのではないか」と新たな仮説が生まれます。
――実際に現場に足を運ぶことで、なにか判断を変えたことはありますか。
大阪で「サンマルクカフェ&茶」の実験店を新規出店した際、営業側から「オペレーションが大変なのでメニューを減らした方がいいのではないか」という声があり、私自身もそう考えたことがありました。
ところが実際に店舗を訪れると、現場のスタッフからは「もう慣れました」「今メニューを変えられる方が困ります」という声が返ってきました。
その言葉を受けて、メニューはそのまま続けることにしました。実験店ですから、最初は全部やってみないと何が売れるか分かりません。結果として売れ筋とそうでない商品も見えてきましたし、改めて「答えは現場にある」と感じました。

■KFCで学んだ「ピープルビジネス」
――日本ケンタッキー・フライド・チキンでの経験は、現在の経営にどのように生かされていますか。
小山社長
私の考え方の大半は、KFC時代に培われたものです。一番大きいのは「人」の考え方です。
KFCでは「ピープルビジネス」という言葉を大切にしていました。「人」なくして事業は成り立ちません。これは今も変わりません。
ただ、サンマルクカフェにも今まで積み上げてきた歴史や文化があります。だからトップダウンで全てを一気に変えるのではなく、実験店で成功事例を作り、それを横展開していく。
時間はかかりますが、その方が最終的には強い組織になると思っています。
「第二創業期」の入り口に立つ
――最後に、この変革期をどう位置付けていますか。
小山社長
今年は第二創業期の入り口です。店舗数もようやく減少から微増へ転じました。無理やり店舗を出店すれば店舗数は増えますが、店舗数至上主義にはなりたくない。閉まらない店をどうやって作るかということが大事で、そのためには人がすごく大事です。人の成長には時間が必要なので、長期的な目で見ています。後から振り返ったとき、「ここがV字回復の起点だった」と言われる一年にしたいと思っています。
もちろん楽な道ではありません。難しい選択も続きます。
それでも今年は、成長軌道へ乗る最初の一年だと考えています。

コロナ禍で約100店舗を閉店し、守りの経営を続けてきたサンマルクカフェ。その再成長を支えるのは、「サンマルクカフェ&茶」や時間帯別施策といった新たな挑戦だけではない。
現場に足を運び、社員の声に耳を傾け、人が育つ仕組みを整えながら、「閉まらない店」を一つずつ積み上げていく――。小山社長が掲げる「第二創業期」の本質は、店舗数の拡大ではなく、持続的に成長できるブランドづくりにある。
サンマルクカフェは今、新たな成長ステージへの一歩を踏み出している。







