松屋銀座、中食需要を捉え好調に推移する冷凍食品事業を強化 雑誌『家庭画報』とのコラボ商品やイタリア料理名店の味が登場
松屋銀座は、2022年の事業開始以来、好調に推移する冷食事業「GINZA FROZENGOURMET(ギンザフローズングルメ)」の商品ラインアップの拡充を図る。1日から、雑誌『家庭画報』(世界文化社発行)と共同開発した銀座の名店の味を集めた「銀ぶらフローズングルメセット」を期間限定で発売したほか、イタリア料理の名店「エノテーカ ピンキオーリ 名古屋」初の冷凍食品の販売を開始した。今後も冷食事業のアイテム数を随時拡大し、2030年を目途に、現状の3倍に当たる売上高3億円を目指す。

銀座を中心とした全国の名店グルメが楽しめる同店の冷食事業は、コロナ禍以降の中食需要を捉え、順調に売り上げを拡大している。オンラインを含めた自社店舗(松屋銀座、松屋浅草)での販売に加え、卸売業(明治屋ストアーを中心に全国12店舗で販売)も展開しており、発売から5年目を迎え、商品数も350SKU まで拡大した。
9月30日に開いた商品発表会で冷凍食品事業責任者の今井克俊氏は、「国内冷食マーケットは1兆円規模だが、さらなる伸長が進む見通しだ。来年4月施行の食品消費減税を控え、中食が注目を集めているなか、当社としては冷食事業のさらなる拡大を目指す」と語った。税制の変化を追い風と捉え、商品ラインアップも拡充することで、これまで店舗でしか味わえなかった名店の魅力をより多くの顧客に届けていくという。
「銀ぶらフローズングルメセット」は、25年以上にわたって毎年「銀座別冊」を手掛けている雑誌『家庭画報』が培ってきた編集・目利き力を生かしたセット商品。「銀座の名店の価値を、より多く人へ届けたい」という『家庭画報』と銀座松屋の共通理念から実現したコラボ商品となる。同セットに参加した銀座の名店は、「銀座みかわや」「銀座吉澤」「銀座日東コーナー1948」「銀座ピエス・モンテ」「銀座はち巻岡田」「ナイルレストラン」の6店舗。「銀座吉澤」が手掛けたアミューズ、「黒毛和牛ローストビーフ&マッシュポテト」など前菜からデザートまで揃う「コース仕立てセット」(全6品、2人前、税込3万9,960円、以下全て税込)と、「銀座はち巻岡田」の名物料理「海老しんじょう」など酒のつまみを詰め合わせた「アペロセット」(全6品、1~2人前、2万4,840円)の2種類がある。それぞれの店舗で手作りした料理を、コロナ禍をきっかけに専用機器を導入したという「銀座日東コーナー1948」内のフローズンルームで、急速冷凍している。電子レンジやオーブン、湯せんなどで調理することで、名店レストランの味が自宅で楽しめる。販売期間は11月中旬まで。「松屋銀座」とWEB サイト「家庭画報ショッピングサロン」で取り扱う。
「エノテーカ ピンキオーリ 名古屋」初の冷凍食品は、ハーブやトマトをたっぷり使った「トスカーナ風ラグーのラザーニャ」(2,070円)と、ほうれん草香る優しい味わいのクレープ「リコッタとほうれん草の米粉クレープ」(同)の2品を発売した。松屋のグループ会社、アターブル松屋が運営する同店は、国際的権威を誇るイタリア料理ランキング「50TOP ITALY」に日本から唯一選出されたレストラン。名古屋店のシェフと、ミシュラン三つ星を獲得しているフィレンツェ本店のシェフが意見交換を行いながら、一から開発・完成させたという。
〇規格外農作物を特殊冷凍加工しBtoB卸売事業に参入
松屋銀座は商品発表会で、形が不揃いなどの理由で廃棄されてしまう農作物を特殊なスチームと冷凍技術で加工し、レストランなどの飲食店に卸す新規事業についても報告した。規格外農作物を中心とするフードロス削減に貢献する新たな事業に参入する。
開発を手掛けたのは、物流・食品卸のヤマタネのグループ会社、T.M.L(東京都新宿区)。同社が開発したソフトスチーム技術(特許技術)は、食材ごとの加熱最適温度をデータ化し、作物ごとに最適な温度・湿度・時間でスチームすることで、細胞を壊さずに、栄養価を保ち、おいしさを最大限に引き出すことができる。松屋銀座が手掛ける冷食事業「ギンザフローズングルメ」では、2023年からこの技術を用いた「冷凍ごはん」を共同開発し販売している。
規格外農作物の商品化第1号は、「青森県産ブランドとうもろこし『嶽きみ』のペースト」。嶽きみは、弘前市の岩木山麓にある嶽高原で栽培され、8~9月に収穫されるブランドとうもろこしで、糖度が18~20度と高く、フルーツ並みの甘さとジューシーさが特徴だ。繊細な作物で、収穫量の2~3割は一般流通できないという。同商品は、規格外の嶽きみを芯までペーストにしており、北海道美瑛町産ブロッコリーや青森県黒石市産メロンでも商品開発を進めている。

T.M.Lの山川裕夫社長は、「大半の食材は80℃で細胞膜が壊れる。従来の蒸気調理は100℃が基本で、細胞膜破壊による風味劣化が避けられなかったため、1℃単位でスチーム温度をコントロールできる機械とプログラムを開発した」と説明した。同社は、規格外農作物の商品化で付加価値を付けることで、農業従事者の収入の安定化と地域活性化を目指している。
松屋銀座は、地域共創の取り組みで、2023年に弘前市を含む地域連携DMOと連携協定を締結しており、その縁から今回の取り組みに至ったという。現在、老舗洋食店や人気洋菓子店が「青森県産ブランドとうもろこし『嶽きみ』のペースト」を使った商品開発を進めており、購入を検討している段階だという。松屋銀座では、海外展開も視野に入れており、同事業で3年後、1億円の売り上げを目指す。
〈冷食日報2026年10月2日付〉







