双日中国 植物肉「Xmeats」へ出資、日本市場で展開目指す、プロテインパウダーから肉の繊維質を再現、牛カルビ・サラダチキンなど製品化へ

Xmeatsブロック肉と牛肉サンプルの電子顕微鏡による繊維質比較
Xmeatsブロック肉と牛肉サンプルの電子顕微鏡による繊維質比較

双日中国(双日《中国》有限公司、北京市朝陽区)はこのほど、現地で植物肉「Xmeats」の開発研究・生産を手掛ける蘇陀(深セン)有限公司(以下、蘇陀社)に出資した。

蘇陀社は植物プロテインパウダーから動物肉のような繊維質を組織化する技術を所有しており、「Xmeats」ブランドとして現地や欧州市場向けにチキンナゲットやチキンカツ、ビーフジャーキーなどを販売している。

ここに双日中国が出資参画することで、日本での独占販売権を得るだけでなく、双日が出資参画している国内の植物肉事業会社(株)Tastable(テイスタブル)をはじめ、双日食料、ミートワンなど双日グループとの協業を進めていく。日本企業の技術力を生かし、中国現地での共同開発や、日本での最終製品化・販売を目指す。双日食料の池本俊紀執行役員は「日本では『Xmeats』の半製品を原料に、ミートワンの参画企業が誇る匠の技術を通じて、カルビやダイスカット、ステーキ、サラダチキンなど1枚肉製品を展開していく」と説明している。

蘇陀社は2019年12月設立の新興企業。大豆、小麦、エンドウ豆、ひよこ豆など植物タンパクを原料とする植物肉の研究開発・生産を手掛けている。深セン市のほか北京市、山東省、香港にR&Dセンターや生産工場などの拠点を展開し、中国の植物肉業界ではブロック肉製法の最先端企業とされている。ことし5月に双日中国や現地の大豆たんぱく製造企業など複数社が出資しており、出資規模は総額50億円に上る。

「Xmeats」の最大の特徴が繊維化技術だ。大豆やエンドウ豆など植物由来のプロテインパウダーを原料に、自社で開発した「繊維状Plantbased『タンパク肉』技術」によって、植物タンパク質を動物性タンパクの繊維質のように組織化させる。そこから完成した中間製品(原料肉)の繊維質は、鶏肉や牛肉などそれぞれの畜肉の繊維質に非常に似ており、高度な完成度を誇っている。この中間製品をベースに、揚げ物やスナック、軽食、洋食・ファストフードなどさまざまな最終製品を製造することが可能となる。

今回の出資により双日中国は、「Xmeats」に対して▽販売権(日本での独占販売、中国・東南アジア等での販売に関わる優先交渉)▽商流(原料・資材の調達およびそれに伴うファイナンス機能の提供)▽協業(国内外の最終製品メーカーとの提携推進など)▽投資――の機能を担う。

そして、日本でのビジネス戦略としては、2つの柱が計画されている。ひとつは、Tastableと蘇陀社が持つ技術を双方向に協業することで、より市場に適した最終製品の共同開発と製品化を中国現地で行っていく。

もうひとつは、日本で「Xmeats」の半製品を輸入し、Tastableおよびミートワンの参画企業が持つ匠の技術を生かして、味付けや加熱加工などを施して最終製品を生産していく。カテゴリーとしては、牛カルビやダイスカット、ステーキ、サラダチキンなど1枚肉関係を中心に、業務用・コンシューマ向けの両方を展開していく考えだ。Tastableは中国と日本でそれぞれ開発を担っていくことになる。

Tastableはこれまで、植物肉「NIKUVEGE(ニクベジ)」シリーズにあるようにパティやそぼろといったミンチ系の製品ラインアップが中心だった。同社でも独自に1枚肉製品の研究を進めているが、「Xmeats」と協業することで、よりスピーディかつ品質の高い植物肉製品を展開することが期待できる。さらに、今後はTastableとミートワンの参画企業らで素材の共同研究を進めるほか、双日グループと共同で合弁会社を設立し、半製品、最終製品の製造も検討していく方向だ。

〈畜産日報2022年9月16日付〉

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