姫路の小売地図が変化 ヨーカドー跡にドンキ、「ザ・モール姫路」経営は西友からイズミへ

兵庫県姫路市で、大型商業施設の経営会社が相次いで変わる。昨年3月に閉店したGMS(総合スーパー)「イトーヨーカドー広畑店」跡に2月16日、「MEGAドン・キホーテ姫路広畑店」がオープンする。また、同市内1番店の西友が運営する大型SC(ショッピングセンター)「ザ・モール姫路」の経営権を、大型SC「ゆめタウン」を運営するイズミ(広島市)が取得することが2月1日に発表された。イズミは同時に、西友から「ザ・モール周南」(山口県下松市)の経営権も取得する。両SCともに7月下旬に譲り受け、年内に「ゆめタウン」として再オープンする。

兵庫県姫路市はイオングループのSM(食品スーパー)「マックスバリュ西日本」(広島市)のお膝元。2011年に移転するまで姫路市に本社を構え、同市内に25店舗を展開し、食品小売ではトップシェアを持つ。ただ、近年は他地域のSMが進出してきて、市内の小売シェアの地図は徐々に変わってきている。

広島と岡山にSMをドミナント展開するハローズ(岡山県早島町)は、瀬戸内200店舗構想を掲げ、08年から四国・香川への進出を始め、11年には愛媛、徳島にも進出を果たした。

15年から新たな商勢圏として、兵庫県への出店を姫路市から開始した。イトーヨーカドー広畑店の隣接地に出店した「ハローズ広畑店」も、当初は知名度が低く苦戦していた。ハローズの佐藤利行社長は当時、「市内で最も支持されているのが西友(ザ・モール)。品揃えや価格でも十分に対抗できる。隣りのヨーカ堂の閉店が決まっているので、今後は売り上げも上がってくる」と話した。同社は現在姫路市内3店など兵庫県内に4店を展開し、順調に勢力を伸ばしている。ただ、ヨーカ堂の跡に「ドン・キホーテ」、西友の跡に「ゆめタウン」が進出してくると、姫路市内の勢力図は、また違った方向に行きそうだ。

イトーヨーカ堂、西友ともに経営資源の選択と集中という判断の中で、エリアからの撤退という判断になった。一方でイズミ、ドン・キホーテはドミナントエリアの深耕になる。ハローズは商勢圏をもう一回り拡大するという動きだ。姫路市内シェアトップのマックスバリュ西日本は、早くから店舗展開する分、古い小型店が多い。生鮮品の十分な加工機能を持てない店が多いが、集中ドミナントしている利点を生かし、10店舗程度に供給する鮮魚の集中PC(プロセスセンター)を設けて対応するなど、防戦を行っている。

姫路のような地方都市は人口動態や商環境の変化を背景に、各社の優劣関係がそれぞれ撤退、深耕、拡大などの動きになっている。今後各地の小売地図が変化していく可能性がある。

〈食品産業新聞 2018年2月15日付より〉

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