ファミリーマートとドン・キホーテ、共同実験店舗を開始 新たな魅力でコンビニの客数増狙う

立川南通り店 入口脇に「驚安商品」
ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスは1日、コンビニエンスストア(CVS)ファミリーマート店舗での共同実験を開始した。

2017年に締結した資本・業務提携に基づき、ドン・キホーテ店舗の品ぞろえや売り場づくり、運営手法を取り入れた実験店舗を3店舗運営する。ファミリーマートは減少傾向にある客数の増加、ドン・キホーテは狭小店舗運営のノウハウ獲得を目的とする。実験店舗は「ファミリーマート立川南通り店」(東京都立川市・6月1日オープン)、「ファミリーマート大鳥神社前店」(東京都目黒区・6月1日オープン)、「ファミリーマート世田谷鎌田三丁目店」(東京都世田谷区6月29日オープン)の3店舗で、正面の看板には「Produced by ドン・キホーテ」をデザインした。それぞれの地域に合わせた商品構成、店づくりを行い、いかに客数を増やすかの実験を進める。

〈両社の融合による化学反応を見る ドン・キホーテ、店舗運営ノウハウ獲得〉
取組の開始に当たり、「立川南通り店」で両社は合同で会見を開き、ファミリーマートからは営業本部ライン運営事業部今木誠部長、ドン・キホーテからは東日本営業本部の竹内三善本部長が参加した。今木部長は、「どういう結果が生まれるか実験していきたい。ここ2年間ほど客数がなかなか伸びない中で、いかにして客数を増やすかということを大きな目的としてやっていく」と説明した。竹内本部長は、「ファミリーマートの店舗運営ノウハウに、ドン・キホーテの商品展開や地域に合わせた商品提案、演出をミックスした時にどのような化学反応が起きるのかが今回の目的。ドン・キホーテとしても今後の多店舗展開において、狭小店舗でのノウハウを得ることは不可欠だ」と語る。

実験で獲得したノウハウは、両社の検討の上で今後の展開に生かされる。あくまで実験店舗の扱いで、同様の店舗を多店舗展開する考えは無いという。

多数の商品をドン・キホーテのテイストで陳列

多数の商品をドン・キホーテのテイストで陳列

同店の品ぞろえは、開店前と比べ、約1・5倍の5000アイテムとした。このうち、ファミリーマートの商品は2200アイテムで改装前の3400アイテムから1200アイテム減少。ドン・キホーテの商品は2800アイテムを導入した。売場面積約47坪に多くの商品をそろえた。ファミリーマートの商品は売れ筋のメーンの商品を残した。また、店舗に合わせた多くの商品をドン・キホーテから仕入れる。価格については、ファミリーマートの商品は全国のファミリーマートと同価格、ドン・キホーテから仕入れる商品については、ドン・キホーテの価格で販売する。このため、一つの売り場に、ファミリーマートの価格の商品や、ドン・キホーテの安価な商品が並ぶという。

3店舗の共同実験店舗では、それぞれの立地、客層に合わせて、客数増に向けた売り場づくりを行う。ロードサイドの立川南通り店では改装前には40~50代の女性がメーンの客層だったが、若者、女性の客数増を狙い、菓子や酒類の品ぞろえを充実させる。大鳥神社前店では、洗剤や消耗品の品ぞろえを強化した。立川南通り店では、ファミリーマートからの改装に当たり、ゴンドラ台数を62台(28台増)にし、高さも180センチと以前より20センチ高くした。店の外の入り口横には、ドン・キホーテの「驚安商品」、店内ではドン・キホーテPB(プライベートブランド)の「情熱価格」も販売する。

レジ周りの様子

レジ周りの様子

また、イートインスペースを撤去して酒売場に変更、雑誌ゴンドラは撤去し日用品を並べた。従来のファミリーマートでは行っていない、円筒型の什器での陳列や、吊り下げ陳列などドン・キホーテの要素をふんだんに取り入れている。同日にオープンした、大鳥神社前店は、売り場面積がより小さいため、ゴンドラの高さは210センチ、段ボール陳列を増やしよりドン・キホーテに近い店づくりとなっている。改装後の商品数は、4600種類で、改装前から約1000種類増やした。

〈食品産業新聞 2018年6月21日付より〉

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