コンビニエンスストア業界は、大手3社(セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン)と4位以下で規模の格差が広がり、商品開発やインフラ整備にかけられる投資額も、大きく差が広がっている。

大手3社は豊富な資金を活用し、おにぎりや冷やし麺などの定番商品で、価格を据え置きのまま原料の質を上げ、さらにおいしくするなどブラッシュアップを継続している。また、宅配や民泊チェックイン機能など、新たなサービス機能も追加し、なくてはならないインフラとしてさらに成長している。

一方、大手との同質化では絶対に勝てない中小チェーンは、大手が取り組みにくいニッチな商品やサービスで、存在感を出そうとしている。

〈ミニストップ/差別化ではなく異質化へ 中食寄りのフローズン売場を作る〉
ミニストップの藤本明裕社長は、今年度の商品政策発表会で、「同質化ではなく競争軸を変える」と述べた。コンビニは1万店を超える大手3社による寡占化が進み、「成長する中食は設備投資競争でもある」(藤本社長)という。2000店舗台の同社の場合、投資額で大手にかなわない。同社の中山博之執行役員商品本部長は、「差別化ではなく異質化を目指す」と話した。

同社は全店が店内調理機能を持つ「コンボストア」の原点に帰り、圧倒的な数量を販売するインストア加工商品の拡充で、他店との違いを明確にしていく。

看板商品の店内加工スイーツは、質の向上とラインアップを充実させる。フローズンデザート「ハロハロ」では、女性やシニアに人気の「宇治抹茶」を4年ぶりに発売する。昨年ヒットした「果実氷いちご」は、凍らせたいちごを削る形に変更し、より果実感を高めた。昨年は7月上旬に発売したが1カ月で完売し、盛夏にチャンスロスを起こした。今年は十分な量を確保してゴールデンウィークから投入した。盛夏には「果実氷温州みかん」も発売する。ソフトクリームでは「静岡クラウンメロンソフト」を発売する。最高級メロンの希少な果汁を使った。同社の規模だからできる商品だ。
ゴールデンウィークから投入した「ハロハロ 果実氷いちご」(ミニストップ)

昨年1カ月で完売した「ハロハロ 果実氷いちご」(ミニストップ) 今年は十分な量を確保

現在、首都圏の一部店舗で実験展開する「フローズン弁当」は下期から拡大していく。中山商品部長は、「コンビニ弁当は不健康感をどうしても払拭できていない。保存料ゼロのフローズンでそれを解消する。実験店では女性の支持が高かった。(業種・業態を超えた競合の増加で)今後は客数の増加が期待できない。買い置きできる商品で、買い上げ点数を上げていく」と話す。弁当のほかに冷凍パンを使ったサンド、冷凍スイーツなど周辺商品も開発し、「中食寄りのフローズン売場を作る」(藤本社長)。

〈デイリーヤマザキ/助六寿司など見直し グループ力活用、店内調理も武器〉
デイリーヤマザキは山崎製パンのグループ力を活用し、製造小売の強みで特徴を出していく。

デイリーヤマザキ店舗

デイリーヤマザキ店舗

夏場に向けて助六寿司を見直し、5月下旬から発売している。いなり寿司の油揚げの製法を見直し、食感を向上させ、汁を多く含ませたものにする。太巻きは椎茸の風味と食感を見直した。

店内調理の「デイリーホット」のうち、4割の約600店で展開する手づくり弁当では、昨秋からサンデリカのキット商品が供給され、調理時間が大幅に短縮された。これまでは作り切れずに起きていたチャンスロスが削減され、タイムリーにできたて弁当を出せるようになった。「ビビンバ丼」「チーズタッカルビ」などメニューの幅も拡大した。

半分以上の800店以上で展開するベーカリーでは、売れ筋の「塩バターパン」「メロンパン」「カレーパン」「ベーコンエッグトースト」が欠品しないオペレーションを重視する。他方、野菜ジュースを練り込んだ生地など「美容と健康」をテーマにした商品開発にも力を入れていく。今後は東ハト「暴君ハバネロ」、不二家「ネクター」などグループ会社の人気商品とコラボした商品開発も行う。

〈ポプラ/インパクトのあるプロモーションを展開 「漢祭り」VS「女子会祭り」〉
ポプラは前期に行い好評だった「漢(おとこ)祭り」を今期も展開する。大手コンビニが少量や低カロリーなど女性向け商品を前面に出す中、「男にしか食べられない量目」をテーマにした商品で、コンビニの主要顧客層の男性を囲い込む戦略だ。

ポプラ「漢祭り」イメージ

ポプラ「漢祭り」イメージ

今期は5月中旬から展開し、通常の2倍強サイズのおにぎり「満賊にぎり」シリーズからは、チキンカツ1枚をまるごと使ったおにぎりを発売した。弁当ではチキン南蛮とハンバーグがそれぞれ2枚入った弁当も投入した。今後はホルモンを具材にしたおにぎりや丼も発売する。大盛りサイズや具材の多いプリン、ヨーグルト、ゼリーなども訴求していく。

一方、対になる企画として、「女子会祭り」も6月に展開する。ショウガやゴボウを使った米飯などヘルシーな中食を拡充する。一方で「肉好き女子の鴨重」など女性向けの肉メニューも投入する。おさつドーナツ、ユーグレナ入り乳酸菌飲料なども発売する。店頭では「漢祭り」VS「女子会祭り」と題したインパクトのあるプロモーションを展開していく。

〈KGC(コミュニティ・ストア)/無人店舗で出店余地拡大〉
「コミュニティ・ストア」を展開する国分グローサーズチェーン(KGC)は、今期から無人店舗の本格展開に着手する。これまでも自販機によるおにぎりやパン、菓子などの販売は行っているが売り上げが伸び悩んでいた。今後は不特定多数の利用が無い職域内売店で無人店舗への転換を検討していく。

コミュニティ・ストアの無人店舗(展示会でのイメージ店舗)

コミュニティ・ストアの無人店舗(展示会でのイメージ店舗)

同社の全548店(17年12月期末)のうち、「コミュニティ・ストア」の看板を掲げない売店事業は471店あり、そのほとんどが日販30万円以下。「無人店舗は日販10~15万円のところが最も省力化できる。設備は変わらず、人件費を8割削減できる」(横山敏貴社長)という。人手不足やコストの問題で出店できなかった場所にも、無人店舗なら出店できるという。

コンビニの国内店舗数は5万5000店を超え、より身近に店舗ができ、生活に欠かせないインフラとなった。大手がネットと連動した新サービスを展開する中、中小にとって、独自の戦略により存在感を示すことは、来店客の増加に向け欠かせなくなっている。

〈食品産業新聞 2018年5月24日付より〉

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