主要食品スーパー(SM)の18年2月期決算が出揃った。新規出店や青果の相場高などが影響し、増収となった企業は多かったものの、台風上陸などの悪天候が重なったことや、人手不足による人件費の高騰などで経費が利益を圧迫したことで、増益となったのは主要SM33社中14社にとどまった。

経費面以外にもSMには課題は多い。ドラッグストア(DgS)やネット通販など、購入チャネルの多様化である。当社が発行する「食品産業新聞」では5月17日付で「ドラッグストア特集」を企画した。その中で主要DgSチェーンに「食品に関するアンケート調査」を行ったのだが、回答のあったDgSの多くは食品の価格訴求によって集客を促し、医薬品や化粧品など、比較的利益率の高いカテゴリーで利益を獲得する戦略をとっていた。SMはこれらに対抗すべく、DgSやネット通販が弱い生鮮食品や惣菜の販売構成比を高めることで生き残りを図っているが、いまだ戦略を模索しているように見える。

これらの業態に対抗するための大きな武器となるのは、リアル店舗ならではの「実際に商品を手に触れて選び、その場で楽しめる」部分を最大化することだろう。阪急オアシスは4月1日、JR 大阪駅前のファッションビル「LUCUA osaka」内に、新業態の「キッチン&マーケット ルクア大阪店」をオープンした。「買う・食べる・集まる」をコンセプトに、惣菜やグロサリーを買って帰るだけでなく、物販とダイニングなど食にまつわるすべてのシーンを融合させ、新しい楽しみ方を提供する。

いわゆるグローサラント業態を銘打っているが、先行する「成城石井トリエ京王調布」と異なる点は、外食企業であるきちりと大起水産と協力し、調理を担当するのはプロであるという点だ。成城石井は惣菜部門の社員が調理を担当しているため、やはり味やオペレーションは外食企業に比べると劣ってしまう。その点、同業態では新鮮な食材を自分で選べる楽しみに加え、自分で選んだ食材をその場でプロに調理してもらえるという特別感もある。さらに、一般的なNB商品はほとんど置かず、こだわり商品の比率は97%という徹底ぶりだ。

さすがにここまでくると、ネットでは太刀打ちできないだろうが、あくまでこの業態は普段使いというSMの基本からは逸脱している。今後、どこまでこれらの要素を普段使いのSMに取り込んでいくか、注目したいところだ。

〈冷食日報 2018年5月14日付より〉

【関連記事】
・〈マンデー・オピニオン〉テクノロジーの進化と学び続けること
・〈マンデー・オピニオン〉セブン‐イレブンの現金受取サービスの真意
・〈マンデー・オピニオン〉いま必要な攻めの経営
・〈マンデー・オピニオン〉インバウンドに冷食ができること
・〈マンデー・オピニオン〉エンゲル係数が高まる意味