ヤヨイサンフーズが新「気仙沼工場」の立地協定を締結

左からマルハニチロ・伊藤滋社長、宮城県・村井嘉浩知事、ヤヨイサンフーズ・黒本聡社長、気仙沼市・菅原茂市長
〈2020年11月稼働、水産加工品・介護食・水産カツ類年6,400トン生産〉
ヤヨイサンフーズは12日、宮城県庁で19年4月着工・20年11月稼働予定の「気仙沼工場」(宮城県気仙沼市)の立地協定締結を行った(新工場概要は一部既報)。同社の黒本聡社長、親会社であるマルハニチロの伊藤滋社長、宮城県の村井嘉浩知事、気仙沼市の菅原茂市長が出席し、協定書に署名した。

新「気仙沼工場」は宮城県気仙沼市赤岩港水産加工団地に建設。立地は、東日本大震災後に山を切土して造成した土地で地盤が強固であり、津波が防潮堤を超えても浸水しない場所だという。また、気仙沼魚市場の近隣であるばかりか、来年度に設置が予定される三陸沿岸道のインターチェンジからも至近で、物流面のアクセスにも優れるようになる。

生産品目は現在の気仙沼松川工場で製造している煮魚などの水産加工品、病院・施設給食で評価されている「ソフリ」ブランドの介護食、近年売上を伸ばしているエビカツなどの水産カツ類の製造を行い、年間生産能力は6,400トン(日産20数トン)を見込んでいる。

なお、新工場建設に伴い、現在水産加工品を生産している気仙沼松川工場からライン移設を行い、気仙沼松川工場は閉鎖する。

また、今回の新工場建設に伴い、旧気仙沼工場から他工場(清水、九州、長岡)へ異動した従業員を対象に帰参希望者を募るとともに、現地での採用も積極的に行う。

記者会見の質疑応答の中で、マルハニチロの伊藤滋社長は「グループの水産加工の拠点、また介護食市場が拡大する中で、グループの介護食中核工場として、場合によっては今後の増設も含めて検討する」とした。

ヤヨイサンフーズでは、旧・ヤヨイ食品時代に、同じく宮城県気仙沼市内に旧「気仙沼工場」を保有。日産91トン・従業員数430人という規模で、清水工場(日産130トン)に次ぐ主力工場の1つとして稼働していたが、2011年3月11日の東日本大震災で甚大な被害を受け、操業停止していた。

その後、同年11月には気仙沼市に松川工場(現・気仙沼松川工場)を新設。年間1,250トン(日産4トン)の規模で煮魚など水産加工品を生産している。

工場の概要について説明した黒本社長は、要旨次のように述べた。

黒本社長=当社は1962年の創業以来、業務用冷凍食品の製造・販売をしてきた。近年は冷凍食品の需要拡大に伴い、売上も順調に伸長し、自社工場の生産能力が限界に近づいてきたことから、近い将来の生産能力不足が予測され、新・生産体制について株主であるマルハニチロと共に検討してきた結果、気仙沼市に新たな工場を建設することを決定した。新工場の稼働により、マルハニチログループが成長分野と位置づける冷凍食品事業における生産・供給体制を一層強化し、事業のさらなる拡大を図る。

新工場の名称は「気仙沼工場」と決定。東日本大震災で被災した工場と同じ名称としたが、旧・気仙沼工場が地域の方と歩んだ長い歴史があり、地域に親しまれた名称を継続して使用することとした。

今回、新工場建設の地として気仙沼市を選定するにあたっては、立地条件、収益性、雇用面、また当社がこれまで築いてきた生産技術面などを総合的に検討し、その結果として最良であるとの結論に至った。

新工場の従業員数は設立時150人を予定している。新工場建設に伴い、気仙沼松川工場は閉鎖するが、その約60人の従業員はそのまま新工場で勤務してもらう。また、東日本大震災で他拠点に異動した従業員を対象に、帰参希望を募ると共に、現地での採用も積極的に行う。

【新工場概要】
▽工場名称
=気仙沼工場
▽所在地=宮城県気仙沼市赤岩港168番地
▽敷地面積=2万0,299平方m(6,140坪)
▽建物面積=7,317平方m(2,217坪)
▽延床面積=1万2,194平方m(3,689坪)
▽構造・規模=鉄骨・2階建て
▽着工予定=2019年4月
▽稼働予定=2020年11月
▽生産品目=水産加工品、介護食、水産カツ類
▽年間生産能力=6,400t
▽投資金額=80億円(予定)
▽従業員数=設立時約150人

〈冷食日報 2018年6月14日付より〉

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