国税庁はこのほど、平成28年度(4~3月)の都道府県別・品目別の酒類消費数量(消費者に対する販売数量)を発表した。本紙は、それを前年のデータと比較し前年比を算出するとともに、同データと平成28年10月1日時点の総務省人口推計を基に、成人1人当たりの酒類消費数量を、品目別に算出し、資料としてまとめた。

全ての酒類の消費数量の合計では多い方から①東京、②大阪、③神奈川、④愛知、⑤埼玉と大都市を有する都府県がランクイン。ただし、トップ5の中で前年比プラスとなったのは愛知県のみで0.5%増。その他の都府県は1%程度の減少となっている。
平成28年度 県別酒類消費数量 伸び率上位10県と下位5県

平成28年度 県別酒類合計消費数量 伸び率上位10県と下位5県

〈伸び率=山口・熊本は大幅伸長 ただし前年調査の大幅減に留意〉

伸び率では高い方から①山口、②熊本、③富山、④宮崎、⑤徳島の順となっており、特に山口県は12.0%増と大幅伸張だが、前年の調査では11.7%減、熊本県は13.9%減だったということも留意しておきたい。

平成28年度 県別1人当たり酒類消費数量 上位10県と下位5県

平成28年度 県別1人当たり酒類消費数量 上位10県と下位5県

1人当たりの消費数量では多い方から①東京、②高知、③宮崎、④青森、⑤秋田の順。消費数量がトップの東京がここでもトップとなった。昨年3位に入っていた大阪(③→⑥)と4位だった新潟(④→⑦)についてはトップ5から陥落し、秋田と青森がランクインした。

〈清酒は山口が29.2%増でトップの伸び率、単式蒸留焼酎は九州勢がトップ7守りきる〉
〔清酒〕清酒の消費数量は全体の数量とほぼ変わらない順位で、①東京、②大阪、③神奈川、④埼玉、⑤愛知の順。前年比でプラスとなったのは7県で、伸び率トップは山口県で29.2%増。トップ5の中では神奈川県が1.3%増で唯一増加。

1人当たりの消費量では①新潟、②秋田、③山形、④福島、⑤石川の順で、昨年に引き続き新潟がトップ。水稲の生産量と同じような順位が続いている。下位は①鹿児島、②宮崎、③熊本の順に低く、焼酎文化が根強い県が多かった。続いて④愛知、⑤神奈川と消費量ではトップ5にランクインする県が下位に位置している。

〔合成清酒〕消費量は①東京、②大阪、③愛知、④神奈川、⑤北海道の順。東京が最も多く、2位の2倍以上の数量となっているものの、清酒の数量と比較して10分の1にも満たない数量となっている。

一人当たりでは①秋田、②青森、③新潟、④鳥取、⑤山形の順で、すべて日本海側の県。トップの秋田でも1人当たり0.68Lと少なめで、1Lを超える都道府県は無い。下からでは①鹿児島、②神奈川、③埼玉、④富山、⑤滋賀となっている。

〔連続式蒸留焼酎〕①東京、②北海道、③神奈川、④埼玉、⑤千葉の順に消費量が多くなっており、2位には北海道が入った。

1人当たりでは①北海道、②青森、③秋田、④山形、⑤群馬の順に多かった。北日本が多いが、関東から唯一群馬がトップ5にランクイン。低い順では①鹿児島、②宮崎、③佐賀、④奈良、⑤滋賀となっており、東高西低の傾向となっている。

〔単式蒸留焼酎〕①東京、②福岡、③大阪、④鹿児島、⑤神奈川の順に消費量が多い。合計消費量が多い大都市に加え、九州の2県がランクインしていることもこの酒類の特長。ただし福岡では1.7%減、鹿児島では4.8%減とそれぞれ数量を減らしている。

1人当たりでは①鹿児島、②宮崎、③大分、④熊本、⑤福岡の順で、九州の独壇場。なお⑥長崎、⑦佐賀となっており、九州7県が引き続き上位を占めている。税制の都合上ランキング対象外としている沖縄も、1人当たり13.4Lと宮崎と大分の間に入っている。

下位は①北海道、②群馬、③埼玉、④新潟、⑤山形の順で、連続式蒸留焼酎とは相反した結果になっている。

〔みりん〕消費量は①東京、②千葉、③愛知、④大阪、⑤神奈川の順に多い。1人当たりでは①香川・千葉、③東京、④愛媛、⑤島根の順。香川は「うどん県」と名乗るだけあってうどんの消費量が多いため、千葉は魚類の加工で多く使われているためと見られる。

〈ビール類は軒並み減少、リキュールはRTDが牽引し1.1%増〉
〔ビール〕①東京、②大阪、③神奈川、④愛知、⑤北海道の順の消費量。トップ5のうち各地方の核となる都市を有する県が4県となった。前年比では横ばいか2%程度までの減少。1人当たりでは①東京、②大阪、⑤北海道は消費量と同様だが、③高知、④京都がランクイン。高知については消費量が39位ではあるが、1人当たりでは3位。下位は①奈良、②鹿児島、③岐阜、④埼玉、⑤滋賀の順で低い。

〔発泡酒〕消費量は①東京、②大阪、③神奈川、④福岡、⑤愛知の順に多くなっており、福岡がトップ5入りした。1人当たりでは沖縄が最多となっているが、単式蒸留焼酎同様に税制の都合上ランキング対象外。沖縄を除いたランキングは①高知、②宮崎、③鹿児島、④青森、⑤佐賀と、4位に青森が入っている以外は単式蒸留焼酎と似た傾向。5位以下でも⑥熊本、⑦大分、⑨福岡と九州各地が上位に入った。下位は①埼玉、②滋賀、③静岡、④神奈川、⑤茨城の順。

〔リキュール〕①東京、②大阪、③神奈川、④埼玉、⑤愛知の順の消費量。同カテゴリーはRTDが数量増に貢献し、全国計で1.1%と小幅ながらも増加。

1人当たりの消費量では沖縄が2位の青森に8L以上の差をつけて1位となった。沖縄を除いたランキングは①青森、②秋田、③岩手、④大阪、⑤東京と北東北の県が上位を獲得。発泡酒とはまた異なる傾向となった。下位は①岐阜、②滋賀、③徳島、④大分、⑤鹿児島と西日本が多い。

〔その他の醸造酒など〕①東京、②大阪、③神奈川、④埼玉、⑤愛知の順の消費量。1人当たりの消費量は①宮崎、②熊本、③鹿児島、④高知、⑤島根の順で多く、発泡酒と似た傾向となった。下位は①長野、②山形、③滋賀、④三重、⑤山梨となっているが、注目すべきは6位に数量ではトップの東京が入っている。

〈RTDが牽引でスピリッツが13.7%増、ウイスキーも7.2%増〉
〔果実酒〕①東京、②神奈川、③大阪、④埼玉、⑤千葉の順に消費量が多く、ビールや清酒と同じように大都市がランクイン。1人当たりでも①東京となるが、②山梨、③京都、④神奈川、⑤大阪となっており、山梨と京都が埼玉と千葉を押しのけてランクイン。特に山梨は今後「日本ワイン」による観光需要増加も見込まれるため、1位奪取が期待される。

下位は①佐賀、②滋賀、③鹿児島、④福井、⑤山口の順に低くなっている。

〔甘味果実酒〕消費量は①東京、②大阪、③神奈川、④京都、⑤愛知の順。東京が圧倒的に多く、大阪の3倍近くの消費量となった。1人当たりの消費量は①島根、②山梨、③広島、④京都、⑤大阪。山梨はワインと同じく2位となり、山梨以外はすべて西日本の府県。1人当たりの消費量はもっと多い島根でも0.38L。下位は①岩手、②埼玉・鹿児島・佐賀・福島・栃木・新潟・熊本の順になっており最も低い岩手県は年間1人あたり0.03Lとなっている。

〔ウイスキー〕①東京、②神奈川、③大阪、④千葉、⑤埼玉の順の消費量。なお、数量の前年比では7.2%増。

1人当たりの消費量では①東京で消費量と同じくトップだが、②宮城、③山梨、④青森、⑤福島と続く。以下、⑥大阪、⑦北海道で、7位までに大手ウイスキーメーカーの蒸溜所所在県がすべてランクインした。

1人当たりの下位は①鹿児島、②和歌山、③滋賀、④福井、⑤長崎の順に低くなっている。

〔ブランデー〕①東京、②大阪、③千葉、④愛知、⑤神奈川の順の消費量。国税庁が分類している酒類の中で最も消費量が低く、全国合計でも6,608kl。そのうち約6分の1に当たる1,009kl が東京で消費されている。

1人当たりの消費量は①青森、②大分・京都・千葉、⑤東京の順で多くなっているが、最多の青森でも1人当たり0.11Lと低い。

〔スピリッツ〕RTDが数量を牽引しているスピリッツの消費量は①東京、②大阪、③神奈川、④愛知、⑤埼玉となっており、全国計では唯一の2ケタ増(13.7%増)で着地している。

1人当たりの消費量は①東京、②富山、③大阪、④青森、⑤岩手。富山はスピリッツが唯一のトップ5入りをしている。下位は①鹿児島、②熊本、③宮崎、④佐賀、⑤長崎と九州勢が独占した。

〈酒類飲料日報 2018年1月23日付より〉

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