アサヒビールはこのほど、「ニッカウヰスキーブレンダー室見学会 特別テイスティング講座」をニッカウヰスキー柏工場(千葉県)で開催した。柏工場の設立は昭和42年のこと。50年代初めに余市(北海道)にあった研究所が柏工場に移り、第一研究室が今のブレンダー室の前身となった。現在、ブレンダー室には5名が所属し、ウイスキーと焼酎のブレンドを行っている。チーフブレンダーで室長を務める佐久間正氏が、ブレンダー室を案内し、概略以下のように説明した。
ニッカウヰスキー柏工場

ニッカウヰスキー柏工場

アサヒビールはこのほど、「ニッカウヰスキーブレンダー室見学会 特別テイスティング講座」をニッカウヰスキー柏工場(千葉県)で開催した。柏工場の設立は昭和42年のこと。50年代初めに余市(北海道)にあった研究所が柏工場に移り、第一研究室が今のブレンダー室の前身となった。現在、ブレンダー室には5名が所属し、ウイスキーと焼酎のブレンドを行っている。チーフブレンダーで室長を務める佐久間正氏が、ブレンダー室を案内し、概略以下のように説明した。

佐久間氏=ブレンダーの役割は、〈1〉商品の味わい・品質を維持すること、〈2〉将来を見据えて新しい原酒を造ること、〈3〉新しい商品を創ることの3点がある。日々の仕事はさまざまだが、一番多いのは「新しい処方を創ってほしい」という依頼だ。当社は約2000樽を保有する。原酒の組み合わせは無限大だが、違う原酒を使っても、同じ製品を造るのが我々の仕事だ。そのためには、それぞれの原酒が持つキャラクターを把握する必要がある。

ブレンダー室では毎年、全サンプルを全員でノージングし、ひとりひとりが「自分の感覚」でその香りの特長を記すようにしている。毎日100~150種もの原酒のノージングを10日以上続ける大変な作業だが、フレーバーホイール(香り・味の評価用語を円グラフ状に表したもの)などを使うのではなく、それぞれの言葉で感覚を共有することに意味がある。AI(人工知能)が話題になる時代だが、鼻で感じた香りはまだ分析値では表現できない。訓練を重ねることで、ブレンダー室に配属された新人も、1年半くらいで新商品を手掛けられるようになる。ブレンド技術の継承は最も大切なことだ。

原酒の製造計画は主に原料部が決めるが、樽を決めるのはブレンダー室の仕事だ。

余市のストレート型ポットスチル、宮城峡のカフェ式連続蒸溜機、バルジ型ポットスチルと、3種類の蒸留器があるのは世界でも珍しい。余市と宮城峡では加熱方法も異なるため、個性の異なる原酒を造り分けることができるのは大きなメリットだ。未来のためにさまざまな原酒を造り、大切に育てていく。

〈ブレンダーにとって大切な資質は「根気」〉
ブレンダーにとって大切な資質は、「根気」だと佐久間氏は言う。レシピ造りに定石はない。嗅覚や味覚に優れているかどうかより、一番大切なことは「自分の求める味わいになるまで、時間をかけてあきらめずに試作を繰り返すこと」なのだ。新商品開発においても、マーケッターサイドがつくった商品設計に応えることは「それほど難しいことではない」。「ブレンドはすぐにできる。でも商品化までにじっくり時間をかける」。ブレンダー室から新商品の提案をすることもある。昨年発売された同社の「フィニッシュ」シリーズの場合は、2~3年前から樽を集めて備えたそうだ。

「モルトはきれいで華やかな花、グレーンはカスミソウ。グレーンがモルトを包み込むことでブレンデッドという花束になる」(佐久間氏)。

〈酒類飲料日報 2018年1月25日付より〉

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