4月1日のビールの定義変更で各社が新商品、柑橘フレーバーが主流

アサヒ「グランマイルド」
平成29年度税制改正により、4月1日からビールの定義が変更となる。副原料の範囲が拡がり、麦芽の重量の100分の5の重量の範囲内で、新たに「果実」や「コリアンダー等の香味料」が追加される。

ビール各社は、ビールの魅力を再提起できるチャンスとみる。各社、レモンピール、オレンジピールなど柑橘系の副原料を使用することで共通している。「定義変更は、市場活性化になり、大きなチャンスになる」(アサヒビール平野伸一社長)、「クラフトビール活性化の後押しになる」(キリンビール布施孝之社長)と期待が高まっている。サントリービール、サッポロビールも新商品を投入する。

〈アサヒ=レモングラスでアルコール臭を封印 「グランマイルド」〉
なかでも大型新商品を発表したのがアサヒビール。「選択肢は拡がるが、単にバラエティを揃えるということに意味はない」(同)として、レモングラスを使用しつつも本格的なビールのうまさを追求した「グランマイルド」を4月17日に発売する。アルコール7%でありながら、副原料にハーブの一種であるレモングラスを使用することでアルコール臭さを封印した。

350ml缶、500ml缶、販売目標150万ケース。麦やアルコール7%の豊かな味わいがありながらも、余分な雑味や甘みを抑えることで、上品でやわらかな余韻とした。自分のペースでじっくり楽しめるスロービールとして新提案する。「アルコール分が高いビールは、ともすると、時間が経過すると、麦のもったりした不快な臭いと、高アルコールに伴うアルコール臭さが生じる。しかし、副原料の活用と、不快な香気を打ち消す香りの成分を麦芽から引き出す技術を掛け合わせることで“アルコール7%”と“おいしさの持続”を実現した」(同社)。

「グランドキリン ひこうき雲と私 レモン篇」

キリン「グランドキリン ひこうき雲と私 レモン篇」

〈キリン=爽やかな余韻のレモンビール「グランドキリン ひこうき雲と私 レモン篇」〉
キリンビールは4月17日に、レモンピールを使用した柑橘の風味と、爽やかな余韻が特長のレモンビール「グランドキリン ひこうき雲と私 レモン篇」を全国のコンビニエンスストアで期間限定発売する。350ml缶、アルコール5.5%、販売予定数約2.5万ケース。また、6月5日に、爽やかで飲みやすい味わいと、華やかなオレンジピールの余韻が楽しめる「グランドキリン 雨のち太陽、ベルジャンの白」を全国で、期間限定発売する。オレンジピールとコリアンダーシードを使用。350ml缶、アルコール5.5%、販売予定数約3万ケース。

サントリー「海の向こうのビアレシピ〈オレンジピールのさわやかビール〉」

サントリー「海の向こうのビアレシピ〈オレンジピールのさわやかビール〉」

〈サントリー=「海の向こうのビアレシピ」でオレンジピール・カシス使用〉
サントリービールは4月10日から「海の向こうのビアレシピ〈オレンジピールのさわやかビール〉」「同〈芳醇カシスのまろやかビール〉」を数量限定で発売する。両商品とも350ml、アルコール度数はそれぞれ5%、5.5%。「オレンジピールのさわやかビール」はカリフォルニアで楽しまれているという、ビールにオレンジを添えるスタイルにヒントを得たビール。小麦麦芽を一部使用し上面発酵酵母で醸造することでやわらかい味わいに仕上げた。

「芳醇カシスのまろやかビール」は、ベルギーで親しまれているという、フルーツビールにヒントを得た。カシスを使用し、麦芽の配合をバランスよく調整することにより、まろやかな口当たりと鮮やかな赤の色あいを実現。

ジャパンプレミアムブリュー「Innovative Brewer ビアチェッロ」

ジャパンプレミアムブリュー「Innovative Brewer ビアチェッロ」

〈サッポロ=グレープフルーツとオレンジのピールを浸漬、「Innovative Brewer ビアチェッロ」〉
サッポロビールの100%子会社であるジャパンプレミアムブリューは「Innovative Brewer ビアチェッロ」を4月24日から発売する。350ml缶・288円(参考小売価格、税込)。ホップに加えて、グレープフルーツとオレンジのピールを浸漬した。アルコール5.5%。「Innovative Brewer」は2017年10月に立ち上げたブランド。創業以来140年超の歴史で培ってきた技術や調達力を新しい解釈で活かすことで「ピルスナー」や「ヴァイツェン」と言った既存のスタイルへの落とし込みを考えるのではなく、新しい独創的なビールスタイルを提案すべきという想いを「Innovative Brewer」ブランドに込めて展開している。

なお、サッポロは静岡のミニブルワリーに新規設備を導入して6月から製造開始、個性的な商品開発を加速させる考えだ。

〈酒類飲料日報 2018年3月19日付より〉

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