西条酒造協会(前垣壽男理事長、賀茂泉酒造社長)は20日、東広島市のグランラセーレ東広島で第67回「西条清酒品評会」の褒章授与式を実施した。同協会のように順位を競う品評会は全国的にも珍しく、6社11蔵から計21点の新酒が出品され、9人の審査員による3審までの審査の結果、賀茂鶴酒造御薗蔵が最優秀に選ばれた。また、閉会後には、35年勤続から10年勤続まで21人の従業員永続勤続者の表彰も行われた。

報道発表では、広島国税局課税第二部鑑定官室の小山淳鑑定官室長が審査概況について説明を実施した。それによると、審査方法はブラインド方式で、ランダムに並べた出品酒を各審査審がそれぞれ1点、2点、3点と点数を付ける。点数の小さい出品酒がより上位となり、2回目は上位13品、3回目は上位7品を審査した。

小山室長は、「味と香り、その2つのバランスも大事で、様々な成分がうまく調和しているものを上位にしている。味の濃いお酒や淡麗なお酒など、蔵によって異なるが、タイプは評価に入れない。今年は全体的にいいお酒が出来ている。差をつけるのは難しかった。決め手は全体的なバランスだった」と説明した。

受賞式の講評では、「今酒造期はたびたび寒波にみまわれ、気温のかなり低い日が続いた。もろみの冷え込みに気を付けつつ、発酵に適した温度を保つという難しい条件での製造になったと思う。また、原料米も溶解しやすいものが多く、もろみの日数が長くなりやすいため、最後までしっかりと発酵させ、香味の調和を図ることが求められた。華やかな香り、きれいな旨みがよく出ているものが揃っており、西条地区の技術の高さがうかがえた。香りのタイプや味の濃淡などは出品酒ごとに特徴が出ていた」と振り返った。

前垣理事長は式辞で、「西条の酒蔵群は昨年12月8日に、迎賓館赤坂離宮や東海道新幹線などとともに“日本の20世紀遺産20選"に選ばれた。白牡丹と賀茂鶴の間に歴史公園広場をつくってもらい、イベントの実施しやすい広場もできた。そういったことを含め、酒の街西条にますます観光客が増えると期待する」と述べた。

西条酒造協会によると、平成28酒造年度(2016年7月~2017年6月)の課税移出数量は、中国5県で前年比102.3%の2万4,206KL、広島県は93.8%の1万939KL、西条酒造協会員は93.9%の6,079KL となった。また、昨年1年間で蔵元に訪れた見学者は14万9,000人となった。国内93.1%、海外6.9%で、そのうちアジア諸国2% 米国1.4%、欧州2.1%となった。酒造施設群が「日本の20世紀遺産20選」に選ばれたことで、さらに観光客が増えることが見込まれるとしている。

〈飲んでおいしいと思ってもらえるお酒造る〉
最優秀に選ばれた賀茂鶴酒造の友安浩司執行役員醸造部長御園醸造蔵杜氏は、杜氏歴17年の52歳で、最優秀の獲得は今回で5回目となる。
賀茂鶴酒造・友安浩司執行役員

賀茂鶴酒造・友安浩司執行役員

「今年は特にプレッシャーとの戦いがあった。蔵人達のおかげと思っている。温度管理では本来は冷やす操作を行うが、気温が低く冷やせなかったため発酵が緩慢で、もろみ日数も長く心配だった。米も9月後半は長雨が続いて稲が多く倒れ、どうなるか心配だった。1人でできる仕事ではない。一緒に仕込んで最終的に搾って、皆に報いられる出品ができて良かった」と喜びを語った。

出品酒については、「毎年同じように仕込むが、同じようにはいかない。手探りで丁寧に仕込んだつもりだが、こういう結果となりホッとしている。目指したのは、口に入れて少し甘く、口の中で膨らみ、キレのあるお酒」と説明。原料米は広島県産の山田錦、酵母は協会1801号を使用しており、日本酒度は2.5~3.0、酸度は1.2、アルコール度数は17.4%だという。

今後の課題として、「品評会も大事だが、おいしいと飲んでもらえるお酒を造ることが大事だ。当社のお酒はどちらかというと旨口で、今までの味を守り続けないといけないが、違う切り口の味も試行錯誤する必要がある」と述べた。

〈酒類飲料日報 2018年3月23日付より〉

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