生産者招き「ヴィッラ・ブッチ」セミナー開催/日欧商事

原料用のぶどう栽培を担当するロベルト・ブッチ氏
日欧商事は24日、同社が輸入するイタリアワイン「ヴィッラ・ブッチ」の生産者を招いてセミナーを開催した。同セミナーではブッチ社の現当主であるアンペリオ・ブッチ氏の二男で、原料用のぶどう栽培を担当するロベルト・ブッチ氏を招いて行われ、同社の哲学やそれに基づいた取組を紹介。テイスティングでは同社のフラッグシップ商品でもある「リゼルヴァ・ディ・ヴェルデッキオ」のヴィンテージ違い3種を含む計6商品が提供された。

〈古木を大切活かし栽培、有機認証も〉
同社はイタリア中部のアドリア海に面したマルケ州のカステッリ・ディ・イエージに所在しており、ロシアからの冷涼な風が吹くため白ワイン用のぶどうを育てるのに最適な土地となっている。

ヴィッラ・ブッチワイナリーは350ヘクタールの土地を有し、ヴェルデッキオ・デル・カステッリ・ディ・イエージ・クラシッコDOC 地区には5エリア25ヘクタールのヴェルデッキオの畑を、ロッソ・ピチェーノDOC エリアには6ヘクタールのモンテプルチアーノとサンジョヴェーゼの畑を所有。自社畑のみで収穫されたぶどうから、年間70~80tのヴェルデッキオのワインと、30tの赤ワインを生産。

同社が所有するぶどう畑の土壌は、上から腐葉土を含む表土、活性石灰岩が多く、ミネラルを放出ししっかりとしたストラクチャーを白ワインに与えるライムストーン、水分を保持し、雨が降らなくともぶどうの健全な育成を支える粘土層の三層構造となっている。

栽培においては粘土層まで根を張る古木を大切にし、同社の畑では樹齢が最高60年のものが栽培されている。古木となると枯れることもあるが、枯れた場所に新たな苗を植えるということもせず、また、治療や補修もその道のエキスパートを招聘して行っている。殺虫剤や除草剤を不使用とし、公的機関から有機栽培の認証も取得。DOC ヴェルデッキオを名乗るための基準の1つとして「1ヘクタール当たり14t」の収穫量が規定されているが、同社ではその半分に当たる7tに抑え、クオリティの追及している。DOC ロッソ・ピチェーノでは13tと規定されているが、こちらも7トンに抑えている。

〈長期熟成に耐えるワイン造り〉
1930年に建設されたワイナリーは、地上に醸造設備、地下にセラーを備えており、ぶどうそのものの持ち味を活かすべく地上の醗酵用タンクは全てステンレスタンクを使用。ぶどう果汁は一番搾り果汁のみを使用し、畑ごとに違うタンクを用い醸造を行う。標高や日当たりと言った要素が異なり、それぞれ特徴があるので熟成後にブレンドを行い、適正なバランスを見極めて仕上げる。

熟成にはスラヴォニア産オークのフル樽とフランス産オーク樽を使用。古樽は白、赤共に熟成時に使用されるが、80年前に製造された樽の為既に香りも味も存在しない。そのため樽の風味は反映されないが、ワインをゆっくりと少しずつ酸化させ、完全に自然な方法で発展、安定させるために使用。そうして熟成させたワインは10年、20年の長期熟成にも耐えられるワインが完成する。

〈酒類飲料日報 2018年4月26日付より〉

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