〈背景に飲食店の人手不足 末端価格上昇による消費減退に歯止めの狙いも〉
強まる飲食店での人手不足を背景に、ビールメーカー各社が生ビール提供の際のオペレーションの負荷を軽減する提案を強化している。手間のかかる毎日の洗浄を不要としたり、卓上で顧客自ら注ぐなどの新機材だ。各社は、この春から樽生ビールの出荷価格を引き上げており店舗での末端価格も上昇していることから、新たな付加価値提案で消費減退に歯止めをかける狙いもある。

〈“洗浄レス”の業務用サーバー ファミレス・ファストフードで展開へ/サントリー酒類〉
サントリー酒類は、洗浄レスの業務用ビール新サーバーを投入する。使い捨てのホースを1週間で交換することで、料飲店の人手不足と、洗浄時に発生するビールのロスという問題を解消する。5月から東京・大阪でテスト展開し、検証を進めたのちに、12月から全国に本格展開、早期に取り扱い店舗1000店舗を目指す。一般的なサーバーと同様に貸与する。現時点では10L樽のみの仕様でかつ、樽を冷やす冷蔵庫がある場合を除いて、予備の10L樽を冷やせるスペースは1つだけのため、1日に多くの樽をさばく大規模店向きではない。

ターゲットイメージは、アルバイトやスタッフが洗浄する時間が十分に取れないファミリーレストランやファストフードなどのチェーン業態だ。ホースは1週間で交換することを徹底してもらう。ホースは無償で提供する方向で検討している。なお、冷蔵方式は、パイプで冷やす瞬冷式ではなく、樽を丸ごと冷やす空冷式。

デンマークを本社とする樽生ビール・ソフトドリンク用注出機材のリーディング・サプライヤーであるマイクロ・マティック社と提携し、サントリー仕様に変更した。

〈中ジョッキ約8杯分 円卓に座って使える“バルーン型ピッチャー”/キリンビール〉
キリンビールは最大4Lの容量を持つバルーン型ピッチャーを提案。中ジョッキ約8杯分が提供可能となっており、ビアガーデンやレジャー施設、宴会場などに提案している。本体中央には氷を入れられる空洞があり、保冷が可能となっている。顧客が円卓に座ったまま自由に注げることで話題喚起する。
中ジョッキ約8杯分 円卓に座って使える“バルーン型ピッチャー”/キリンビール

中ジョッキ約8杯分 円卓に座って使える“バルーン型ピッチャー”/キリンビール

〈「パーティーサーバー」で“自ら注ぐワクワク感”を演出/アサヒビール〉
アサヒビールは2017年から「パーティーサーバー」を全国展開している。

こちらも提供オペレーションの負担軽減を狙ったもので、約2.8Lの容量がある。真空断熱構造で優れた保冷機能と密閉構造を持ち、電池駆動のエアポンプによる注ぎ出しで、クリーミーな泡付け機構もある。顧客が自ら注ぐワクワク感を演出すると同時に、単価アップにつなげる。

「パーティーサーバー」で“自ら注ぐワクワク感”を演出/アサヒビール

〈「パーティーサーバー」で“自ら注ぐワクワク感”を演出/アサヒビール〉

ビールメーカー各社の取組みが飲食店の負担を軽減し、生ビール市場の活性化につながっていくか。動向に注目が集まる。

〈食品産業新聞 2018年5月14日付より〉

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