〈農場HACCPでは養豚の認証が顕著、経営改善にも活用〉
20日に東京都内で開かれた「豚肉勉強会」(呼びかけ人:桑原康・富士農場サービスグループ代表)では、「求められる日本養豚・国産豚肉の条件とは?」をメインテーマに、5人の有識者から講演が行われた。

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午前部の内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局参事官勝野美江氏による講演に続き、午後の部では、豚肉勉強会事務局・JGAP指導員岩本嘉之氏から、農場HACCPやJGAPについての概要が説明された。

それによると、農場HACCPは12年の認証開始以降、3月30日時点で161農場(乳用牛17農場、肉用牛28農場、豚71農場、採卵鶏42農場、肉用鶏3農場)が認証を取得しており、豚は4月20日時点で90農場となり、豚の伸びが顕著であるとした。JGAPでは、17年4月から家畜・畜産物が対象商品として追加され、養豚では(株)フリーデン、(株)アークが現在認証を取得しているとした。岩本氏は、「現在、HACCPの制度化や民間認証の進展に伴って、川下からのHACCP対応要求も強くなってきており、オリンピックに向けてJGAP認証の必要性も高まっている。日本の消費者は、“安全なのが当たり前"と無意識に思っており、輸入より国産の方が安全で美味しいというイメージが根強くある。このイメージを壊さないためにも認証取得は今後必要となってくると思う」との考えを示した。

その後、エス・エム・シー(株)執行役員・所長小池郁子氏からは、「農場HACCP・JGAP認証制度と認証取得について~審査員の立場から~」と題して、審査員として認証審査の流れや審査方法が具体的に説明された。「農場HACCPもJGAPも認証取得までには時間がかかるが、すべての農場で取得可能なものである。認証の基準にある内容は、抗生物質の管理やアニマルウェルフェアなど今後考えていかなければならないものであるため、認証取得を機に見直すチャンスにしていってほしい」とした。

また、実際に農場HACCPとJGAP認証を取得した農場として、アーク専務取締役橋本友厚氏が講義を行った。取得に至った経緯や具体的な取組みについて説明し、認証取得後の効果について述べた。

農場HACCPの効果としては、「HACCP取得のため、現状作業を分析し業務のルール化やマニュアル整備を行ったことから、それが経営改善にも活用できた」とし、HACCPを通してJGAPの早期取得にもつながったと述べた。また、システムが出来れば人財が育ち、人財が定着することで今後新たな事業展開につながってくると今後の可能性を述べた。

最後に、群馬県食肉卸売市場常務取締役白石千秋氏からは、「安全安心を消費者に繋ぐために生産者にしていただきたいこと」と題して、同市場での取組みや、生産者に向けて出荷の際などに気を付けてほしい点などを説明した。

同市場では、安全性と品質向上のため2016年にと畜からカットまでの過程においてSQF(Safe Quality Food)を取得。また、HACCP手法を用いて、品質管理課、県食肉検査所ではチェック体制を整え管理を実施するなど、今後JGAP・JAS等の認証農場から出荷される豚肉を消費者に届けるための施設となるべく様々な取組みを行っている。

そのほか、購買者からの情報要求に応えるため、出荷前2カ月以内の病歴、治療投薬履歴などといった生産情報を、取引のある農場すべてに提出を求めていると説明。生産者に向けては、生産環境を整えることや、給餌管理、注射針の管理の徹底などを呼びかけた。また生産だけでなくその後の出荷の際にも、過度な積み込みを避けるなど気を使って欲しいとした。「現在、消費者は衛生管理が当たり前だと思っているなかで、設備投資などのコスト管理をしながら、品質の良いものを提供するのが我々の使命だと思って、今後も安全管理に努めていきたい」と述べた。

〈畜産日報 2018年4月26日付より〉

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