〈乾燥野菜を使った「クノール たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用」〉
生活者の「野菜をしっかり摂りたい」という普遍的なニーズに対して、味の素は今春の新商品で、乾燥野菜を使ったスープごはんという新たな価値を提案した。ご飯と熱湯で簡単に野菜をたっぷり摂れることが特長の「クノール たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用」(以下「スープごはん用」)だ。〈まろやかコンソメ〉と〈しお鶏だし〉の2品。主なターゲットは働く若年単身女性(20~30代)だが、高齢者や、子どもを持つ母親など、購買層は広がりを見せている。

日本人の1日当たりの野菜摂取量は、目標とされる350g(厚生労働省「健康日本21」)に対して、男性が284g、女性が271gにとどまっている。また目標量を摂っている人の割合は男性で29%、女性が27%となっており、足りないことは明らかだ(16年秋実施の国民健康・栄養調査:厚労省)。しかも、ここ10年スパンで見ると、野菜摂取量はむしろ減少傾向にある。
このため、行政は野菜摂取の啓蒙(けいもう)活動を行っている。食品メーカーも野菜摂取をうながす商品開発やメニュー提案を実施。味の素も、野菜入りのスープや旬の野菜を使った、“カラダづくりに必要な栄養を無理なくとれる”献立「勝ち飯」の提案などを行っている。

〈1袋で野菜120g分 “野菜をしっかり摂りたい”ニーズに応える提案〉
1袋で1日の野菜必要量の3分の1(120g分)が摂れる「スープごはん用」の開発にあたった家庭用事業部加工食品グループ長の古賀大三郎氏は「生活者の野菜をしっかり摂りたいというニーズは普遍的なものである。それに対してメーカーとしてどう答えていけるか、どのように新しい価値を提供できるかが重要になる。そのような課題のなかで、スープではどのような提案ができるかを検討した」と開発のコンセプトを語る。

そして出来上がったのが「スープごはん用」だ。まず、ターゲットとして位置づけたのが働く女性。若年女性は美容や健康を気遣い野菜摂取の意識が高いとみられるが、意外なことに国民健康・栄養調査を見ると、性別・年代別では20代女性が229gで最も少なく、間に20代男性(236g)を挟んで、少ない方から40代女性(236g)、30代女性(237g)と続き、20~40代女性の野菜摂取量を増やすことは1つの課題となっている。
「クノール たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用」2品(味の素)

「クノール たっぷり野菜で満たされたいときのスープごはん用」2品(味の素)

新しい価値の創造という点に関して、古賀氏は「スープはパンやご飯など主食、おかず(主菜)の次に位置付けられているが、スープごはんにすることで主食として提案することができ、個食の主食としては初めての商品となる」と述べる。

〈熱湯3分で簡単に ご飯と合わせて250kcal以下〉
主ターゲットである働く女性の場合、平日に疲れて帰宅した後に料理をする気になれないことがある。市販の弁当やレトルト食品では十分な野菜摂取が難しい。そこで「スープごはん用」なら温かい約100gのご飯に1袋分の中身をのせて熱湯300mlを注ぎ、3分待って軽く混ぜれば出来上がりだ。120g分の野菜がしっかり摂れる設計になっており、ご飯と合わせて250kcal以下と低カロリーの食事となる。

また、たんぱく質もいっしょに摂りたいという栄養バランスを意識する人には、サラダチキンを加えたり、卵を加えるといったアレンジレシピをホームページで提案しており、これなら簡単に作ることができる。

サラダチキンを加えた〈まろやかコンソメ〉のアレンジメニュー

サラダチキンを加えた〈まろやかコンソメ〉のアレンジメニュー

「スープごはん用」に入っている野菜はキャベツ、ニンジン、ほうれん草の3種。素材に合わせてフリーズドライやエアドライなど3種の乾燥法を採用しており、野菜の甘みとしゃきしゃきした食感にもこだわっている。

ご飯の量は100gを基準とした。開発時は150gなどもう少し多かったが、「ターゲット層の働く女性の意見を聞きながら、100gに落ち着いた」と語る。

〈販売好調 売れ筋商品「カップスープ コーンクリーム」と同等の量を販売した店舗も〉
2月19日の発売で、2~3月の出荷は計画の5割増と好調だ。特に3月末に川口春奈さん出演のテレビCMを放映したところ、同社のスープの売れ筋商品である「クノール カップスープ コーンクリーム」と同等の販売量となった量販店もあるという。すでに販売が期待できるからと特売を実施した量販店もあり、着実にトライアルを獲得している。

販促活動としては主ターゲットである働く女性の閲覧頻度が高いYouTubeの動画広告やバナー広告及びSNSを活用したデジタル広告を行っている。この商品はいままでにない新規商品であるため、これらの活動を通して認知拡大を目指している。

また、量販店以外にもコンビニやドラックストアにも配荷が進んでいる。「現在は大手を中心に配荷を進めている段階で、目標の配荷店数には届いていないが、今後、さらに提案を進めていき、配荷店数の目標を達成したい。この商品はストック型でもあるが、コンビニやドラッグストアでの取り扱いを増やすことでターゲットである働く女性が気軽に購入できるようにしていきたい」と古賀氏。

お客様相談センターに寄せられた声を聞くと、やはり主ターゲットの働く女性から「野菜が簡単に摂れてうれしい」と狙い通りの意見が多いが、加えて高齢者が自分自身の野菜摂取用に購入したり、新生活を始める息子・娘へ野菜摂取をうながすために仕送りの荷物に入れた、主婦が子供に野菜を食べさせるために購入した、など購入層の広がりも確実に進んでいる。

〈食品産業新聞 2018年4月30日付より〉

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