凸版印刷 高機能バリアフィルム「GL BARRIER」食品分野で活用、賞味期限延長にも効果発揮

凸版印刷(株)(麿秀晴社長)が手掛ける「GLBARRIER」は、“世界最高水準のバリア性能を持つ”という透明バリアフィルムの総称だ。

安定したバリア性能を活かし、食品をはじめ医療、産業資材などの幅広い分野で採用されている。2022年9月には、このフィルムを使用して賞味期限を通常の7倍(=21日間)に延長した「凸パン」の無料配布イベントを開催した。

今回、「GL BARRIER」の仕組みや食品分野への活用について担当者に聞いた(メインスピーカーは生活・産業事業本部グローバルパッケージ事業部営業販促本部バリア販促部の北澤稔部長)。

【「GL BARRIER」とは】

独自のコーティング技術と透明蒸着加工技術により、高いバリア性能や透明性などの機能を備えたフィルムだ。用途やグレードに応じて10種類以上のラインナップを展開。食品関係では、液体内容物やボイル・レトルトに対応したもの、長時間かつ高温のレトルトにも耐えうるものなど、様々な特徴のアイテムを取り揃えている。

製造方法は、まずベースとなる素材(ナイロン、ポリプロピレン、PETフィルムなど)にバリア層(アルミナ=酸化アルミニウム、シリカ)の被膜を蒸着する。さらにその上からバリアコーティングを施し、乾燥させて完成だ。こうして製造したフィルムは国内資材メーカーをはじめ、凸版印刷グループ内の企業などに納入する。

「GL BARRIER」の基礎研究は1980年代まで遡るという。現在は「世界トップシェアを誇る」までに拡大。ここ20年ほどで海外進出も進み、欧州を中心に北米やアジアにも展開している。生産体制は国内2拠点(埼玉県・深谷工場、福岡工場)、海外1拠点(アメリカ・ジョージア工場)。営業拠点を国内だけでなくアメリカ、ドイツにも設け、「現地ニーズに即した製品開発」に取り組んでいる。

【食品分野への活用】

北澤氏は「GL BARRIER」の機能について「例えば、普通のビニール袋にカレールーを入れて保存しようとしても、数日も経たずに腐ってしまう。これは袋の内外で物質が移動することが原因。大気中の酸素が外部から入り込むことで中身が腐敗・劣化するだけでなく、水分や香りの成分が袋から出ていってしまう。この物質の移動を抑えるのがバリアフィルムの働きだ」と説明。食品の長期保存といえば缶詰があるが、「GL BARRIER」は「よりフレキシブルで、高いバリア性能がある」ことが特徴だという。

冒頭紹介した「凸パン」は「GL BARRIER」の機能を生かして賞味期限を大幅に延ばした一例だ。ただし、賞味期限の延長が可能か否かはその中身によって変わってくる。例えばレトルト食品や湿気を吸いやすい乾燥した菓子(クッキーなど)には高い効果を発揮するが、野菜などの青果類には適さない。野菜は呼吸をしているため、バリア機能が逆効果になってしまうという。

コスト面については「包材コストが多少上がっても、食品メーカーにとって賞味期限が延びることには高い価値がある」とした上で、「一般向けの食品包材として使っていただける価格帯だ」と話す。

最近では小容量の米袋(1kg袋)に採用された事例もあるという。北澤氏は「『GL BARRIER』は様々な分野に貢献していると自負している。関心のある方は、ぜひ弊社の窓口へご連絡いただきたい」と呼び掛けた。

〈米麦日報2023年1月24日付〉

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