グミ市場、成長の鍵は「サプリ化」 栄養成分配合ですそ野広げる 売り場づくりが課題に
近年、国内グミ市場は急激な成長を続けてきたが今年に入りその勢いは一服し、踊り場を迎えている。こうした中、次なる成長ドライバーとして期待されるのは、ビタミンや鉄分などの栄養素を配合したグミだ。UHA味覚糖の「グミサプリ」をはじめ、2026年はアサヒグループ食品が「グミナチュラ」、国産グミのパイオニアの明治は「果汁グミ」にサブブランド「FRUBI」を立ち上げた。おやつとしての嗜好性を保ちながら日常的なセルフケアを担うグミを提案し、新たな需要を掴む。
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国内グミ市場は、コロナ禍の在宅勤務中のオンタイム需要やZ世代を中心とした食音(ASMR)動画、SNS投稿等によるバズ消費等が追い風となり、急激な拡大を続けてきた。明治の推計によると2020年に約569億円だった市場規模は、25年に約1297億円に到達し、約5年で2倍以上に膨らんだ。
この背景には、グミカテゴリー特有の参入障壁の低さも影響している。グミの主原料は砂糖、水飴、ゼラチン、ペクチンだ。チョコレートなど、他の菓子に比べて原料高騰のリスクを受けにくい。製造ラインも比較的シンプルで外部委託(OEM)体制を整えやすく、設備を持たない企業でもグミを商品化しやすい環境がある。
加えて、グミには厳格な業界規格が存在せず、各社が個性を打ち出しやすい。明治が日本初のグミ「コーラアップ」を発売したのは1980年で、1800年代後半に国内製造が始まったチョコレートから約100年後となり、歴史的に菓子の中でグミは新しいカテゴリーといえる。
◆サプリ領域のグミは前年比20%超増
約1兆円規模といわれるサプリメント市場では、主力の錠剤サプリが成熟する中、2025年にサプリ領域のグミの売り上げは、前年比20%超増と大きく伸長した。「サプリ市場内でグミの構成比はわずか1%、約100億円にとどまる」(明治)が、だからこそ今後の成長を見込み、各社が熱視線を送る。
サプリとしての国内グミ市場を切り開いたパイオニアは、UHA味覚糖だ。2015年に登場した「UHAグミサプリ」は、従来の「水で飲む錠剤サプリ=苦痛・飲み忘れ」という課題をグミ特有のおいしさと手軽さで解決した。当初はドラッグストア約3000店、CVS1社(約5000店)の販売からスタートしたが、現在は全国ドラッグストアをはじめ、CVS各社へ導入が進む。商品は発売当初の6成分・フレーバーから、28成分42SKU(10日分、20日分、30日分など)まで拡大している。
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同社は、配合する成分や味、食感などに工夫を重ねている。健康・美容分野で研究が進められている「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」を一早く取り入れたほか、今秋は化粧品分野で支持されている美容成分「レチノール」入りの「グミサプリ」を開発した。今後はインナー美容やインナーケア素材に着目した商品開発に注力していくという。
今秋、アサヒグループ食品は「グミナチュラ」を立ち上げ、サプリメント領域でグミの展開に乗り出した。サプリのエントリー層獲得をめざし、同社の錠剤サプリ「ディアナチュラ」の売れ筋成分を配合した4種のグミを開発した。継続摂取や新規購入への心理的ハードルを下げるため、約5日分で290円~390円と手に取りやすい規格とした。
発売から約3週間時点で採用店舗数は想定比31%増となった。「ドラッグストアのグミへの関心の高さがうかがえる。データ上では他社の栄養グミから『ディアナチュラ』の錠剤へ移行する動きが一定数みられ、グミをきっかけに錠剤タイプのサプリメントにも関心を持つ消費者は増えているとみている」(同社)とし、認知拡大に向けた大規模な施策を講じていく。

9月中旬に東京・六本木ヒルズで実施したサンプリングイベントには20~70代の5000人以上が来場した。10月21日からテレビCMを全国投下し、首都圏で交通広告を実施する予定だ。
◆菓子売り場では美容グミの提案広がる
明治は、慣れ親しまれた「菓子売り場」で健康需要に応える。「果汁グミ」ブランドの信頼感と、カカオ由来セラミド等の独自成分を掛け合わせた「FRUBI by果汁グミ」を今年発売した。1袋あたりコラーゲン3700mgと独自のセラミド素材40mgを配合している。味は「ブルーベリー&ザクロ」「レモン&キウイ」の2種。
同社によると、「果汁グミ」は30、40代の母親から子どもへの買い与え用途が6割を占めるが、「FRUBI」は大人の女性の自分用途が7割を占めるという。コンフェクショナリー事業本部コンフェクショナリーマーケティング部グミGの松浦早紀氏は「『FRUBI』の発売により、従来の『果汁グミ』のラインアップで接点の無かった40、50代女性にまで間口を広げることができた。これを起点にグミ市場の拡大につなげていく」と意欲を示す。

また、総合化学メーカー、カネカグループのカネカ食品は、独自成分の還元型コエンザイムQ10を配合した機能性表示食品「わたしのチカラ カネカQ10果実グミ」を2024年から展開している。長年にわたり同社が研究・供給してきた還元型コエンザイムQ10をグミの中のジュレに安定的に配合し、機能性とおいしさを両立させた。グミ市場の拡大を背景に、発売初年度と比較して、売り上げは着実に拡大しているという。「機能性グミ市場のさらなる成長が期待される中、今後も商品を拡充し、市場をリードするブランドの一つとなることをめざす」(同社)。
◆課題は“売り場と商流の壁”
このように栄養や美容を切り口とする各社のグミは活況を呈しているが、さらなる成長へ向けて、構造的な課題が立ちはだかる。売り場と商流の壁だ。栄養成分配合のグミという共通点はあるが、流通経路やバイヤー、卸業者(帳合)が異なるため、商品の陳列場所は「菓子売り場」と「サプリメント売り場」に分かれている。栄養グミの商品は多様化してきたが、健康意識の高いグミユーザーが売り場ごとに分散してしまい、見込み客を捉えにくい状況となっている。さらに「菓子売り場」においては、食感やフレーバーの異なる各社のグミ商品が乱立しているため、栄養グミの特徴が目立たず、埋もれがちだ。
こうした状況の打開策として、明治は資生堂とのコラボによる新たな試みを始めた。店頭やSNS施策を通じ、洗顔と間食を組み合わせて「グミ×美容」という新たな価値を提案している。
今年6月には化粧品売り場で資生堂ジャパンの洗顔料「肌グミ」と明治の食品「FRUBI by 果汁グミ レモン&キウイ」を並べて陳列、提案した。誤食に配慮しつつ、化粧品と食品をつなぐクロスカテゴリー戦略として実施したという。「普段グミを食べない方にも購入していただくきっかけができた。最適な売り場づくりや棚割り提案が進めば、さらに売り上げを伸ばすことができる」(松浦氏)。

グミの喫食率は約6割といわれ、チョコレートの約8割に比べて拡大の余地がある。なかでも栄養グミは、菓子としての嗜好性と、栄養成分を手軽に摂取できる利便性を併せ持つ。UHA味覚糖では、グミ製剤による特定の成分の吸収性や、「グミサプリ」の咀嚼と口腔機能との関係について研究結果を発表している。今後は、各社が商品を発売するだけでなく、小売店側を巻き込んだ売り場づくりを進めることで、グミ市場のさらなる拡大が見込まれる。







