【役員インタビュー】日清オイリオグループ・野中公陽常務執行役員食品事業本部長

日清オイリオグループ・野中公陽常務執行役員食品事業本部長
日清オイリオグループ・野中公陽常務執行役員食品事業本部長

〈油脂コスト継続的に上昇、価格転嫁進まず粗利圧迫、販売数量減少との二重苦〉

――前期(3月期)を振り返って

国内油脂事業を取り巻く環境は、エネルギーコストや物流費、包材・資材費といったサプライチェーン全体のあらゆるコストが高止まり、さらに上昇する中、年間を通して油脂コストは継続的に上昇した。

適正価格の実現に向けて価格改定を進めてきたが、消費環境の悪化に加え、業界の足並みも揃わなかったことから、価格改定の浸透は想定を大きく下回る形となった。

数量面においては、ホームユース製品はクッキングオイルの使用実態の変化に加え、物価高騰を背景とした買い控えにより販売数量が大きく減少した。業務用は価格改定を最優先で進めた結果、一部ユーザーで販売ロストが発生したことや節油志向なども相まって、汎用型を中心に販売数量を若干落とす格好となった。

年度の総括としては、ホームユース・業務用ともにコスト上昇に見合うだけの価格転嫁が計画通りに進まず粗利が圧迫されたこと、販売数量が減少したことの二重苦に見舞われた。

一昨年のオリーブ油の歴史的な高騰が上期まで影響を与えたことも響いた。国内油脂事業においては前年を大きく下回り大幅な減益となった。

〈不退転の覚悟で適正価格実現、ユーザー視点のソリューション提案強化〉

――これらの課題がある中で今期の方針を

非常に厳しい通期業績を重く受け止め、事業の収益基盤を早期に立て直すべく足元の課題解決に取り組んでいる。その中でも、最大の優先課題は「価格改定の完遂」に他ならない。

当社は25年度の4月ならびに9月からの価格改定を発表し、さらに11月以降は発表こそしなかったものの、取引先様に改めて改定の浸透をお願いするなど、粘り強く交渉を重ねてきた。

しかしながら、依然としてコスト上昇分を十分に吸収できる適正水準には至っておらず、これまでお願いした価格改定を未だ完遂できていないことは、真摯に反省しなければならない。

コストを吸収できないままでの事業運営は今後の安定供給にも支障をきたしかねないことから大きな危機感を抱いている。

こうした未達分をしっかりとキャッチアップし、適正価格の実現を目指すため、26年4月1日納入分より、家庭用、業務用および加工用それぞれの食用油において価格改定を実施した。

今後の事業環境を見渡すと、直近の26年3月27日に米国環境保護庁(EPA)がバイオ燃料混合義務量を大幅に引き上げる正式発表を行ったことで、バイオ燃料向けの大豆油など世界的な油脂需要がさらに高まることが想定される。「オイルバリュー」が異常値まで上昇するなど、コスト環境は一段と厳しさを増している。

加えて、中東情勢の緊迫化により、原油高による燃料代や電気代などの各種エネルギーコスト、生産資材、包装資材の大幅な上昇も懸念されている。

当社は現在、安定供給に支障が出ないよう、調達先からの継続的な情報収集を行っている。しかし、高水準で推移するサプライチェーンにおける社会的コストの上昇や円安継続の動向、中東情勢に伴う新たなコスト増の波は当社の自助努力だけで吸収できる範囲を完全に超えている。そのため、4月の改定に加えて、6月1日納入分からの価格改定も発表し、取引先様のご理解をいただくべく丁寧に説明していく。

食品メーカーの最大の使命である「安全で安心な価値ある商品を安定的にお届けする」ため、これまで以上に取引先様への丁寧な説明を尽くし、適正価格の実現に向けて不退転の覚悟で取組んでいきたい。

――業務用の施策について

ユーザー様が抱える課題に対して、様々なアプローチによって当社ならではの強み、差別性を価値に変えるべく、アウトバウンドの活動はもとよりインバウンドによるアプローチも行っている。具体的には人手不足や食品の品質維持、おいしさ・健康価値の向上、フードロス対策など、食を取り巻く多様な課題に対して、これまで培ってきた油脂技術を駆使して課題に応じたさまざまな油脂製品を提案することで、課題解決を行ってきた。

引き続き需要が高い炊飯油、炒め油、麺さばき油などをはじめとした機能性油脂の販売強化を進める。それとともに、今後更にコスト課題意識が高まるフライ油においても新たな商品投入により、ユーザー視点のソリューション提案を強化していきたいと考えている。

この春にリリースした「日清きれい長持ち油」は、調理によって生じる油の着色を抑制することで、より適切にフライ油管理ができ、フライ品の品位向上にも寄与する。加えて、厨房スペースが限られた店舗においては加熱時の臭いが一般的なフライ油よりも抑えられるので、店内、厨房内の環境改善にもつながる。これまでにない新しい機能をもった製品だ。今後は卸店様との連携を高め幅広いユーザーに知ってもらうことで、原材料高騰の中、適切なフライ油管理・コスト低減に貢献できる提案を強化していきたい。

また、外食、中食を問わず店舗調理において慢性的な人手不足が続く中、セントラルキッチンの役割がこれまで以上に重要になっている。作業性の改善、調理時間の短縮といった生産の効率化、経時変化による食感や見た目といった品位の改善など、更にニーズが高度化、専門化することが想定される。そのような背景から、油脂原料のみに拘らず、あらゆる機能素材を最大限活用し、お客さまのニーズに応える付加価値製品の開発、販売にも着手していきたい。

〈大豆油糧日報2026年4月23日付〉

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昭和33年(1958年)1月
発行:
昭和33年(1958年)1月
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