低価格で高品質な商品を求める傾向に、ニーズに特化した品質向上で両立【全豆連】

セミナー「どうなる日本経済 消費者の動向とこれからの食品流通」を開催
セミナー「どうなる日本経済 消費者の動向とこれからの食品流通」を開催

全国豆腐連合会(全豆連)は20日、東天紅上野店で「どうなる日本経済 消費者の動向とこれからの食品流通」と題したセミナーと、パネルディスカッションを開催した。セミナーの講師は、流通経済研究所の常務理事(事業・研究総括)主席研究員&みらい米市場の折笠俊輔社長が務めた。パネルディスカッションでは、ファシリテーターは折笠社長、パネラーは太子食品工業の梅内壱常務取締役、日本豆腐機器連合会の南川勤会長(ミナミ産業社長)、容器メーカー・コバヤシの加藤康広容器事業部部長を迎えた。

セミナーでは、食品価格の上昇に対する小売業の対応策や、販売戦略の一例などを紹介した。ナフサ不足に伴い発生している包装資材の目詰まりに関して、折笠社長はサプライチェーンで「ブルウィップ効果」が起こっていると指摘した。ブルウィップ効果とは、需要変動が上流に行くほど増幅していく現象のこと。消費者の需要が高まると、小売や卸、メーカーがそれぞれ多めに発注するために発生する。現場の需要に対し同等の供給があったとしても、ブルウィップ効果により不足に陥るという。安定したサプライチェーンを目指すには、需要情報の伝え方が大切になるとしたほか、内製化や備蓄などで事前に備えることも重要だと訴えた。

商品開発面では、消費者のニーズに特化した高品質な商品を低価格で提供していく戦略を紹介した。昨今の消費者は、低価格で高品質な商品を求める傾向にあるという。折笠社長は、高品質と低価格を両立させるのは難しいとしながらも、ユニクロのヒートテックを例に挙げ、消費者ニーズに特化して品質を上げることで実現しやすいことを強調した。さらに、エリアやジャンルなどで差別化を図り、寡占状態を作り出すことで利益を生み出しやすいと述べた。

〈切り口を変えて豆腐の価値を創出、食べ方や売り方に注目、幼少期からの食育も重要に〉

パネルディスカッションでは、原価高騰による影響や、豆腐の価値を上げるための取り組みについて議論した。

原価高騰に対する各社の対応策について尋ねると、梅内常務取締役は「ズバリ値上げだ。弊社の場合は今回の中東情勢の悪化で、資材や燃料コストが上昇し、計10%値上げした。値上げをしたら売れなくなるのでは、と何十年も大幅な値上げをしなかったが値上げに踏み切った。そのため、売価が上がってどうなるのかを一番心配している。日本の物価は上がっているが、豆腐は安いものというイメージがあるようなので、大変心配している」と懸念した。

南川社長は「機械メーカーという観点から言うと、部品など色々なものが全て値上げしている。豆腐メーカーも厳しい中なので設備投資の意欲も薄い。豆腐の新商品開発も止まっている」と話した。

加藤部長からは、「容器関連では、川上のメーカーから、数十%の値上げの要請があった。その中で当社としても心苦しかったが、値上げさせていただいた。値上げは認めていただけたものの、当社側で数量を確保できないこともある」とあった。

どうやったら豆腐の価値は上がるか、という質問に対しては、「さまざまな国の豆腐売り場を見るが、日本は他の国より安い。一方、海外は人件費も挙がっているため、輸出において日本で作ると付加価値は付けられる」(南川社長)と提案した。

折笠社長からは「例えば、糖質を抑えるためにご飯の代わりとして食べられたり、枝豆豆腐を酒のあてにしたりといった食べ方に注目するのも、切り口の1つだと思う」との意見が出た。

また、南川社長からは「パリで豆腐店を営んでいたとき、充填豆腐150gを500円で売っていたが、『高い』と言われたことは一度もない。また現在、『上島珈琲店』で『お豆富のミルク珈琲』が販売中だが、販売価格はレギュラーサイズで800円、ラージサイズで920円だ。豆腐の売り方も切り口を変えれば価値を出せるのでは」との事例も共有された。

さらに折笠社長は、「豆腐の基礎知識を持たない消費者がとても多い。知識があればこだわりを持つようになる。豆腐作り体験を全国の小学校で実施するなど、幼いうちから学ぶ必要があるのでは」と、幼少期からの食育の重要性を訴えた。

〈大豆油糧日報2026年6月29日付〉